毎日更新!中谷比佐子のきもの365日

きもの日記です。さて何を着よう?と思ったときの参考にも

絹の手ざわり

2012年02月29日 | きもの
4月9日(月)から東京日本橋の三越劇場に掛かる「絹の手ざわり」
吉成庸子原作・布勢博一脚本・山田孝行脚色 演出
主な出演者は
かとうかず子・岡田茉莉子・江原真二郎・磯村みどり

内容は明治大正昭和21年までの日本橋の呉服屋
そこで起きる嫁姑、なさぬ仲、戦争が文化を破壊する
等々の話
時代からして当然みんなきものをきます

この劇で衣裳を担当することになりました
はじめは衣裳会社の衣裳を見て
偉そうにあれこれ言えばいいという役でしたが
急遽おはちが回ってきて
きもの集めはもちろん呉服屋ですので反物集め更に華やかに彩る
呉服屋の店先に飾るきものまで

明治大正昭和の初期というのは
きものがとても素敵な時代
そういうきものはいまや古着屋さんにしかありません
古いおうちにはまだまだ残っているでしょうが
そういう方を訪ねて借りることも出来ず
途方にくれていますが

昨日絵コンテをすべて行い
今日から古着屋周りです
イエ今風に言うとリサイクルショップ

古いきものを大量に見ると私は咳が止まらなくなります
今日はマスクをしてお出かけです

店先できものを選ぶ役を一般から募集しています
是非是非出演を

お運びのきもの

2012年02月28日 | きもの
「おばちゃんきれいな無地のきもの貸して」
「きれいな無地?」
聞くとお茶会でお運びをするというのです
「持ってるでしょう?」
「おばあさんみたいだもの」

最近きものにうるさくなって
姉がきめた無地はきたくないらしいのです
「前は黙ってきていたでしょう?」
「でもおばあさんみたい」

彼女のお茶の先生はかなりきものに厳しく
お運びなどのお役の時は無地に家紋つき

基本的に私はお手前をいたしませんので
無地でも裾濃に染めていたり
八掛に柄を入れたりしてどこか楽しんだきものになっています
お茶席ではお客ですので其れでいいのですが
お運びとなるとそうはいかないのですね

「無地に見える江戸小紋を貸しましょうか」
「いいえ無地といわれているのでーー」
「我慢してあの色無地にするしかないわね」
「はーーーい」

何が何でもピンクの無地が着たいというのです
それだけ年をとったと言うことでしょうが
其れはいえません
20代の中頃までは黙ってきていたようですがね

「少しきれいな色の無地を作ってあげたら」
と姉に電話しましたら
「もう社会人だもの自分で作らなきゃ(゜.゜;」

此方も厳しいお茶の先生

紅絹の下着

2012年02月27日 | きもの
体を冷やさないと言うことは健康維持に絶対条件
ことしは自分の体の冷えがとても気になるのです
それで肌襦袢を襟ぐりが大きくあいたテイーシャツ型の下着を
肌襦袢の上に着ることにしました

紅絹にしたのですお袖も肘までのを作り
下は股割れの紅絹
これも長さが膝までと言うもので
この下着に湯文字裾よけもすべて紅絹という華やかさ

おかげで体が温まりしかもすべて絹ですから空気が常に保温されます
手先の冷たさも少し加減されました

蚕が吐いた絹にはセリシンと別の油が均等に糸にあり
その油が酸化したくて酸素を呼び込むのだそうですが
(これ平尾先生の受け売り)
そのために常に絹の内側では酸素がうろうろしていて
其れが体を温めてくれているわけですね

こういういいものがあるのに
もっともっと自分用に使わないともったいない
と私は思います

その上赤い色は(本当は紅花で染めた赤がいいのですが)
肌に身につけることで毛細血管が刺激され血流がよくなります
ですから紅絹は下着として昔の人の必需品でした

今度の新作は洋服の下にも着られる形ですので
これから楽しみます
でももうすぐ春も近づいています

大麻勉強会

2012年02月26日 | きもの
昨日の「比佐子つれづれ」は
弁護士の丸井英弘先生をお迎えして
「大麻と法律」についてお話しいただきました

わたしたちきものを愛好する者にとって
絹と麻はとても気になる繊維です
天皇陛下の祭司装束としてもアラタエ(鹿服・荒妙)
ニギタエ(和妙)麻と絹のことを表しています

大嘗祭はとくに阿波国の大麻の糸で織られたあらたえを天皇陛下が身につける
これは有史以来の日本の伝統です

この日記でも何回も麻のことを取り上げていますが
縄文時代から続いた布の歴史が
昭和23年に麻の栽培禁止となって今に至っているのですが
麻がどうしていけないのかその理由を勉強した昨日でした

皇室祭祀用の麻はともかく
江戸時代は武士の制服裃も素材は麻です
姫君の残った衣裳を見ると表は絹裏が麻という小袖を目にします

私たちの祖先は
麻は夏のもの絹が冬物
という区別はなく素材の面白さとして夏も冬も使っていたことがわかります

最後は大麻の実でできたマヨネーズやコーヒーが机上に上がり
大麻は蚕と同じように人間を古くから支えてくれたことがわかりました

阿波には7月7日*8日おとづれ荒妙の場に伺います



梅の柄

2012年02月25日 | きもの
いつもはもう梅の花柄のきものはタンスの中でお休み
なのですが
今年は何処の梅園も梅の咲き方が遅くて困っている
というニュースを見ました
それで今日は東京は雨も降っていますので
結城に梅の柄を手描きした訪問着を着ています

結城でトークショーが行われたとき
今から4年前でしたか
袷で華やかな結城紬は「里帰り」と称して寄付してしまい
絣ものか無地しか残っていません
其れで急遽東京友禅の熊崎和人さんに梅柄を手描きしていただきました

ところがところが
先生何を間違えたかとんでもない華やかな梅柄になり
「私が着るんですよこれでは20代のきものですよ」
と砂金の扇を全部消し更に大きな松を雲の中に押し込めて
どうにか期日は間に合ったのですが
それでも「派手」

「うーーん」と手にとって考えます
大きな舞台の上で着るきものですから年より派手でもいいのですが
やはり普通にも着たい

それで裏は総裏の白羽二重
帯は千藤さんの生成り建物織
地色も紬の生成りですので何とか渋くなりました

まえに私の個展を見にいらした方が
「お顔ときものが合っていませんね」
とつぶやかれたのですね
それ以来気をつけています