2021年、新年あけましておめでとうございます。
昨年2020年は新型コロナで大変な年になりました。引き続き先が見えない状況ですが、とにかく感染予防を徹底して、頑張りましょう。
当ブログ、ゆっくりですが更新を続けていく所存です。
よろしくお願い申し上げます。
さて、お正月ですので、正月料理ということで「がりがりなます」です。
霞ヶ浦沿岸、茨城県南から鹿行地域の郷土食です。
「聞き書 茨城の食事 日本の食生活全集⑧」(発行:社団法人農山漁村文化協会)によると、
南部水田地帯の食として、「がりがりなますは、正月になくてはならない料理である」
とのこと。そして
「大根を目の粗い『がりがりおろし』でおろして、焼いた小ぶなの身を入れ、酢であえる」とのことで、材料は大根、焼いた小鮒、酢が基本のよう。
「こぶなのかわりにわかさぎを用いることもあるが、小ぶなのほうがおいしい」
とのことです。
また以前、当研究会で郷土食アンケートをした時に、神栖にお住まいのNさんからも「がりがりなます」を教えて頂きました。
Nさんによりますと、「がりがりなますは、冠婚葬祭に出される」とのこと。
材料は、「だいこん、にんじん、フナ(酢漬け)」で、「フナはタコなどで代用」し、
「だいこんとにんじんは、鬼おろしでおろし、フナの酢漬けを加え、合わせ酢(酢、砂糖、塩)と混ぜ合わせる」
とのことでした。大根の他に人参も入れるのですね。
上記の本にある「がりがりおろし」は「鬼おろし」のことのようですね。
すみつかれを作る際に大根をおろすのも、鬼おろしが必須ですので、茨城では鬼おろしは必須アイテムです(^^)
写真は我が家の鬼おろし。鬼おろしは竹製です。
伝統的には鮒(ふな)を使うようです。
冬のこの時期の鮒(寒鮒)は非常に美味しいものと聞きますが、残念ながら、私の住むつくばでは、なかなか手に入りません。
使う魚については、別の文献「食彩百景 いばらきの味 郷土料理献立集」(発行:茨城県衛生部成人病対策課)では、「酢漬けの魚」」となっています(こちらのレシピでは味噌も少々使用)。
更に別の文献「いばらきのおかず 郷土の食材と料理」(協力:茨城県食生活改善推進団体連絡協議会、発行:開港舎)では、鹿嶋市の協議会のレシピとしてタコを使っています(こちらのレシピでも人参が入ります)。
神栖のNさんも「タコでも代用」とのことでしたので、手に入りやすいタコもよく使われるようですね。
今回、私は、「聞き書 茨城の食事」にある「わかさぎでも作る」ということと、わかさぎはつくばでも手に入りやすいということから、「わかさぎ(煮干し)」を使って作ってみました。
また彩りと栄養も加わるので、人参も入れてみました。
※霞ヶ浦の「わかさぎの煮干し」は、煮干しと言っても柔らかい塩ゆでされたわかさぎです。
- 煮干しのわかさぎを、味醂と酢を合わせたものに漬けておきます。
煮干しなので既に塩味が強めについていますので、基本的に塩を加えませんでした。もし味見して足りなければ少しだけ塩を加える程度で良いと思います。
- 大根と人参を、「鬼おろし」(これが絶対のキ-ポイント)でおろし、①を和えて出来上がり。
さっぱりして、滋味豊かで、美味しいです。
「正月に欠かせない」とのことですが、おせち料理で疲れた胃にはとても優しいですし、優しいだけでなく旨味のあるなますです。
「わかさぎより小ぶなの方が美味しい」とのことですが、わかさぎでも大変美味しい。
…そうすると、小ぶなを使うとどれだけ美味しいのでしょう 小ブナ(それも寒ブナ)が手には入ったら作ってみたいと思っています。
おまけ。
人参を入れたバージョンと入れないバージョンの比較。
赤い人参が入るとやはり鮮やかですね。
(市川)