早春賦 NHK名曲アルバムより
雪深い信州には、白い山とゆたかな清い水が流れています。その自然と同じ様に信州の人々は心が美しく、澄んだ眼をもっている。本来の日本人の特質をもってゐる。人間の心は、其処に身を置いた自然に深く影響されます。美しい大自然の下では、人も動物も天から与えられた純真の魂を持つ様です。厳冬が過ぎ日差しが強くなり、春をまち望むこころは日本中どこでも同じです。早春賦は、どうも古今集が持つ美的感覚を継承しているようだ、古今集を読むとその鮮烈な美的感覚に驚き、日本語を使う日本人に生れた私の中にも、その何篇かの詩がこころの中を流れている事を知る。その春を待ち望むこころを季節感と共に謳い上げます。歌声の美しさと、文語の美しさと、その美しい大自然を詠う豊かさ深さは、何よりも日本文化の粋を感じさせる名曲です。