【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【コンサートホール漂流記】

2005年10月13日 | ニューヨーク再び
 火曜日にホテルからアパートに戻り、新しい部屋に落ち着いた。
 残念ながら、今度の部屋からはリバーサイドパークの樹々を見ることはできない。

 冷たい秋雨に振り込められながら、狭い中庭に面した同じような建物の壁と窓だけを眺めるのは辛いことだが、この部屋ではなぜかFMラジオの電波が安定していて、前の部屋のようにイライラすることなくクラシック音楽を聴き続けることができる。

 そのせいか、夕方のカイロプラクティック治療を終えると無性に生演奏が聴きたくなり、7番街を挟んで道向かいにあるカーネギーホールに駆け込んだ。

 このホールでは、6日に加山雄三がニューヨーク在住日系人の高齢化問題を支援する旨のコンサートを開いたらしいが、俺は10月29日の今季開幕演奏会でペテルスブルグ交響楽団とイエヒムブロンフマンによる“ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番”と“チャイコフスキーの交響曲第五番”を堪能して以来、スケジュールチェックを怠っていた。

 あいにく、本日は休演日。
 そこで、7番街を北に向かいセントラルパークにぶつかって左折。霧雨に煙る樹々と石垣を右手に眺めながら直進し、ブロードウエイ通りとコロンバス通りが交差するコロンバスサークルを右折。ブロードウエイ通りを数ブロック北上して、リンカーンセンターにたどり着いた。
 この間、約15分。

 リンカーンセンターには、俺とJudyが出会ったメトロポリタンオペラハウスやニューヨークシティオペラハウス、さらには日本でも有名な指揮者のロリンマーゼルが総合監督を務めるニューヨーク交響楽団の拠点エイベリーフィッシャーホールなどのパフォーマンス施設が集まっている。

 迷わずフィッシャーホールに飛び込んで今日の演目を確認すると、これまた日本に馴染みの深いシャルレ デュトワ指揮によるドボルザークの“バイオリン協奏曲(ソロイストはサラ チャン)”とプロコフィエフの“ロミオとジュリエット”。

 俺にはあまり馴染みの無い曲だが、週末に控えたMIDORI(名字は後藤だったか?)のソロと聴き比べるのも一興と即決し、
窓口で「チーペスト(一番安い席)!」と叫べば、「あいよ、26ドル!」と合いの手が入り、商談成立。

 こうやって、世界の一流どころが集まるホールからホールへと20分足らずで移動し、気が変われればオペラも見ることができるし、踵を返してミュージカル劇場が密集する一帯へと歩いて戻りディスカウントチケットを手に入れることもできる。
 この気軽さが、ニューヨークの他にはない魅力と言えるだろう。

 落ち着いた席は4階舞台脇の視覚的には厳しい場所だったが、オーケストラの音がどかんとダイレクトに聴覚を打つため、なかなか迫力のある演奏が楽しめた。
 時に天を仰いでのけぞるように弓を弾くSaraの右腕の筋肉の動きや躍るようなデュトワの指揮ぶりも真上から観察することができ、事前に予約して確保する1階、2階の高い席では味わえない秘密の愉楽に満ちた2時間半であった。

 金曜日夜には、メトロポリタンオペラハウスで「アイーダ」が今季初演される。
 こちらの「チーペスト(4階ファミリーサークル席)」は、すでに確保済みだ。


 

 

 

 
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