【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【花火と食あたり】

2009年11月11日 | オムコイ便り
 11月2日、朝。

「クンター、今日はエビ穫りに行かない?」

 朝食を終え、近所でだべっていたラーが、鼻をふくらませながら戻ってきた。

「だってお前さん、今日はミスターオッケーの脱穀の手伝いに行くって言ってただろう?」

「そうなんだけど、いますごい情報を手に入れたんだ。流れのきつい滝の下に行けば、大きなエビが穫れるんだって。今日はロイクラトーンだから、クンターにおいしいエビ料理を作ってあげたいんだ」

「そうか。でも、今日はモデムの件でAISから電話があるはずだから、家で待ってなきゃいけないんだ。ひとりでも大丈夫か?」

「うん、マイペンラーイ」
 
         *

 午前11時を過ぎると、気温がぐんぐんあがってきた。

 家の中は暑くてたまらないので、店に避難することにした。

 コンクリートブロック造は熱がこもって暑いという先入観があったのだが、完全木造・半高床住居の我が家に較べてはるかに涼しい。

 しかも、10メートルほど離れたところに家主の雑貨屋があるだけだから、きわめて静かである。

 向かいの草っぱらで飼われている牛が入ってこないよう、そして前の道を行き来する人々いちいち覗き込まれないよう(たまには勝手に上がり込んでくる人もいる)シャッターを3分の2ほどおろすと、中は私だけの空間だ。

 電話を待つ間の遊び道具は、DVD『怪人20面相』と高杉良著『炎の経営者』。

 午後2時過ぎに、ラーが魚籠の中のエビを見せにきた。大漁である。

 午後5時半過ぎに、ラーが「そろそろご飯の時間だよ」といってバイクで迎えにきた。

 この間、なんにも煩わされずに読書に集中できたのがありがたかった。

 麺屋などやらず、私専用の隠れ家にしたいくらいだ(裏庭の書斎作りは材木が手に入らないので、頓挫したままである)。

        *

 結局、AISからの電話はなかった。

 もう、こちらからかける気にもなれない。

 いずれ、チェンマイに出るしかないのだろう。

 穫れたてのエビのかき揚げで晩飯を済ませ、町に花火を買いに出かけた。

 学校や役所のまわりにイルミネーションがほどこされ、家々の軒先にはタイ風提灯が飾られている。

 今年はこの提灯を飾りたかったのだが、聞けば、欲しい人はわざわざチェンマイまで行って買っているのだそうな。

 そこで、昨年と同様に小さな円形の土器に入ったろうそくを30個ほどあがない、火を灯して家のまわりの垣根の上にずらりと並べた。

 うす雲の間にのぞく青い満月とも相俟って、なかなか幻想的だ。

 筒状の連発花火を打ち上げ始めると、近所の子供たちがワッと押し掛けてきた。

 爆竹を鳴らし、筒花火を持たせてやると、大興奮である。

 


 最後に、線香花火を楽しんで、あとは静かに月を眺めながら焼酎をなめた。

        *

 これから町でパレードがあるというので、水浴びを済ませたら、途端に腹痛が襲った。

 さっきから妙に腹が張るなあとは思っていたのだが、ひどい下痢である。

 今夜食したのは、従兄弟からもらった豚の皮の煮付け、友人からもらった豚のショウガ味スープ、そしてラーが調理したエビのかき揚げである。

 果たして、犯人は誰だ?

 町に出るのはあきらめ、体を丸めてベッドに潜り込んだ。

 私の腹にタイガーバームを擦りこんでマッサージをしながら、ラーはちょっぴり不満そうだ。

 そして、今朝になるとラーと3男のポーもトイレに駆け込むことになった。

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