【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【野ネズミのおかゆ】

2009年10月13日 | オムコイ便り
 
 今日はできあがった遠近両用眼鏡を受け取りに、チェンマイに出る予定だった。

 すでに、ミニバンと宿の予約も済ませている。

 ところが、明け方3時頃になって、ラーが頭痛と咽喉の痛みを訴え出した。

 どうやら、風邪を引いたらしい。

 本人は絶対に認めようとしないが、この1週間、急斜面でのキノコ採りや炎天下でのエビ捕りなど“カレン族本来の食糧自給活動”に熱中したたため、疲れが出てきたようだ。

 朝の6時に起き出しても、症状は変わらない。

「このくらいの風邪、へっちゃらだよ」

 そう強がるけれど、チェンマイに着いてから症状が悪化しては、私の行動予定が狂ってしまう。

 なにしろ、片道3時間もかかるのである。

 そこで、「今日は家でおとなしくして風邪を治すように」と厳命の上、チェンマイ行きを中止した。

         *

 本日の自給朝食は、息子たちが捕ってきたカォトゥム・ヌー(野ネズミのおかゆ)。

 日本とは違い、味付けの濃いおかゆをおかずにして白米を喰うのが、村の流儀である。

 腐敗を防ぐために捕獲直後に腹を裂き、全身をあぶり焼いた見かけは悪いが、ラーを初めとする村人たちの大好物であり、貴重な蛋白源だ。

 これをぶつ切りにして、薬草や調味料と共にぐつぐつと煮込む。

 今朝はラーの具合が悪いため、隣家の従姉妹メースワイに調理を頼んだ。

 漆塗りの竹網椀に盛り付けると、頭部が丸ごとごろん。

 ここが一番のご馳走で、メースワイがしきりに私に勧めてくれるが、これはラーに譲った。

 だが、頭部の肉をほぐして口に頬張った途端、顔をしかめた。

「か、辛い!もう、辛くしないでって、あんなに頼んだのに!」

「全然、辛くないよ!唐辛子の数は、いつもの半分だよ」

 試しに、少しだけ舐めてみると、口の中が燃え上がった。

 とうことは、彼女たちはこの倍の辛さのものを毎日食べているわけだ。

 それに、ラーがいつも使う薬草や調味料とは違うようで、ちょっとムッとくるような匂いがするので、野ネズミの味自体がなかなか掴めない。

 仕方ないので、小さな肉をすくってお湯で洗って噛みしめてみた。

 ・・・うん、それほど悪くない。

 肉自体には甘味があるし、調理の仕方によっては結構うまくなるかもしれない。

 だが、すでにしっかり染み込んでいる薬草の匂いはどうしようもない。

 あきらめて、タイ風卵焼き(ちと油っぽい)と昨夜の残りのキノコスープで飯を平らげた。

 ちなみに、卵は10個30バーツで雑貨屋で買ったものだ。

 どうも情が移って、わが家の雌鶏が生んだ卵は食べる気になれない、つまり“自給”できないでいる。

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4 コメント

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養鶏の思い出 (旅人)
2009-10-13 18:55:14
僕が幼少のころ近所の庭にはニワトリを飼っている家庭がちらほら有りました。
そのような家庭は僕から見ると裕福な家庭でして羨ましかった。
そのうちの子は人よりも体重もあって腕白だった記憶がある。
あの頃は庭には柿木や、畑やがあって、隣には納屋に牛が飼われていた。

今は立派な市となり、アーケードのある立派な商店街や郊外には工場があって、昔の面影はもう残っていない。家庭内に家畜はいなくなった。

当時は皆が中庭でとれた朝取れ卵を幸せ一杯に白ご飯にまぶせました。
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スッキリ!(^^) (なかちゃん)
2009-10-14 00:11:22
クンター様
先日からの度重なる“食い物シリーズ”誠に有難う御座います。お陰様でヨダレの出過ぎによる脱水症状で死ぬ寸前まで行き、幾度か三途の川の畔に立たせて頂きました..。(-.-;)
まぁそんな事はさておいて、いや~そんな僕でも流石にねずみは無理っす!多分給料日前の断食期間中でも食べれない自信ありますね。『勇気』と『慣れ』が必要です。
だけど産みたて卵は超旨そうですね、クンターさん食べないなら全部僕食べますから!(^^)
話は変わりますがコメントの尻切れの原因が解りました。ある半角記号を使うとそれ以下の文章が削除されてしまう(gooブログ様に問い合わせしたところ、丁寧な回答を頂きました)との事でした。ご迷惑をお掛けしました。m(..)m
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鶏の思い出 (yoritomo)
2009-10-14 15:24:13
下宿の大家が飼っていたPチャンは毎朝律儀に目覚まし時計の代わりをしていた。ある日下宿人が勢揃いしたので大家のオトーサンが鳥鍋にしようと提案した。Pチャンを〆るにあたり鳥を押さえていた者がうっかり手を離してしまったのでさあ大変、Pチャンは頭なしで庭を走り回った挙句コテンと横になってこと切れた。オトーサンは血抜きせずに済んだとニコニコ顔であった。彼に「食べろ食べろ」と勧められたが殆どの下宿人は鍋の鶏肉には箸を付けなかった。それ以来、私は鶏肉を避けていた。先日、男の料理教室で鶏肉と根野菜の炒め物を作り大変美味しく頂くことが出来た。45年も経つと色んなことを忘れられるようだ。
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鶏卵あれこれ (クンター)
2009-10-15 16:03:57
旅人さん

 幼少のころの思い出、どうやら共通のようですね。確かに、卵は貴重品でした。卵は食べることができませんが、ヒナたちが大きく育ったら、ありがたく鶏鍋にして頂くことにします。

    *

なかちゃん

 エビのかき揚げの写真も、断食中のなかちゃんに見て欲しかったのですが、残念でした。
 わが家の卵は、雌鶏が若いせいかとても小振りで愛らしいので、とても食べる気にはなれません。
 ところで、“尻切れ”問題、解決してよかったです。これからも、愉快なコメント、楽しみにしております。

    *

yoritomoさん

 首のない鶏が暴れ回るさまは、さぞや衝撃的だったんでしょうね。わが村では、鶏の首をわしづかみにして絞めてしまいます。初めて絞めたときは、蹴爪で腕を切られてしまいました。
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