安倍は、「消費増税再延期」で国民の信を問え
安倍長期政権への秘策を新年早々のお年玉として読者に提供する。読者はこれまで通り自分の考えとして講演するなり授業などで講義し、新聞や雑誌で論評しても結構。「いただき」でよい。その秘策というのは「3段ロケット3年噴射」論だ。
首相・安倍晋三は年頭所感で「築城3年、落城1日」と名言を吐いたが、築城後は3年ごとに大修理をする必要がある。1段目の噴射は政権獲得で済んだ。2段目の噴射は今年7月の衆参ダブル選挙である。これに圧勝して長期政権の礎を築くが、2020年夏のオリンピックまでにはもう一度総選挙が必要となる。
19年に再びダブル選挙を行い第3ロケットを噴射させるのだ。いわばダブル選挙のダブルだ。深読みに深読みを重ねた真田幸村並みの秘策だ。
新年の新聞の政治記事はまるで天下太平を地で行くように問題意識のない記事ばかりであくびが出た。日本は幸福な国だ。政局記事をご隠居さんの床屋談義のように「今年の政局は・・・」などという書き出しで書くケースは、昔から下手の見本とされてきたが、最近では通用するらしい。
悟り顔のテレビタレントのような評論屋が「1票の格差があるからダブルはない」などと悟ったように主張するのもアホらしさが先に立って読んでいられない。大局を読めないのだ。今年の大局とは「解散様」なのであって、「1票の格差」など「小局」が出る幕ではない。大局が小局を動かすのであって、小局が大局を左右することなどない。
ジャーナリスト以上に時代を言葉で切り取る名人だった福田赳夫は昭和39年(1964年)に「昭和元禄」と唱えたが、その言を借りれば今はさしずめ「平成元禄」だ。しかし昭和はいわば“銭ゲバ”の時代だったが、平成元禄の繁栄は科学技術といい、文化といい昭和元禄とは比較にならぬ「深味」がある。はっきり言ってそれだけでも「安倍治世」の功績は大きい。
そんな中で元旦の紙面は、わが“敬愛?”する朝日新聞だけが一面のトップで「首相、衆参同日選も視野」と踏み込んだ。外れれば普通政治部長の首が飛ぶ記事だが、詳しく分析すると安倍自身に探りを入れた上で書いている匂いが漂う。しかし何か自信のなさそうなのはごちゃごちゃ訳の分からぬ写真をトップにいっぱい載せて、記事を小型にした点だ。読売のドスの利いた編集態度と異なり、朝日の“インテリデスク”が責任逃れにやりそうな姑息(こそく)な紙面作りで、踏ん切りが悪い。
プロが見ると内心びくびくしている姿が浮かび上がる。男なら度胸出せと言いたい。逆に産経は安倍と対談をしたまでは良かったが、「解散総選挙は全く考えていない」などと通り一遍の反応しか得られなかった。
ほかの全国紙の政局記事は「丸出だめ夫」ばかりであった。どうせ後から時機をうかがって安倍から直に取ったふりをして「首相、同日選を決断」といった具合に書いて、朝日に追いつこうとするに決まっておるのだ。読売も新年はナベツネが対談すれば面白いのだが、二流のつまらぬ対談であった。社説も理屈に走ってなぜか今までの見事な切り口がなかった。
なぜダブルかは、年末12月1日の「来夏にダブル選がなぜあり得るか」にとっくに筆者が書き込んでいるからそれを読み返せばすぐに分かるが、最大の理由を端的に言えば相乗効果だ。衆院で自民党に投票する人は参院でも「ついでに」自民党と書いてしまうのだ。
日本がサミット番の年は選挙に勝てないというジンクスがあるが、中曽根康弘が定数是正の周知期間があるから解散は無理だと思わせた「死んだふり解散・ダブル選挙」の例だけがサミット後に勝っている。その効果を明白に現しているのだ。安倍が「死んだふり」をする場合も「小局」1票の格差があるから解散は無理だと思わせる手もある。
今回新たに一つのメルクマール(指標)として注意すべきは「消費増税再延期」との絡みだ。意外に思うかも知れないし、安倍も一回目の増税延期に当たって「17年の10%への増税はリーマンショックのような事態が生じない限り延期しない」ときっぱり明言している。
しかし、かつてなく低い失業率、賃金の上昇、輸出の活況などデフレ脱却とも言える状況が生じている。こうした世界でもまれに成功しつつある経済政策であるアベノミクス効果は、まだひ弱な側面があり、これにみすみす水をかけるようになるのが10%への再増税である。
