ニコール・キッドマンとトム・クルーズが離婚する原因となった映画だそうである。
私が見たのはずいぶん前で、たしかにエロチックな映画には違いないが、決して男と女の性がテーマだなんて思わなかった。今見直して見ると、身につまされるシーンも結構あって、それはそれで面白いのだが、やはり劇中の秘密結社のシーンはある種の不気味さを持って記憶している。とりわけ、トムがタクシーで城に乗り付けるシーンはホラー映画のような怖さがある。
当時はまだこの世界が陰謀に満ちた世界であるという認識もなかったので、世の中には米国南部のKKKのような組織があるんだろうというくらいの印象だった。キューブリックほどの異才が、単なるSEXをテーマとして映画を作るなんてあり得ないとも思った。
何故再び映画を見直したのかと言えば、この映画の大きな存在である秘密結社なるものが、決してフィクションの世界なんぞではないということと、映画を撮り終えた後、キューブリックが急死したということを知ったからだ。
つい最近まで、キューブリックが、この映画の試写会の5日後に急死したということを知らなかった。
そこで、この映画に登場する秘密結社と、彼の急死についての因果関係に興味を持ったのだ。
映画の製作についてはスピルバーグも参加してると言うし、キューブリック自身もユダヤ教徒だから、映画が公開されて、かの組織が困るようなことはないと思うのだが、それにしても胡散臭さが残る。
カリフォルニアのボヘミアン・グローブという森の中で、毎年夏に支配者層の酒池肉林の会合が開かれるというスクープ動画がネット上に載ったのは何年か前で、これは私も早くから見ている。会員以外に絶対に侵入出来ないと言われるこの宴会に侵入し、隠し撮りしたという動画まで載せたのは、アレックス・ジョーンズという人だが、この人の奥方はユダヤ人という話である。「SLIVE」なる動画を作ったP&Gの御曹司、フォスター・ギャンブル やデイビッド・アイクなどと同様、胡散臭い人物であるが、911はインサイドジョブだなどと、ロックフェラーの自宅に向かって吼えてるのを最後に彼の動画をを見なくなった。どうも、Apple、YouTube、Facebookなどが、アレックス・ジョーンズを締め出す決定を下したのだという。理由として「差別的な発言を容認しないため」というが、ユダヤ人である彼がユダヤ人の悪行を批判してるのを「差別」というのはおかしな話である。彼は一貫して米国に於ける小児誘拐事件について糾弾していたのであって、そこには差別などということはない。
つい最近、カトリックの聖職者が小児性愛や、小児虐待、さらには子供たちの殺人に関与していたという報道がBSニュースで流されたので、まったくアレックスの言う通りだったわけだ。
さてボヘミアングローブだが、実際子供を生贄にするという話もあるし、まさに酒池肉林という有様で、レイプや同性愛、はては殺人まであるというのだから気味が悪い。メンバーは各国の要人、金融マフィア、所謂イルミナティと呼ばれる人たちだという。
こういう予備知識がなければ、この映画も単なる倦怠期の夫婦の物語ということになってしまうが、実はそうではない。実際映画の中の登場人物のように、その気になれば、いとも簡単に人を殺したり、拉致したり出来る組織だ。サダム・フセイン、カダフィ、チャべスを筆頭に南米の指導者、ダイアナ、など、実際われわれはそうした現実を見ているではないか。
そういう目で見れば、アイズ・ワイドシャットなるタイトルも、また違った意味を持ってくる。
怖い映画だ。