毎日更新!中谷比佐子のきもの365日

きもの日記です。さて何を着よう?と思ったときの参考にも

帯揚げ

2011年11月30日 | きもの
帯揚げの役目を時々深く考えてみることがあります
帯の山を美しく整えることが出来る
ですから良質な素材での方が役目を遂行出来ます

また本人には気がつかないのですが
脇から帯揚げは良く見えます
帯枕を隠すためにも帯揚げは存在しているのですが
その脇からチラリと見えるという演出は
なかなかにくいですね

電車のつり革に手を添えているときに見える
ご挨拶しているときに
お茶のお手前をしているとき
お人とお話をしていてチョット手を上げたとき
遠くのものを取ろうとしているとき
芸者さんが座敷で踊っているとき
女将さんがご挨拶しているとき

様々なシーンで脇の帯揚げは
我が存在を誇示しています
京都の芸妓さんが飛び絞の帯揚げを愛用しているのは
その脇のチラリズムの計算ですね

さて前のほうの帯揚げはどうでしょう
私はどうもうまくありません
つれづれ仲間の渡さんは美しい結び方が出来る稀な方
手が美しいのです

帯枕などの紐をぐっと下に下ろすことがコツのよう

帯揚げは隠れたところで力を出し
見えるところは装飾
大変なお役目を持った小物です






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絹なり

2011年11月29日 | きもの
絹がすれてなる音を絹なりといいますね
衣なりとも古語では書いています
しゅしゅというなんとも云えないやさしさです
特に博多の帯大島紬は
この絹鳴りの音を楽しめます

そのため
正式なお茶会にはタブーとされていることも
みなさん良くご存知

来年の四月日本橋三越劇場で「絹の手ざわり」という劇の衣装を担当します
昨日第一回の打ち合わせがリました
台本を読むと昭和四年から戦後となっています

場所は日本橋の呉服屋
嫁と姑
夫と妻
なさぬ仲の子供
上流社会と庶民

なかなか起伏に富んだ話です
戦争中はモンペですが
戦争が始まる前は綺麗な着物になります

いま若い人に人気のある「銘仙」は昭和の初期に大流行
しかし当時の言葉で言えば
女中や女学生などのきもので
大人の女は着ません

銘仙は正式な糸を使っていませんでしたから
思い切り色を遊べて
其れが若い人たちの胸にぐっときているようですね

戦争に入ると
銘仙を作っていた動力機は飛行機の材料にするといって
供出され銘仙の生産が出来なくなりました

そういう時代の雰囲気も分かる芝居です





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帯はねじるだけ

2011年11月28日 | きもの
帯結びで
しっかり締める人
ねじるだけの人
手先を肩に乗せる人
手先は下げたままの人
左に手先を持ってくる人
手先は右の人様々です

基本的に帯は下の線がしまっているといい形です
帯揚げのところはぷかぷかしているほうがいい
更に前下がり後ろ上がりの格好が
足を長く見せますね

さて
私は帯は結びませんねじるだけ
お人に教えるときもそうします
撮影のとき帯をねじる方が手早く出来るのですね
更に上等の帯を締めるときは
ねじる方が帯が痛まないわけです

もっとメリットがあります
帯をねじる結び方は時間がたつにつれてゆるんできます
そのゆるみが上半身ゆったりとした味のある着方になっていきます

女優の杉村春子さんがそうでした
あの方は仮紐すら使わず
後ろで帯をねじって手先を前の帯下に挟み
そしてお太鼓ををつくって形を整えます

草笛光子さんや池内淳子さんなど昔の女優さんは
着付けの後ご自分で帯の前に手を入れてぎゅ―とさげ
体を左右に動かして帯位置を定めていました

そうするとその人らしい着味というのが表現されるのですね
補正は無しです





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塩漬けの旅

2011年11月27日 | きもの
快晴、素晴らしい空の下
7時20分に新宿を出発しました
29人の旅

うっすら雪をかぶった南アルプス
しっかりと雪帽子の中央アルプス
青空に光る八が岳
周囲の紅葉もこれまた見事
信州の今は本当に美しい

飯島の志村明さんの工房は
いつもよりかたづいていました
所狭しと並んでいた塩漬けの桶は
姿を消して其処から取り上げられた繭が大きなザルに入れられて
棚に収まっていました

小石丸の繭を一つつまんでなめると
「アラしょっぱい」
あたりまえ塩漬けですからね

竿には美しい本当に美しい塩漬け繭からとった糸が
静かに揺れています

皆さんはその糸を見て言葉がありません
それだけ光り輝いて優しい糸の姿です

会場を公民館に移して
志村さんに糸の話をしていただきました

京都からは白生地の大竹さんもいらして
この糸で織り上げた白生地の美しさをお話してくれます

また
「今日は遊びで」
とおっしゃっていた常山農学博士も
帰りのバスの中で
蚕の生態を細かくお話してくださり
参加者は大満足でした

糸は大切です





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紐が暖かい

2011年11月26日 | きもの
夏は出来るだけ紐の数を少なくし
風の通り場を開けますが
冬はしっかり締めた方が良いですね
家と同じ

盛夏になると紐無しの着付けをしますが
真冬近くなると
長襦袢の胸紐を10センチ幅に
きものの腰紐は楊柳
そしておはしよりを押さえるのを10センチの幅のもの

そう紐の数も多くなるのですが
幅も広くなります
そして帯板を入れます
この帯板も暖かいのですね

紐は全て絹にしています
さらに寒くなると帯下に博多の伊達締めをします
これでまた暖かさが倍増

ここのところ急激に寒くなりましたので
この紐のお働きが良く分かります

さらに奥の手
肌襦袢の背に真綿をくっつけます
真綿は簡単についてくれるので助かりますね

しかし暖房の効いたところに行くと地獄
ポカポカを通り越して
じわーと暑くなり汗が出てしまいます

しかし今日はこれからつれづれの仲間と
「飯島」の志村明さんの工房見学です
塩漬け繭の話をたっぷり聞いてきます
あそこは長野でも寒いですからね
完全防備

報告は明日
行ってきまあす





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