「軽減税率で公明党との調整がついたから来年の再増税延期はない」という見方も大局を外して小局に堕している。ここは安倍が「臆面もなく」増税再延期をすべき時である。盟友・麻生太郎や財務官僚の5人や6人の首をたたき切っても、延期に従わせるべき時である。延期すればアベノミクスは成功し、完成する。その前にわざわざ景気の腰折れを招く必要などまるで無い。
そして、重要なるポイントはその「増税再延期」を理由に国会を解散することだ。小泉純一郎が参院で郵政法案が否決されたのを理由に衆院を解散・圧勝したのは、めちゃくちゃな政治手法だが、結果論的には天才的な洞察力をもった手法でもあり、安倍はこれを踏襲するのだ。
なぜ「臆面もなく」延期するかは、アベノミクス完成のためであり、政党トップとしての大義は十分にある。安倍が解散に当たって「これまで増税延期はないと発言してきたが、ここはアベノミクスの正念場。総仕上げをする時間を頂きたい」と訴えれば、国民は野党には悪いが「やんやの喝采」で自民党を支持する。ダブル選挙は野党の「野合共闘」も粉砕し、空前の圧勝となるだろう。
ここで注目すべきは逆のメルクマールで増税延期の選択もあることだ。延期をして解散のチャンスを広げるのだ。17年の増税実施だからこそダブルしか選択肢がないのだが、延期すれば可能性が出てくる。解散時期の選択肢が広がるのだ。
しかし、これは見え見えの邪道で、「攻めの安倍」にはふさわしくない。参院選も総選挙も個別選挙では敗北必至だ。さらにダブル選挙に公明党が反対するからできないと言うが、過去二つのダブルは公明党票など当てにしていなかった。
公明党代表・山口那津男が「選挙協力のエネルギーが制約される」と言うが、鉄の団結の創価学会である。住所移転などしなくてもよい。学会員に衆参4つの選挙で何処に投票すべきかは1日か2日の“学習”で可能になる。ここは山口もおおさか維新に連立を取られないよう頑張るときだ。ただし安倍は通常国会当初は「死んだふり」でも「寝たふり」でも「あっち向いてほい」でもいい。解散を否定し続けるのが常道だ。
安倍長期政権への秘策を新年早々のお年玉として読者に提供する。読者はこれまで通り自分の考えとして講演するなり授業などで講義し、新聞や雑誌で論評しても結構。「いただき」でよい。その秘策というのは「3段ロケット3年噴射」論だ。
首相・安倍晋三は年頭所感で「築城3年、落城1日」と名言を吐いたが、築城後は3年ごとに大修理をする必要がある。1段目の噴射は政権獲得で済んだ。2段目の噴射は今年7月の衆参ダブル選挙である。これに圧勝して長期政権の礎を築くが、2020年夏のオリンピックまでにはもう一度総選挙が必要となる。
19年に再びダブル選挙を行い第3ロケットを噴射させるのだ。いわばダブル選挙のダブルだ。深読みに深読みを重ねた真田幸村並みの秘策だ。
新年の新聞の政治記事はまるで天下太平を地で行くように問題意識のない記事ばかりであくびが出た。日本は幸福な国だ。政局記事をご隠居さんの床屋談義のように「今年の政局は・・・」などという書き出しで書くケースは、昔から下手の見本とされてきたが、最近では通用するらしい。
悟り顔のテレビタレントのような評論屋が「1票の格差があるからダブルはない」などと悟ったように主張するのもアホらしさが先に立って読んでいられない。大局を読めないのだ。今年の大局とは「解散様」なのであって、「1票の格差」など「小局」が出る幕ではない。大局が小局を動かすのであって、小局が大局を左右することなどない。
ジャーナリスト以上に時代を言葉で切り取る名人だった福田赳夫は昭和39年(1964年)に「昭和元禄」と唱えたが、その言を借りれば今はさしずめ「平成元禄」だ。しかし昭和はいわば“銭ゲバ”の時代だったが、平成元禄の繁栄は科学技術といい、文化といい昭和元禄とは比較にならぬ「深味」がある。はっきり言ってそれだけでも「安倍治世」の功績は大きい。
そんな中で元旦の紙面は、わが“敬愛?”する朝日新聞だけが一面のトップで「首相、衆参同日選も視野」と踏み込んだ。外れれば普通政治部長の首が飛ぶ記事だが、詳しく分析すると安倍自身に探りを入れた上で書いている匂いが漂う。しかし何か自信のなさそうなのはごちゃごちゃ訳の分からぬ写真をトップにいっぱい載せて、記事を小型にした点だ。読売のドスの利いた編集態度と異なり、朝日の“インテリデスク”が責任逃れにやりそうな姑息(こそく)な紙面作りで、踏ん切りが悪い。
