【プーノイの薬木茶】

　
　昨日は、咳と同時に妙な頭痛に苦しめられた。

　額の髪の毛に触れると、頭皮を通じて痛みが頭頂から後頭部へと広がっていくのである。

　しかも、その痛みには悪寒が伴って、ゾクゾクゾクッと全身に震えが走る。

　昨夕、こうした症状をラーから聞いた隣家のプーノイが、「とっておき」の風邪薬を届けてくれたという。

　彼はモーピー（霊医・霊占師）だけあって、いろんな薬草や薬木をストックしているのである。

　揺り起こされて眺めてみると、単なる木片だ。

「なんだ、いつもの薬木茶と同じじゃないか」

「見かけは一緒だけど、中身が違うの。この木は滅多に手に入らないんだから」

　七輪で煎じたものは、確かにいつもの茶よりも色が濃く、ほとんどコーヒーである。

　ふーふーしながら口に含むと、なんだか懐かしい味と薫りがする。

　あれ、これはドクダミじゃないか？

　クコ茶も少しまじっているような。

「ふーん、面白いな。日本の薬草の味と同じだよ。これは効くかもしれない」

　昨夜は、喉が渇くたびにこのドクダミに似た薬木茶を口に含んだ。

　そのおかげか、今朝はずいぶんと楽になった。

　咳もおさまり、頭痛も軽い。

　まだ、髪に触れると痛みは走るが、昨日ほどひどくはない。

　さて、今日もこの薬木茶をたっぷり飲むこととしよう。

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