12月8日、火曜日。
チェンマイから戻って、すでに16日目である。
ということは、もう2週間以上もブログを更新していないことになる。
AISからは相変わらず解決策が示されず、こうなったら再びチェンマイに出て新たな方策を見つけるほか手はないようだ。
ネットが使えないうえ、1週間ほど前からテレビも映らなくなり、世の中の動きがまったく分からなくなった。
そろそろ麺や中国薬草も切れかかる頃だし、仕入れ先への支払いもあるので近いうちにチェンマイに出ることにしよう。
*
麺屋を中心に生活が回るようになってから、以前のような“事件”はほとんど起こらなくなった。
開店直後はビールで疲れを紛らわせて私をハラハラさせたラーも、数日前に体調を壊してからぴたりと飲酒をやめた。
心配ごとと言えば、麺屋の収益がなかなかあがらないことぐらいである(これが一番重要か)。
ルーテインワークの繰り返しの中で、変化のない穏やかな日々が過ぎて行く。
*
さて、今日はそのルーティンワークを紹介しよう。
店のシャッターを開けると、まずは冷蔵庫の上に鎮座する“招き猫”(メーホーソンの野生ひまわり見物に同行した定宿の仲間たちがプレゼントしてくれた)に電池を入れて、猫の招き腕を軽く一押しする。
冷蔵庫の上には、ラーが信奉する*ジャンマティーウイーの肖像画と商売の仏様(象頭人体)が飾ってあり、その前にオレンジジュースやリンゴを供えて9本の線香に火をともす。
次に、裏庭の簡素な祠に同じく水と3本の線香を供えて、商売繁盛を祈願する。
続いて店内を掃除し、テーブルの上の3点セット(煎り唐辛子・砂糖・生唐辛子浸し)レモン酢)と箸・チョーン(アルミ製レンゲ)を補充する。
持ち帰り用3点セットも、同様だ。
その間、ラーはクッティアオ用調理鍋に水を満たし、プロパンガスに点火して仕込みの準備を始める。
ラーが豚骨を叩き割っているかたわらで、私は小臼で胡椒粒とニンニクを搗き、これをラーが各種の調味料を加えながら豚骨にすりこんでいく(タイ料理を席巻した味の素は使わない)。
これを調理鍋に放り込んでぐつぐつと煮込み、味の決め手である中国薬草などで味を調えて行くのだが、その詳細は私にも分からない。
これで基本的な仕込みは、完了だ。
わが麺屋にはもうひとつの売りがあって、それは以前にも書いたことがある“皮ごと搗いたニンニクと豚皮のカリカリ揚げ”である。
これを作るにはなかなか手間がかかるので、開店当初のみのサービスと考えていたのであるが、あまりにも好評なので途中でやめるわけにはいかなくなった。
そこで、これを補充するのも私の仕事になってしまった。
もっとも、カリカリのキツネ色に揚げるにはコツがいるので、最後の仕上げの段階ではラーと代わることにしている。
あとは、パッカナー(緑野菜)、キャベツ、モヤシなどの野菜を刻み、水に浸せば準備万端である。
*
クッティアオそのものの調理は、しごく簡単である。
3槽ある調理鍋の1槽で麺と野菜をゆがき、スープ用の2層でルクチン(肉団子)と豚のひき肉(蛮刀で叩いてつくる)をゆがく。
これを陶器のどんぶり(ランパーン製の鶏柄)に入れてスープを注ぎ、これに前述のカラカラ揚げを加えてできあがり。
だが、客が立て込んで来たときにこれを迅速にこなすには、やはり相応の経験がいる。
麺屋再開後1ヶ月にして、ラーが常に腰痛を訴えるようになったのも、まだまだ動きに無理と無駄があるからだろう。
それに、タイには持ち帰りの習慣があり、麺と野菜、スープをそれぞれビニール袋に詰め、それに3点セットを添えるという作業もなかなかに大変である。
さらには、20メートルほど離れた雑貨屋の店先でビールを飲みながらクッティアオを注文する客もあり、そこまでどんぶりやビニール袋を抱えて走る、という作業も時に加わる。
もちろん、どんぶり洗いは私が一手に引き受ける(人件費節減のため手伝いは雇わないことにした)。
*
こう書くと実に忙しそうだが、客が立て込むのはいっときのことだから、仕込みの時間と昼飯どき以外は、かなり暇である。
チェンマイのように、通りがかりの観光客などを取り込むこともできない。
ビールや焼酎をおくと、ついつい飲まされてしまうので、酒類は売らないことにした。
従って、仕込みに時間と金をかけている割には、収益はほとんどあがらないのが実情だ。
そこで、次のチェンマイ行きでは古着を仕入れて、店内の空きスペースで試験的に売ってみようかと考えているところだ。
寒くなって、防寒着の需要が増えているからだが、米の収穫を終えた村人たちにはほとんど現金収入の機会がない。
それどころか、店を始めるとゆとりがあると勘違いするのか、むしろ借金を申し込んでくる人の方が増えている始末である。
ナッケー!
