毎日更新!中谷比佐子のきもの365日

きもの日記です。さて何を着よう?と思ったときの参考にも

宮古と越後上布

2011年07月31日 | きもの
セキドは今日は宮古上布を着ています
帯を科布にしているのですが
矢張りもう少し透けたものの方がいいと思いますね
科布の帯でも悪くは無いのですが
今日たまたま涼しいのでそういうコウデイネートになったよう

宮古上布は藍染めが多く
それも琉球藍ですから色が深いですね
反物ができあがったら
砧でピシッピシッと叩き
麻の持つ油を引き出します
其れが宮古上布の独特な風合いですね

越後上布は織りあがったあと
雪にさらして糸を更に丈夫に柔らかく白くします

宮古の藍越後の白
ときどき越後の藍染を見ることもありますが
雪のイオンでしっかり白くした越後上布のほうが
いいように思うのです

前に宮古上布を
「生成りのままの糸で織ってください」
とお願いし今も其れを着ていますが
糸のよさとか着心地は藍の方が本道です
伝統を壊すのはいけません
着るたびに後悔していますがーー

もう30年以上着ている越後上布に絽綴れの帯
こちらは40年も締めていてもうくたくた
だから変わりツノダシ結びが可能

今日はこれから着付けレッスンです
あ、チャイムが聞こえました

雨の被害

2011年07月30日 | きもの
十日町・小千谷・塩沢・越後上布・麻の産地
新潟と福島の川が氾濫して
多くの方がフアンの時間を過していらっしゃいます

全てきものの産地です
きものの産地は水が綺麗なところが多く
その水は
とてもありがたいときと
このように暴れて人々の生活を脅かすのですね

コレが自然というものでしょう
早速知り合いに連絡を取りましたが
幸い皆さんのところは大丈夫でした

小千谷の樋口さんの家の傍には小川が流れているのですが
こちらは大人しいようです

織りも染も水が一番
水が着物を作ってくれるといってもいいのです
いい色にそめるときは
必ず水を求めて動きます

草木染の山崎桃麿さんも
「ここの水がいいからね」
奥多摩の水を愛して引っ越しました

紅花染の山岸幸一さんも
先ず水を探しましたよ
と赤崩れの地を探し当てました

草木染というのを一番初めに取材した
山崎斌さんの仕事場も多摩川の水を引いていました
もちろんご長男の青樹さんの仕事場も
すぐ傍が小川でした

水に恩恵を受けながら
水に諭されるのですね

被害が少ないことを祈ります

藍染のきもの

2011年07月29日 | きもの
訪れる人の少ない
野村町のシルク博物館
そこではいま江戸時代から近世までの
藍染のきものと型染めたんものの展示会が開催中

江戸時代の藍染の美しさに圧倒されました
色が全く衰えていません
藍は色があせるということを耳にしますが
この藍色の美しさはなんでしょう
しばし立ち止まってしまいます

100点ほど展示されていますが
時代をさかのぼるほどに美しくなっているのですね
近代の藍はやや濁っています
これはきっとインデイゴを混ぜているのだろうと
館長と話し合いましたが

江戸時代は夏の藍染のきものに紅絹のいしきあてが付いていたり
仕立てにおいても参考になりました

また藍染の小紋は両面染めが見事でした
きものが主流の時代であったことが
ここまできものに対しての技術が花咲くのですね

予讃線の卯之町下車そこからタクシーです
チョット不便ですが
矢張り世界でナンバーワンといわれた絹の産地
誇りあるシルク博物館です
11月初旬まで開催

正岡子規の布団

2011年07月28日 | きもの
愛媛の野村町に打ち合わせに行ったついでに
電車の待ち合わせ時間有効に使いました
まず子規堂に行った話

子規は近代俳諧の世界では帝王です
しかし36歳の若さでなくなったのですが
その病の原因は「食べすぎ、おおぐらい」
ま、そのあたりの話はまたの機会に

子規の晩年は病に伏せる毎日でした
その子規の体を心配して親友の秋山真之は
子規に羽根布団を送ります

明治時代では大変高価であったでしょう
其れだけ秋山眞之は子規の体を心配したのです

その子規堂に羽根布団の端切れがはってありました
更紗柄の絹です
当時ですから南蛮輸入のものですね
明治に入って輸入が自由化されたとき
その時代の人たちは更紗柄に飛び付きました

秋山眞之は海軍でしたので
こういう流行ものには目が早かったのでしょうか

その羽根布団の額縁布も赤い更紗の絹で
そこまで心を尽くす友情に涙しました

秋山眞之を密かに恋していた子規の妹は
子規がなくなった後
この布団の布を暫く羽裏に使っていたようです

解説には書いてはいませんが
妹の写真を見ると明らかに羽裏に使った柄に目が止まりました
ーーーーー切ない

昔きもの

2011年07月27日 | きもの

最近はリサイクルのきものを
上手に着ていらっしゃる方が多いですね
リサイクルきものは「怨念があるみたい」
という方もいらっしゃるのですが
最近はもっとドライにきものを手放していると思うのです

「比佐子つれづれ」でも
古い着物を個性豊かに着ている方々がいます
一昔前の明石縮みや
小千谷縮み
芭蕉布、宮古上布、越後上布などなど

こういうきものを求める方は
化合繊のきものには見向きもしません
「下着は絶対自然素材がいいです」
とおっしゃって
表のきものより下着一式の方がはるかに高値になってしまいます

ということは
きものの自然素材と
その形の自由さに惚れているのでしょうか

同じきものが
着る人によってそれぞれの姿になっていくことが魅力なのでしょう

きものに制約をつけること自体を
ナンセンスと考える知的な方が増えてきたことに
喜びを感じます

また古い着物のほうがいい素材を使っていることも多く
素材研究と真剣に取り組まないといけないとつくづく思います