障がい者、ごみ分別に汗 田辺市や白浜町
和歌山県の田辺市や白浜町のごみ処理施設で、障害者支援施設の利用者が自治体の委託を受けてごみの分別作業に取り組んでいる。収入の増加や地域の役に立っているという喜びが、障害者のやりがいにつながっている。
田辺市元町の市ごみ処理場内にある「容器包装プラスチックリサイクル施設」。「ふたば福祉会」(同市文里)や「県福祉事業団」(上富田町岩田)の利用者ら約30人が、各家庭から出されたプラスチックごみの分別作業に汗を流している。
施設に運び込まれるごみの量は、1日約6トン。そのうち約3割が事前に大まかにリサイクル不適物を取り除く「前処理」に回され、残りが長さ約4メートルのベルトコンベヤーに乗せられる。利用者は次々と流れてくるごみが「容器包装プラスチック」かそれ以外のプラスチックか、ペットボトルか、瞬時に判断して分けていく。
ごみの中には、食べ残しが入ったままの弁当がらや、たばこの吸い殻が放り込まれたペットボトルが交ざっていることがある。カミソリや使い捨てライターなど、危険物が含まれていることもある。
ふたば福祉会の職員、木田誠也さん(44)は「大変な作業だが、大切な仕事を市に任されているという責任感があり、みんな黙々と作業に打ち込んでいる。これまでの仕事と比べて利用者の賃金も約4倍に増えた」と話す。「処理作業の現場をもっと多くの人々に知ってもらい、ごみの減量化や分別の徹底につながれば」と訴える。白浜町保呂の町清掃センターでも週2日、町内の知的障害者通所授産施設「白浜コスモスの郷」の利用者8人がペットボトルの処理作業を担当。ふたやラベルを外したり、種類ごとに分けたりといった仕事を一つ一つ手作業で行っている。分別されたペットボトルは田辺市内の業者に搬入され、ごみを回収するためのコンテナや自治体指定のごみ袋などに生まれ変わる。