ふるさとは誰にもある。そこには先人の足跡、伝承されたものがある。つくばには ガマの油売り口上がある。

つくば市認定地域民俗無形文化財がまの油売り口上及び筑波山地域ジオパーク構想に関連した出来事や歴史を紹介する記事です。

ガマの油売り口上〔技法〕アイコンタクト・視線はどこを向いているか

2014-02-08 | ガマの油口上 技法


視線は、どこを向いているか 

 ガマの油売り口上を演ずると、観客の視線が気になる。聞いているのか、上の空、聞かないでこの場から去っていこうとしているのかと、脳裏を去来する。反対に、見る人聞く人の側から考えれば、自分に語りかけているのか、気に入った人にだけ語りかけていないか視線が気になるので、一人一人、視線を向けて語りかける必要がある。

  

しっかりと、相手の目を見る
 誰と誰の会話であっても、関心をもって相手の話に耳を傾けようとしている人は、必ず話し手の方を向き、じっと相手の目を見て聞くものである。関心の度合いが目の向きや目の力に表れる。
 店の販売員と客、駅員と乗客、医者と患者、学校の先生と生徒や父兄など、会話が行き交う場で見られる光景である。 


 たとえば医者が、いくら忙しくても患者の訴えはちゃんと向き合い「ハイ!、〇〇が具合が悪いのですね! 熱がありますか? 痛みはありますか?」と目を開いて、患者の目を見ながら話を聞いてくれると患者は安心する。
 医者が上の空、胡散臭そうな応答をすると腹が立つ。「ちゃんとこっちの話を聞けよ!」と不満が残る。


 目をしっかり開け、観客の一人ひとりの目を見ながら口上を演ずる。 これによって口上を演ずる者と見る観客に共感が生まれる。目を見て受けとめる威力も、目で発信する威力も大きい。  


ときには視線をはずす 
 
買い物に行った時の経験。受けとったお釣りやレシートを、財布にしまうとき。支払で、1円また1円と、1円玉をつまんで出すとき。こんなとき、客は心の中で「ちょっと待ってー、すまん、1円玉が・・・・・」と焦ってしまうことがある。後ろで待っているお客さんの視線も気になる。 
 店員がジーツと無言でこちらの手元を見つめていると、緊張感が漂ってくる。まるで監視されているような嫌な気分になる。これとは反対に、気配りのいい店員は、上手く目をそらしてくれる。このようなときはホッとする。


 役場で書類を提出する。記載事項に誤りがあったときのこと。 係りの職員から訂正を求められ 「ここで、直していただいて結構ですよ」と 言われても、ヘタクソの字をジロジロ見ないでよと思う場合がるかと思えば、あえて見ないように机の周辺の書類を整理したり、他の職員の動きに注意を向けたふりをしてくれた係りもいる。

 その場、その時の人間の視線の置き方ひとつで、相手はリラックスできたり、逆にストレスを感じる。 “企業秘密”だから明かせないが、口上を演じていると、相手に凝視されたくない場もあるが、この場を上手く切り抜けて行けるように工夫、練習を重ねないといけない。

 相手がなにかしている手元や見られて都合の悪いところを凝視せず、軽く視線をはずす、この気配りが大切である。 


アイコンタクトを心がける  
 
最初に行き交う人と目が合ったとき、ニコッと会釈する。たとえ口上を見ない、聞かない人であってもである。口上演技の場に集まった人だけでなく、遠くを行き交う人にもアイコンタクト。 いつか聞いてくれるかもしれない、見てくれるかもしれない。少なくとも筑波山に来たことに対してマイナスのイメージを与えない。 

 遠方で声が届かなくてもいい、大きく頭を下げる挨拶も必要ない。とにかく目と目が出会ったら、心の中で「おはようございます」「気をつけてお帰りください」とつぶやきながら、笑顔で会釈をすることだ。


 店頭で店員に「無視された」とか、「この店の店員、挨拶も満足にできないのか!」と文句を言いたくなる時がある。これは、客として店に入り店員と最初に出会った瞬間のアイコンタクトのとき、無視された、会釈してもらえなかったとの印象による場合が多い。

 頭を下げて、角度をとることばかりが挨拶ではない。相手は、関心があるからこちらを振り向いたのだ。何か他のことをしていても、通り過ぎていく人に対しても目が合ったら、瞬時に心をかたむけて軽く頭を下げると、いつか口上を聞いてくれるかもしれない、見てくれるかもしれない。

 
                                   


口上の途中で去っていく人、通り過ぎる人    
  背中に向かって声をかける気持ちで 
 
レストランに入って食べるものを注文する。店の中は客で混んでいる。店員は忙しそうにメニューをテーブルに運び、食べ終わった食器を片付けている。こちらは食べるものを注文したいが、そのときを待っている。手前は客だよ、ちょっとこちらを向いてくれたらと思う。素知らぬフリされると、いつまで待たせるのかと苛立ってくる。どんなに忙しくても、ふり返って笑顔を見せながら「はい! 少々お待ちください」と反応してくれるとホッにとする。
 
感じの良い店は、買い物を終って店を出て行くお客様の後ろ姿に向って「有り難うございます!」と声をかける。たとえアイコンタクトができなくてもの背 中に向かって声をかける。わずかな気配りで共感が生まれる。人の背中には ”表情” がある。 

  筑波山神社に参拝する人は老若男女、職業もいろいろ、人さまざである。神社に参拝したり、山頂へ行く人、これを終えて帰る人、これまたいろいろである。  
 神社前の急な階段を上り下りする高齢の人の後ろ姿に向かって「お気をつけ下さいね!」とか「こんなに急な階段を登れるのですから、健康な証拠ですよ!」と声をかけると、例外なく「そうだね!」と返事が返ってくる。

 後姿を見て声をかけたくなる人、反対にいやな人だと思う人がいる。背中には眼は無いが、背中はその人を語っている口上の途中で去っていく人、通り過ぎる人にも一言声をかけてみる。 

 
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