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電力不足口実に 財界また『海外移転』と脅し

2011-07-29 | 原発関連
              

 財界は『クリーン、安全、経済的、安定』と宣伝して原発依存を高めてきました。電気事業連合会によると、1966年に営業運転を始めた日本の原発は、電力量全体に占める割合(電源別発電電力量構成比)を70年度の1・6%から85年度には27%に高め、その後30%前後で推移しています。
 東京電力福島原発事故は、原発がいかに危険で高くつき、電源としても不安定かを証明しました。電事連によると、今年6月、原発の設備利用率(稼働率)は36・8%で、32年ぶりの低水準となりました。電力量の3割を原発に頼りながら、稼働率が4割以下。安定した電源としても、原発は失格です。
 経団連は22日に発表した『アピール2011』で、『活力ある経済社会の再構築』のため『原子力に対する信頼回復』を主張しました。しかし、福島原発事故はいまだに収束の見通しが立ちません。大手メディアによる各世論調査でも、将来は原発をなくす、または減らすべきだという声が7割前後を占めています。

 海外も不足

 「電力不足だから海外移転」という主張にはまったく根拠がありません。日本の大企業が移転先としているアジアの開発途上国の方が電力不足は深刻です。
 経済同友会の長谷川閑史代表幹事は20日の記者会見で「それほど簡単に海外に出ることができるのか。受け入れ国の電力供給が確保できるのか」と聞かれ、「ご指摘の点はごもっとも」と認めました。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が海外進出した日系の製造企業に生産面での問題点を聞いたアンケート(2010年度『在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査』、複数回答)で、『電力不足・停電』を挙げた企業は、ベトナムで70・3%、バングラディシュで63・6%、インドで56・8%、フィリピンで46・8%、インドネシアで40・7%でした。ベトナム、バングラ、インドでは『電力不足・停電』が問題点のトップを占めました。
 第一生命経済研究所が2日に発表した『定例経済指標レポート』は中国について、「電力不足の深刻化により、一部地域で輪番停電が実施されるなど生産への下押し圧力が高まっている」と指摘しています。


 法人税減税・TPP・労働規制緩和・・・

  積年の要求 実現図る


 国民を犠牲

 財界が『海外移転』で脅すねらいはどこにあるのでしょうか。
 経団連は『アピール2011』で、電力不足とともに『重い法人税課税、行き過ぎた温暖化政策と労働規制、TPP(環太平洋連携協定)に代表される経済連携交渉への取り組みの遅れ、過度な円高』を挙げ、解決できなければ『産業の空洞化が加速する』と言い張りました。
 トヨタ自動車の豊田章男社長も13日の記者会見でこれらを『六十苦』と呼び、政府に対応を求めました。
 法人税減税は消費税増税を、TPPは農林水産業の壊滅を、労働規制の緩和は非正規雇用のさらなる拡大をもたらします。結局、財界の主張は、震災、原発事故を利用して積年の要求を一気に実現し、国民を犠牲にしてさらにもうけを増やそうということです。
 

 展望の道は

 将来の展望は原発から撤退することで開かれます。
 日本の総発電量(企業などの自家発電も含む)に占める原発の割合は09年実績で25%です。今後5~10年の間に電力消費量を10%程度削減し、現在9%程度しかない再生可能エネルギーの電力を2・5倍程度に引き上げれば【原発ゼロ】にしても電力をまかなうことができます。日本共産党は6月13日に発表した提言でこうした展望を示しました。
 環境省が10年度に行った『再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査』によれば、太陽光、風力、中小水力、地熱発電の可能性は20億5800万キロワット。日本にある全原発の供給能力の40倍以上です。
 日本の再生可能エネルギー技術は世界でも先進的です。今後5~10年間に原発をゼロにし、再生可能エネルギーへの置き換えと低エネルギー社会への取り組みによって総発電量の2~3割程度を再生可能エネルギーでまかないことは十分可能な目標です。



 日系企業が挙げた生産面の問題点上位3項目(%、複数回答)


      中国              べトナム

1位 調達コストの上昇 55・9  電力不足     70・3 

2位 品質管理の難しさ 43・3  原材料・部品の現 67・3
                     地調達の難しさ
3位 原材料・部品の現 43・1
   地調達の難しさ        品質管理の難しさ 49・5


    インドネシア            フィリピン

1位 原材料・部品の現 53・9  原材料・部品の現 56・4
   地調達の難しさ        地調達の難しさ

2位 調達コストの上昇 52・8  調達コストの上昇 47・9

3位 電力不足・停電  40・7  電力不足・停電  46・8


    バングラディシュ          インド          

1位 電力不足・停電  63・6  電力不足・停電  56・8

2位 原材料・部品の現 63・6  物流インフラの  54・3
   地調達の難しさ        未整備

3位 調達コストの上昇 54・6  原材料・部品の現 51・9
                    地調達の難しさ

(ジェトロ『在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査<2010年度>から作成)



 















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