
監督
スティーブン・ソダーバーグ
出演
ベニチオ・デル・トロ
フランカ・ポテンテ
カタリーナ・サンディノ・モレノ
あらすじ
アメリカ・フランス・スペイン合作の2008年の映画。
元々長編だった『チェ』を、二部作に分けた内の前編で、革命家チェ・ゲバラが、フィデル・カストロと共にキューバ革命を成功に導くまでを描いている。
寸評
チェ・ゲバラは革命家のシンボルである。
そして革命戦士以外にも、医師、政治家、文筆家と多才の人であり、一種のファッションイコンである。
この映画を評する前に彼の事を少し知る必要がある。
ゲバラはキューバ革命を成立に導いた功労者の一人であり、現在もキューバにて絶大な影響力を持つフィデル・カストロの同志である。
確固たるゲリラ戦理論の持ち主であり、その後半生の殆どを戦地で過ごした。
一国の閣僚クラスに上り詰めながら、政治家としても英雄にまでなっておりながら、ポジションを捨て、再度ゲリラ戦に復帰するのである。
こんな政治家は現代には彼を除いてはいない。
具体的には1965年のアジア・アフリカ経済会議に出席した翌年に、コンゴ動乱に革命指揮のために参加し、翌年にはボリビアに変装して潜入しているのである。
驚嘆に値する行動力と信念の持ち主である。
しかし、現代日本に伝わるゲバラの人物像は、ファッションの象徴である。
ジョンレノンが彼を「世界一カッコいい男」と評したり、Rage against the machineや浦和レッズがオフィシャルマークにしたり、Tシャツのロゴだったりする。
意味もよく判らずに。
さて、この映画である。
まず、ゲバラという映画には格好の素材を使いながら、淡々とした映画である。
本作は2部作の前篇でキューバ革命が成立するまでを描いた作品である。
したがって、史実としてはゲバラが現役バリバリの革命戦士である。
そして、小規模なゲリラ戦術を展開していく。
が、その戦術が細かく描写されるのではない。
ここがまず期待外れだった。
エンタメ感が薄れるのだ。
勿論戦闘シーンの描写はあるのだが、地味である。
むしろ彼の人間性や他者との関わりを中心に描いていく。
セリフにカッコいいところは多い。
が、これは映画が格好良いわけではなく、ゲバラが格好良いのである。
ベニチオ・デル・トロの演技は素晴らしい。
ルックスはかなり好い線行ってる。
トップの画像の上が映画、下が本物。
25キロの減量を行ったとのこと。
そして演技だが、大仰気味の身振りが若干目立つが、挙措は誇りある指導者としてのゲバラのそれを想起させる。
セリフはよくわからない。
スペイン語なので。
若干地味な感はあるが、キューバ革命の顛末、ゲバラという指導者を知るきっかけにはなるんではないだろうか。
ゲバラの考え方やエピソードはよく描かれている。
逆に予備知識ゼロだと、かなり難しい。
私はゲバラ日記を熟読するほどのゲバラ好きなので、非常に興味深く観た。
そして、革命を追体験するような感覚も味わえた。
続編も期待している。
余談だがゲバラは後年広島の原爆ドーム、資料館を訪れている。
(日本政府の許可が出なかったため、業を煮やしたゲバラは大阪のホテルに滞在中、「ホテルを抜け出して広島に行くぞ」と決断)
その際、
「なぜ日本人はアメリカに対して原爆投下の責任を問わないのか」
とゲバラは言ったという。
運動家の彼ならではの逸話だが、我々日本人の心に突き刺さる価値観である。
今日は、広島に原爆が投下されて64年。
現在の日本を彼が見たら、軽蔑してしまうのだろうか。
そんなことを考えた。
スティーブン・ソダーバーグ
出演
ベニチオ・デル・トロ
フランカ・ポテンテ
カタリーナ・サンディノ・モレノ
あらすじ
アメリカ・フランス・スペイン合作の2008年の映画。
元々長編だった『チェ』を、二部作に分けた内の前編で、革命家チェ・ゲバラが、フィデル・カストロと共にキューバ革命を成功に導くまでを描いている。
寸評
チェ・ゲバラは革命家のシンボルである。
そして革命戦士以外にも、医師、政治家、文筆家と多才の人であり、一種のファッションイコンである。
この映画を評する前に彼の事を少し知る必要がある。
ゲバラはキューバ革命を成立に導いた功労者の一人であり、現在もキューバにて絶大な影響力を持つフィデル・カストロの同志である。
確固たるゲリラ戦理論の持ち主であり、その後半生の殆どを戦地で過ごした。
一国の閣僚クラスに上り詰めながら、政治家としても英雄にまでなっておりながら、ポジションを捨て、再度ゲリラ戦に復帰するのである。
こんな政治家は現代には彼を除いてはいない。
具体的には1965年のアジア・アフリカ経済会議に出席した翌年に、コンゴ動乱に革命指揮のために参加し、翌年にはボリビアに変装して潜入しているのである。
驚嘆に値する行動力と信念の持ち主である。
しかし、現代日本に伝わるゲバラの人物像は、ファッションの象徴である。
ジョンレノンが彼を「世界一カッコいい男」と評したり、Rage against the machineや浦和レッズがオフィシャルマークにしたり、Tシャツのロゴだったりする。
意味もよく判らずに。
さて、この映画である。
まず、ゲバラという映画には格好の素材を使いながら、淡々とした映画である。
本作は2部作の前篇でキューバ革命が成立するまでを描いた作品である。
したがって、史実としてはゲバラが現役バリバリの革命戦士である。
そして、小規模なゲリラ戦術を展開していく。
が、その戦術が細かく描写されるのではない。
ここがまず期待外れだった。
エンタメ感が薄れるのだ。
勿論戦闘シーンの描写はあるのだが、地味である。
むしろ彼の人間性や他者との関わりを中心に描いていく。
セリフにカッコいいところは多い。
が、これは映画が格好良いわけではなく、ゲバラが格好良いのである。
ベニチオ・デル・トロの演技は素晴らしい。
ルックスはかなり好い線行ってる。
トップの画像の上が映画、下が本物。
25キロの減量を行ったとのこと。
そして演技だが、大仰気味の身振りが若干目立つが、挙措は誇りある指導者としてのゲバラのそれを想起させる。
セリフはよくわからない。
スペイン語なので。
若干地味な感はあるが、キューバ革命の顛末、ゲバラという指導者を知るきっかけにはなるんではないだろうか。
ゲバラの考え方やエピソードはよく描かれている。
逆に予備知識ゼロだと、かなり難しい。
私はゲバラ日記を熟読するほどのゲバラ好きなので、非常に興味深く観た。
そして、革命を追体験するような感覚も味わえた。
続編も期待している。
余談だがゲバラは後年広島の原爆ドーム、資料館を訪れている。
(日本政府の許可が出なかったため、業を煮やしたゲバラは大阪のホテルに滞在中、「ホテルを抜け出して広島に行くぞ」と決断)
その際、
「なぜ日本人はアメリカに対して原爆投下の責任を問わないのか」
とゲバラは言ったという。
運動家の彼ならではの逸話だが、我々日本人の心に突き刺さる価値観である。
今日は、広島に原爆が投下されて64年。
現在の日本を彼が見たら、軽蔑してしまうのだろうか。
そんなことを考えた。