☆応援クリックを、よろしく。
チェンマイから戻って、すでに16日目である。
ということは、もう2週間以上もブログを更新していないことになる。
AISからは相変わらず解決策が示されず、こうなったら再びチェンマイに出て新たな方策を見つけるほか手はないようだ。
ネットが使えないうえ、1週間ほど前からテレビも映らなくなり、世の中の動きがまったく分からなくなった。
そろそろ麺や中国薬草も切れかかる頃だし、仕入れ先への支払いもあるので近いうちにチェンマイに出ることにしよう。
*
麺屋を中心に生活が回るようになってから、以前のような“事件”はほとんど起こらなくなった。
開店直後はビールで疲れを紛らわせて私をハラハラさせたラーも、数日前に体調を壊してからぴたりと飲酒をやめた。
心配ごとと言えば、麺屋の収益がなかなかあがらないことぐらいである(これが一番重要か)。
ルーテインワークの繰り返しの中で、変化のない穏やかな日々が過ぎて行く。
*
さて、今日はそのルーティンワークを紹介しよう。
店のシャッターを開けると、まずは冷蔵庫の上に鎮座する“招き猫”(メーホーソンの野生ひまわり見物に同行した定宿の仲間たちがプレゼントしてくれた)に電池を入れて、猫の招き腕を軽く一押しする。
冷蔵庫の上には、ラーが信奉する*ジャンマティーウイーの肖像画と商売の仏様(象頭人体)が飾ってあり、その前にオレンジジュースやリンゴを供えて9本の線香に火をともす。
次に、裏庭の簡素な祠に同じく水と3本の線香を供えて、商売繁盛を祈願する。
続いて店内を掃除し、テーブルの上の3点セット(煎り唐辛子・砂糖・生唐辛子浸し)レモン酢)と箸・チョーン(アルミ製レンゲ)を補充する。
持ち帰り用3点セットも、同様だ。
その間、ラーはクッティアオ用調理鍋に水を満たし、プロパンガスに点火して仕込みの準備を始める。
ラーが豚骨を叩き割っているかたわらで、私は小臼で胡椒粒とニンニクを搗き、これをラーが各種の調味料を加えながら豚骨にすりこんでいく(タイ料理を席巻した味の素は使わない)。
これを調理鍋に放り込んでぐつぐつと煮込み、味の決め手である中国薬草などで味を調えて行くのだが、その詳細は私にも分からない。
これで基本的な仕込みは、完了だ。
わが麺屋にはもうひとつの売りがあって、それは以前にも書いたことがある“皮ごと搗いたニンニクと豚皮のカリカリ揚げ”である。
これを作るにはなかなか手間がかかるので、開店当初のみのサービスと考えていたのであるが、あまりにも好評なので途中でやめるわけにはいかなくなった。
そこで、これを補充するのも私の仕事になってしまった。
もっとも、カリカリのキツネ色に揚げるにはコツがいるので、最後の仕上げの段階ではラーと代わることにしている。
あとは、パッカナー(緑野菜)、キャベツ、モヤシなどの野菜を刻み、水に浸せば準備万端である。
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クッティアオそのものの調理は、しごく簡単である。
3槽ある調理鍋の1槽で麺と野菜をゆがき、スープ用の2層でルクチン(肉団子)と豚のひき肉(蛮刀で叩いてつくる)をゆがく。
これを陶器のどんぶり(ランパーン製の鶏柄)に入れてスープを注ぎ、これに前述のカラカラ揚げを加えてできあがり。
だが、客が立て込んで来たときにこれを迅速にこなすには、やはり相応の経験がいる。
麺屋再開後1ヶ月にして、ラーが常に腰痛を訴えるようになったのも、まだまだ動きに無理と無駄があるからだろう。
それに、タイには持ち帰りの習慣があり、麺と野菜、スープをそれぞれビニール袋に詰め、それに3点セットを添えるという作業もなかなかに大変である。
さらには、20メートルほど離れた雑貨屋の店先でビールを飲みながらクッティアオを注文する客もあり、そこまでどんぶりやビニール袋を抱えて走る、という作業も時に加わる。
もちろん、どんぶり洗いは私が一手に引き受ける(人件費節減のため手伝いは雇わないことにした)。
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こう書くと実に忙しそうだが、客が立て込むのはいっときのことだから、仕込みの時間と昼飯どき以外は、かなり暇である。
チェンマイのように、通りがかりの観光客などを取り込むこともできない。
ビールや焼酎をおくと、ついつい飲まされてしまうので、酒類は売らないことにした。
従って、仕込みに時間と金をかけている割には、収益はほとんどあがらないのが実情だ。
そこで、次のチェンマイ行きでは古着を仕入れて、店内の空きスペースで試験的に売ってみようかと考えているところだ。
寒くなって、防寒着の需要が増えているからだが、米の収穫を終えた村人たちにはほとんど現金収入の機会がない。
それどころか、店を始めるとゆとりがあると勘違いするのか、むしろ借金を申し込んでくる人の方が増えている始末である。
ナッケー!
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初のコメント、ありがとうございます。途切れ途切れの更新で、しかも大量の一時掲載なので読むのも大変でしょうが、今後ともよろしくお付き合いください。
このところ、毎日「寒い、寒い」と書いていますが、日中はかなり暑くなるので、まだ日本よりはましなのですね。
今朝のチェンマイは、かなり肌寒いです。