今日の一貫

農業政策改革 第2回  米麦日報

今日は、
市場原理にもとづく米の生産調整はなぜできないのか?
農業の構造改革を進めるには制度的に何が問題か?
の二点、
「米麦日報」を引用し解説します。

質問 市場原理にもとづく米の生産調整はなぜできないのか?
来年から、生産調整を農業者農業団体に任せることになりましたが、民間が市場原理で米の需給を判断する体制が整っているのかどうかですが、、、
民間主導型への移行や市報原理の浸透はできていないと

回答 
確かにここ最近、米のブランド化が進んできているのは事実だし、北海道産米が高騰した例などもある。しかし、あれはパイイングパワーによるものであって、むしろ当たり前の結果と言える。
一方でコメ価格センターは落落札残が頻繁にでているし、産地側が本当に「売れる米づくり」路線でいくと腹を括っているのか、怪しいところだ。
特に全農の方針(新生全農米穀事業改革)は、ちょっと首を傾げてしまう.市湯原理という概念からは逆行しているようにしか見えない。
また制度としても地域の雰囲気としても、相変わらずの「需給調整至上主義」だ。
売ることができる人がどんどん売っていっていいはずなのに、単純に配られた生産調整をこなすことだけに熟むになっており、仮に生産調整をこなしながら儲けている人がいると、地域のなかで白い目で見られる構図になってしまっている。
すると制度がどうあれ未だに非常に強い統制感から逃れきれない。制度ではなく流通の仕組みとして、市場システムができあがっていないからこうなるのだ。

解説
日本のコメ流通は、市場経済で動いているように見えますが、流通の太宗を占める農協、つまり全農と卸の関係は契約でおこなわれています。
そこには、売ってやるという意識が農協側に強いため、弱い団体である卸との間には団体協約というルールもあります。
が全農はそれを今年廃棄すると一方的通告をするなど両者の関係は、供給側優先の取引となっています。
残念ながら、市場原理というようなモノとはなっていません。
他方、個別に売っている農家の人は市場原理に寄っています。
となると、生産の場では、統制経済による農協出荷農家と、市場原理によっている農家とがいます。が、地域では、両者の意見に基づいて生産調整されるのではなく、農協サイドの声が強いため、生産調整は統制的になっています。
これでは、市場原理を反映した需給調整の体制ができてるとは言えないでしょう。
今よりますます統制的になる可能性すらあります。

質問 構造改革を進めるには?
回答
制度の話からするなら、農水省はこと米政策に関して、ピン止めしている部分が多すぎる。
自給率向上、作付面積拡大(耕作放棄地減少)、生産胡軋構造改革……ちょっと考えただけでもこれだけのことを、一挙にやろうとしている。
本当にできると思っていのか。
百歩譲ってもこの状態だと政策のプライオリティが見えにくくなってしまうはずだ。
どこかの国の首相が言っていたように、改革には「痛みを伴う」のが当たりまえ。
一挙に全て実現するのではなく、一時的にせよ何かを捨ててかからなければ、結局のところ何も実現できませんでした、で終わってしまう恐れすらある。

質問 では一時的に何を捨てるべきなのでしょうか。
回答 
自給率と面積だろう.まず伸びる農家を伸ばす環境を作る、つまり構造改
革にプライオリティを持たせなければ、日本農業は生き残れなくなるのではないか。
そこの踏ん切りが重要なのだが、相変わらず公平の論理だけを大事にしている。
これからの社会は農業に限らず、誰かが不利益を負担していかなければならなくなる。
なのに米では、農家全体の平等を言いながら、結果として生産調整によって不利益を公平に分担している。
誰かが抜け駆けしないように互いに監視しあっている。
私はこれを「不利益平等社会」と呼んでいるのだが、そこを優先させてしまったが故に、構造改革のブレーキに拍車をかけてしまったきらいがある。
誰かが大々的に米をやめる、あるいは誰かが大々的に米を作り続ける、といったよ
うに、メリハリの効いた負担、誰かが面倒をみる雰囲気を作りださなければ、構造
改革など到底不可能だ。
でないと全員「平等に」安楽死などということになりかねない。
どちらを選ぶかだが、これには政治判断も多分に含まれていよう。
仮に構造改革を康先しようにも、片や野党がバラマキに近い、耳障りの良い政策を打ち出せば、与党側は票につながる「平等」を選択せざるをえなくなる。そこを知っている役所が「官から民へ」移行したからいいだろうという言い訳に終始するようになる。
                            <この項、続<>
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