4~5月に続いて、チュイ(カブトムシ)の季節がやってきたようだ。
子供たちは、日本と同様の色形をしたそれを獲ってきて、軒先に吊るしたサトウキビを餌場にする。
そして、細い棒で首の付け根のあたりをこすって「闘虫」に向けた調教に臨むのである。
*
だが、ラーにとってのチュイは貴重な食糧である。
以前にも紹介したことがあるが、主に食すのは写真の5本角だ。
見た目はいかめしいが、角の形状があまりにも複雑なために、闘いにはあまり向いていないらしい。
調理法は、いたって簡単。
兜と羽と足をむしって、小判饅頭のようになった哀れなそれを醤油と調味料に浸して、こんがりと揚げる。
初めて試したときは、腹からぶちゅつと内臓が出てきそうで警戒したが、それはない。
しかし、お世辞にもうまいとは思えない。
だが、ラーや息子たちは、おやつにおかずにとバリバリと平らげてしまう。
*
一昨夜も、晩飯をそそくさと済ませると、子供や甥っ子を引き連れて、外に飛び出した。
穴場は、山奥にある電力会社の裏山である。
部外者は入れないのだが、知り合いの所長に電話してゲートの鍵を開けておいてもらうように「予約」までしてあるのだという。
むろん、私は行かない。
カブトムシの住処は、蛇、ムカデ、毒蛾、毒虫、蜂などの巣窟でもある。
3時間後。
興奮して戻ってきた一行が突き出す容器をのぞいて、のけぞった。
写真の5本角が、100匹ほどもつれ合い、絡み合いながらワサワサとうごめいている。
大猟である。
*
昨日の食卓には、その唐揚げを筆頭に、唐辛子と一緒に搗きつぶしたナームプリック、近所からのお裾分けである蛙の和え物、マカーム(タマリンド)味の酸っぱい野菜スープなど、伝統的なカレン族料理がずらりと並んだ。
私が安心して食べられるのは、野菜スープだけである。
そして、今朝になってラーが激しい腰の痛みを訴える。
時間をおいて現れる筋肉痛は、高齢化の兆しだというが、彼女もそんな年代に差しかかりつつあるのだろうか。
「まったく、ヤーイ(婆さん)になったもんだ」
そうからかうと、
「そうじゃないよ。毎日クッティアオばかり売ってるから、すっかり体がなまったんだよ。以前のあたしは、こうじゃなかった。ああ、痛い、痛い、痛い」
やむなく、本日の臨時休業を許可すると、ゴソゴソと丸網を引っ張り出して手入れを始めた。
「腰が痛いというのに、何やってるんだ?」
「今日は店が休みだから、エビ獲りに行ってくるね」
こ、こらあ!
☆今日も応援クリックを、よろしく。
先日,植木屋の友人の家でスズメバチの巣がとれたので(家の回りはまだまだのどかです),幼虫と蛹を醤油で炒めていただきました.蛹はぱりっとして美味しかったです.幼虫は少し生臭いですね.「牛飼い小僧」も巣から幼虫を引っ張り出していましたよ.都下ではたまにこんな事もあります.
今度お邪魔するときは,伝統的カレン料理もチャレンジしたいところです.
調理後の写真を撮る暇もなく、誰かさんの餌食になってしまいました。
*
ishiさん
牛飼い小僧くん、相変わらずたくましいですね。わが村では、炙った蜂の巣ごと食べてしまいます。次回は、食材の狩猟採取活動から始めていただきましょうか。