プロが見ると内心びくびくしている姿が浮かび上がる。男なら度胸出せと言いたい。逆に産経は安倍と対談をしたまでは良かったが、「解散総選挙は全く考えていない」などと通り一遍の反応しか得られなかった。
ほかの全国紙の政局記事は「丸出だめ夫」ばかりであった。どうせ後から時機をうかがって安倍から直に取ったふりをして「首相、同日選を決断」といった具合に書いて、朝日に追いつこうとするに決まっておるのだ。読売も新年はナベツネが対談すれば面白いのだが、二流のつまらぬ対談であった。社説も理屈に走ってなぜか今までの見事な切り口がなかった。
なぜダブルかは、年末12月1日の「来夏にダブル選がなぜあり得るか」にとっくに筆者が書き込んでいるからそれを読み返せばすぐに分かるが、最大の理由を端的に言えば相乗効果だ。衆院で自民党に投票する人は参院でも「ついでに」自民党と書いてしまうのだ。
日本がサミット番の年は選挙に勝てないというジンクスがあるが、中曽根康弘が定数是正の周知期間があるから解散は無理だと思わせた「死んだふり解散・ダブル選挙」の例だけがサミット後に勝っている。その効果を明白に現しているのだ。安倍が「死んだふり」をする場合も「小局」1票の格差があるから解散は無理だと思わせる手もある。
今回新たに一つのメルクマール(指標)として注意すべきは「消費増税再延期」との絡みだ。意外に思うかも知れないし、安倍も一回目の増税延期に当たって「17年の10%への増税はリーマンショックのような事態が生じない限り延期しない」ときっぱり明言している。
しかし、かつてなく低い失業率、賃金の上昇、輸出の活況などデフレ脱却とも言える状況が生じている。こうした世界でもまれに成功しつつある経済政策であるアベノミクス効果は、まだひ弱な側面があり、これにみすみす水をかけるようになるのが10%への再増税である。
「軽減税率で公明党との調整がついたから来年の再増税延期はない」という見方も大局を外して小局に堕している。ここは安倍が「臆面もなく」増税再延期をすべき時である。盟友・麻生太郎や財務官僚の5人や6人の首をたたき切っても、延期に従わせるべき時である。延期すればアベノミクスは成功し、完成する。その前にわざわざ景気の腰折れを招く必要などまるで無い。
そして、重要なるポイントはその「増税再延期」を理由に国会を解散することだ。小泉純一郎が参院で郵政法案が否決されたのを理由に衆院を解散・圧勝したのは、めちゃくちゃな政治手法だが、結果論的には天才的な洞察力をもった手法でもあり、安倍はこれを踏襲するのだ。
なぜ「臆面もなく」延期するかは、アベノミクス完成のためであり、政党トップとしての大義は十分にある。安倍が解散に当たって「これまで増税延期はないと発言してきたが、ここはアベノミクスの正念場。総仕上げをする時間を頂きたい」と訴えれば、国民は野党には悪いが「やんやの喝采」で自民党を支持する。ダブル選挙は野党の「野合共闘」も粉砕し、空前の圧勝となるだろう。
ここで注目すべきは逆のメルクマールで増税延期の選択もあることだ。延期をして解散のチャンスを広げるのだ。17年の増税実施だからこそダブルしか選択肢がないのだが、延期すれば可能性が出てくる。解散時期の選択肢が広がるのだ。
しかし、これは見え見えの邪道で、「攻めの安倍」にはふさわしくない。参院選も総選挙も個別選挙では敗北必至だ。さらにダブル選挙に公明党が反対するからできないと言うが、過去二つのダブルは公明党票など当てにしていなかった。
公明党代表・山口那津男が「選挙協力のエネルギーが制約される」と言うが、鉄の団結の創価学会である。住所移転などしなくてもよい。学会員に衆参4つの選挙で何処に投票すべきかは1日か2日の“学習”で可能になる。ここは山口もおおさか維新に連立を取られないよう頑張るときだ。ただし安倍は通常国会当初は「死んだふり」でも「寝たふり」でも「あっち向いてほい」でもいい。解散を否定し続けるのが常道だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます