【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【こんな田舎に来たかった!?】

2014年08月27日 | オムコイ便り

 すでに就職も決まり、最後の夏休みを利用して初めてのひとり旅なのだとか。

 樋口拓真くん、大学4年生。

 まずは、バンコクに1泊した。

 東京と見まがう大都会なので、すぐさま列車でチェンマイへ移動。

「チェンマイも、意外に都会なんですねえ」

 というわけで、翌朝にはオムコイ行きの超豪華VIPオンボロバスに飛び乗った。

 田舎が好きなんだそうである。

     *

 到着は、バスが遅れて午後1時。

 バス停そばの食堂でカオマンガイを平らげ、宿に着くと豪華ウエルカム・フルーツ(裏庭で実ったバナナと垣根越しに落ちてきた拾いたてパッションフルーツだけど)もぺろり。

 かなりの強行スケジュールだったのに食欲旺盛、元気いっぱいだ。

 ちょっと雲行きが怪しくなってきたので、早めに川向こうの棚田と展望台に案内した。

 稲はすでに、膝のあたりまで伸びて涼やかな風に揺れている。



 展望台への坂道を登りかけると、西側の正面にミャンマーへと続く青空が少し覗いている。



「へえ、向こうはもうミャンマーなんですか?」

 チェンマイとの位置関係を説明すると、驚いた様子だ。

 丘の頂きに立ち、360℃の山並みをぐるりと見回す。

「わあ、すごいなあ。こんな田舎に来たかったんですよ。ここだったら、何日でもいられそうですねえ」

 北タイの田舎代表オムコイよ、わがソボムヘッド村よ。

 22歳の前途ある青年にここまでその「田舎度」を褒めてもらえるなんて、光栄の至りではないか。

 と、そこへ黒雲がモクモクと広がり、栄えあるわが村の真上にその舌端がにわかに伸び始めた。



 あらら。

 こりゃ、まずい。

 急ぎ足で川沿いの道を戻ると、宿に着いた途端スコールに襲われた。

 こんな劇的(?)なスコールも、田舎ならではだろう。

     *

 雨上がりの夕刻。

 ひよこと遊んだあとで、拓真くん、焼酎の献杯を受けつつ台所でニンニクの皮むきを手伝ってくれている。

 ラーがしきりに超ブロークン英語で話しかけるのだが、なかなか通じない様子だ。

 そういえば、到着直後の話でバンコク、チェンマイと移動してきて英語を喋れないことをひどく悔しがっていたっけ。

「ラーなんかアルファベットも文法も知らないけど、気合いで喋っているだけ。それでも、なんとなく通じるもんです。要は、恥ずかしいなんて思わないこと」

 そうアドバイスすると、酔いも手伝ってかだんだん会話が弾む(?)ようになってきた。

「ラーさんと喋ってると、いい勉強になりますねえ」

「・・・」

 まあ、恥ずかしがらないという意味では天下一品だけどなあ。

      *

 晩飯は、蒸し魚と温野菜に魚のスープ。

 これまた、すごい食べっぷりだ。

 明日は6時半起きで、ラーと一緒にキノコ採りにという約束もできた。

 ところが、食べ終わると急に酔いがまわった様子。

 母屋のテラスから宿に戻ると、すぐに電気が消えた。

 時計をみると、まだ8時前だ。

 お疲れさまあ。

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