・順位戦はピラミッド構造になっています。C級1/2組とB級2組には定員がありません。しかも降級点方式でB級2組は4人に1人、C級1/2組は4.5人に1人の割合で成績下位の棋士に降級点が付加されます。B級2組、C級1組は降級点2つで下のクラスに降級です。C級2組は降級点3つでフリークラスに編入され、順位戦に出場できなくなります。
降級点は昇級すると消され、2期連続の勝ち越しでも消す事ができます。
・順位戦B級1組以下には頭はねがあります。例えば全勝者が1名、9勝1敗が2名いたとします。上位のクラスへの昇級が2名の場合、全勝の騎士は問題なく昇級できますが、9勝1敗の棋士はどうなるのでしょうか。そのクラスの順位戦開始時の序列(順位)で上位の棋士が昇級します。これを「頭はね」と言います。
藤井聡太竜王・名人も伊藤匠七段もC級1組の時に頭はねによりB級2組に昇級できない事がありました。2人とも翌年にはB級2組への昇級を果たしています。
順位戦A級では降級のみに頭はねがあります。成績最上位者が複数いる場合はプレーオフにより挑戦者を決定します。
2020年度のA級では7勝2敗が1名、4勝5敗が6名いました。降級は2名ですので、4勝5敗の6名のうち最下位の序列の棋士が降級となりました。
・フリークラスにはC級2組から編入された棋士、奨励会の三段リーグ次点2回で編入を希望した棋士、棋士編入試験に合格した棋士とフリークラス宣言した棋士が在籍しています。
フリークラス宣言でフリークラス入りした棋士はどんなに好成績を上げても順位戦に出場することはできませんが、それ以外の棋士は所定の成績を上げると翌年の順位戦C級2組に出場する事ができます。しかし、フリークラスの棋士は順位戦以外の全棋士参加棋戦に出場する事ができます。
・竜王戦のランキング戦には飛び級があります。昨年はランキング戦5組優勝の伊藤匠七段が決勝トーナメントも勝ち上がり、藤井聡太竜王との番勝負に臨みました。結果は伊藤匠七段の敗退となりましたが、竜王戦番勝負の敗者は「ランキング戦1組に所属する」という規定により、今年度から1組所属となりました。飛び級があるのはランキング戦のみです。
名人戦以外は全て本選(挑戦者決定)までトーナメント方式ですので竜王戦以外に飛び級はありません。また、順位戦で名人に挑戦できるのはA級の成績最上位者のみです。
・叡王戦は段位別に予選が行われます。シードは前期の準決勝進出者のみです。例えタイトルホルダーであっても予選から出場です。また、叡王戦には永世称号の規定が一昨年までありませんでした。藤井聡太叡王が連覇したせいなのか、昨年になって通算5期で永世叡王とする規定がいつの間にか追加されていました。初代永世叡王になるのは誰でしょうか。
・永世称号は各タイトルよって異なります。獲得するためには棋戦ごとの規定を満たす必要があります。連続◯期獲得とか通算◯期獲得とかですね。中には連続のみとか通算のみというタイトルも存在します。
棋王は連続5期のみ、王将は通算10期のみです。そのため永世称号を獲得した棋士は、それぞれ2名しかいません。棋王は羽生善治九段と渡辺明九段、王将は大山康晴永世王将と羽生善治九段の2名です。どちらのタイトルも数10年の歴史がありますが、いかに永世称号を獲得するのが難しいかわかります。
永世称号は原則として引退後に就位します。が、永世名人は資格を持つ棋士の活躍や将棋界への貢献などによって現役で就位することが認められる場合があります。谷川浩司十七世名人はその一例です。
・棋聖戦は今年度で第95期ですが、1962年に第1期が開催されています。タイトル創設から62年で第95期なのは第65期までは年2期のタイトル戦が行われていたからです。1995年度より他のタイトル戦と同じ年1期のタイトル戦になりました。