【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【氷雨のオムコイ血判状】

2011年03月16日 | オムコイ便り


 いやあ、昨日は忙しかった。

 イミグレや銀行での手続きを初め、パソコンの修理、通信モデムの点検と使用期間延長、デジカメのバッテリー探し、ラーの鼻アレルギー治療と、コマネズミのようにチェンマイ市内を駆け巡った。

 すべての用事が済んだのは、午後8時過ぎである。

 ひと息ついて、ネットでNHKの報道番組を眺めていると、8時半前に東京のスタジオが揺れ始め「静岡で震度6強」という速報が流れた。

 いやはや、まったくとんでもない事態である。

 酒を飲む気にもなれない。

 雨音を聞きながら早々と薄い毛布にくるまったが、なかなか寝つけるものではない。

      *

 さ、寒い。

 震えながら目覚めると、壊れて閉まらない宿の窓から冷たい風がビュービュー吹き込んでいる。

 明け方4時。

 外は、激しい雨だ。

 冬季のオムコイならまだしも、ここは乾暑季のチェンマイである。

 有り合わせのTシャツや薄い長袖を4枚重ね、毛布を2枚重ねてラーを湯たんぽ代わりにしたが、それでも鼻水がとまらない。

 6時まで我慢して、熱い豆乳を買いに走った。

 やい、ノッケウ!

 おかげで、完全な寝不足だぞお。

     *

 市場で買い物を済ませ、8時前に出発準備が整った。

 ところが、オムコイへの同行を強く望んでいたWさんが、「急な都合で後日に変更したい」と言い出した。

 そのままクルマを出そうとすると、彼にオムコイ行きの話を聞いて興味を持ったというMさんが大荷物を抱えて乗り込んで来た。

 むろん、事前に「一緒に行ってもいいか」という打診は受けていたのだが、それはすでに氏素性を語り合ったWさんと込みの話であって、私はまだ彼女の名前すら知らないし、話もほとんど交わしていないのである。

 訊けば、このブログも読んでいないという。

 そんな免疫ゼロの人を、あんな山の中の、まわりにはなんにもないあんな寂しい宿なんぞに、ひとり放り込んでいいものかどうか。

 私がオムコイで人身売買ビジネスでも手がけていたら、一体どうするというのだろう。

 “マイペンライ”を旨とする繊細なオムコイ人にとっては、まったく理解を超えた日本人の奇妙な生態なのだが、すでに荷物を抱えて乗り込んだ人を蹴り出すわけにもいかない。

 仕方がないから、「看護婦の腕を生かして、人手不足のオムコイ病院に骨を埋める」という血判状をもらい受けることに決めた。

     *

 ホートを過ぎても、オムコイに近づいても、雨は降り止まない。

 気温が、ぐんぐん冷え込んでくる。

 フロントガラスが曇るので窓をあけると、震えがくるほどに寒い。

「まるで、日本の冬みたいですね。東北の被災地もこんなに寒いんでしょうか」

 Mさんが呟いた。

 宿に着いて、オーナーのゴンから振る舞われた“ウエルカム焼酎”を飲み干すと、彼女はさっそく靴下を履くために部屋に駆け込んだ。

 家に戻ると、気温は15℃。

 村では、すでに5日間も冷たい雨が降り続いているのだという。

 それでも、蘭の花々は健気にも咲き誇って、われわれを優しく出迎えてくれた。

 それにしても、さ、寒い。

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3 コメント

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じれんま (phoy)
2011-03-16 23:30:25
国が大変な事になっているのにイサーンでぶらぶらしているPHOYです。本当はオムコイに伺い先日欲しいと思ったランをいただき日本に帰りたかったのですが、いただくとタイにこれないというジレンマがありましてそれで、まあこの付近でぶらぶらしております。
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じれんま (phoy)
2011-03-16 23:37:32
オムコイに行き、先日のランを見せていただけば、私の事欲しくなり無理にも手に入れて国に帰るでしょう。そうすれば2度とタイにはこれなくなるという一人暮らしのジレンマを抱えております。現在、サコンナコンで睡眠中
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しまった! (クンター)
2011-03-17 13:20:16
phoyさん

 まずいことに、今日も蘭の写真を載せてしまいました(笑)。
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