毎日更新!中谷比佐子のきもの365日

きもの日記です。さて何を着よう?と思ったときの参考にも

長い羽織

2012年03月31日 | きもの
今長い羽織を着る方が多い
そのため衣装調達の私たちは古い長羽織が市場に少なく
とても困惑しています
古着のお店はドコモ長羽織は好評で売れるらしいですね

長羽織がとてもお似合いの方が昨日いらっしゃいました
FBでお友達になった方ですが
姿のいい女性ですっかり見とれてしまいました

みじん縞の白地のお召しに瓶のぞき色の地色の帯を締め
黒地に白の柳絞りの羽織でした
とてもさわやか

職業は大学の先生なのですね
趣味でお着物をお召しだそうでおじいさまの時代は呉服商を
営んでいたようです
「遺伝子かしら」
「そうでしょうねえ」

呉服屋さんにはいるのが怖くて
それでもきものを見たくて入っては逃げてを繰り返し
やっと今は素敵な呉服屋さんとご縁が出来て
きものライフを楽しんでいらっしゃるようです

背もお高いし顔も小顔なので長い羽織がよく似合います

今回もお芝居で羽織を着る場面が多いのですが
昔の人は着物は地味で羽織命とばかり華やかな柄にしています
そう言う着こなしの時代の方がきものは面白い

最近のきものは色がなくなり
洋服の姿とあまり変わらない
だから着やすいということかも

私は女優

2012年03月30日 | きもの
「私は女優もっと華やかな物を着せて」
「はあー」
「私は女優の役しかもこの場面しか出ないのです
パッと人目を引くきものにして下さい」
「ごもっとも」

でもねーー
アンサンブルというのがありまする
(着たいきものをごじぶんでお持ちになれば?
と陰の声
岡田茉莉子さんはさすがご自分のきものを何枚かお召しになる

しかしその女優さんの心情もよく分かるので
「もう一度探しますね」
と優しくなだめるのでありました

また別の女優さん
「この羽織素敵ねいい色有難う」
「あらその色同じ場所で私の着ているきものの色とにている」
「そうでしたわね、では此方の色の羽織をーー」
「ハイそうします」

「わたしのきものぜーーんぶ好きありがとう」
「これ少し派手すぎない?」
「でも20代ですけど」
「そうか」

いろんな女優さんが居て面白い
それほど着る物は女優さんにとって役作りを越えた
思いがあるようですね

雑誌撮影の時は
足袋から下着は全部女優さんがお持ちになりますが
舞台はそれらも衣装係の仕事

「台詞を言ってるときより目が輝いているね」
と演出スタッフの言葉が
あらためてきものの持つ表現を感じた次第

歩き方

2012年03月29日 | きもの
きものの歩き方をあえて内股に
と思う方が多いのですが
私は内股には絶対歩けないですね

ついつい足先が外に向いてしまうのです
これは股関節に問題があると思って
股関節をきちんとしなければと考えたのですが
そうではないのですね

その昔幼少の頃頭を打っていたのが原因でした
どうしてかは長くなるのでやめますが
頭を打ち首の骨が緩み其れが骨盤にきてーー
と長く長く繋がっていました

たとえ外に足が向いていても
美しく歩くことを意識すればいいと思ったのです
それで立ち方を研究しました
太もも、膝、足首この3点がくっつくように
努力したのですね

これはバレエの正しい立ち方とも一緒でしたので
非常に納得した物です
そうするととにかく足が真っ直ぐになります
その足先の向いている方向に歩くことを心がけると
みっともなく足は外に向かないことが判明

しかし癖はなかなか直りませんね
ちょっと疲れると足先が外を向いています
ですから意識を怠らないように心がけています

不思議なことに
其れを意識するようになったらおなかの贅肉まで少し落ちました
人の体は意識そのものだと思った瞬間です

桜のきもの

2012年03月28日 | きもの
東京は朝は素晴らしいお日和でしたので
待望の桜のきものを取り出しました
まだ満開ではなくちらちら帯もちらちら

この着物のセットは
西行の「願わくばーーー」の短歌をもとにしました

西行といえばどうしてあんなに桜にご執心でしたのでしょう
彼がまだ北面の武士であったとき
そう平清盛と親友でした
その頃やんごとなき方に恋い焦がれ
その方との一夜がありそれが知れることとなって

西行もそのお方も出家してしまいます
美しく咲いて潔く散ってしまう桜にお二人を重ねたのでしょうか

西行は腕もたち教養もありさらに美しい武士で
どこか傲慢なところもあったようなのですね
これ見よがしに矢を射る腕を見せては
流鏑馬の王者を気取っていた若者でもあったようです

その時鳥羽院四天王のひとり源重実が
「君たちのっていうことは雅ではない」
矢を的に当てることのみを面白がっている
目的を達するにはそれに立ち向かう作法があり
それを忘れると雅な匂いが無くなり粗野になる

この言葉は西行の永遠のテーマだったのかも知れません

桜といえばやはり西行ですね
桜のきものは着る人もその姿を見る方にも
春を告げてうれしいきものです

丹田で着る

2012年03月27日 | きもの
丹田は
上丹田・中丹田・下丹田があります
特に殿方の袴の着付けはこの3丹田をとても意識していますね

上丹田は額の眉と眉の間つまり眉間
この眉間で物事を見るというのが武士の習わしだったとか
そこを上丹田、別の言い方は第3の目

空海の絵にこの第3の目をしっかり描いているのを空海展で
見たときこの時代も上丹田を大切に考えていたのだとおもいました

中丹田はちょうど袴の紐の結び目あたり
通常私たちが丹田と呼んでいるところです
上丹田で見たものを中丹田に落として考える

判断は下丹田
排泄するもの栄養に回すものを選別します
下丹田は肛門です

昔の人はうまいことをいいますね
上丹田でものを見て
中丹田で判断し
下丹田で判別する

きものはこの三つの丹田をしっかり際立たせています

面白いことに
西欧の人は目で見て頭で考え胸で判断するのだそうです
ですから言葉をたくさん使って
相手に分からせようとするのですね

洋服は男も女も胸の着方デザインに重きを置いているのも
うなずけます

きものの着方が思考にも現れている日本ですね
三つの丹田を意識した着方ですと
着くずれの心配もないように思います