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尾瀬ヶ原・尾瀬沼は、群馬県、福島県そして新潟県にはさまれた所に位置し、その周囲は、深い山々に囲まれている。そこは、20世紀に初めて世間に知れ渡った日本を代表する湿原である。
約30年前までは、私の住んでいる家の近くにも湧き水が出る場所があり、モウセンゴケが生育していた。清水は水が冷たく夏が来ると格好な子供の遊び場で、至る所にあった。ただ、「湿原」という呼び名を知らなかっただけだ。
現在では、有名な湿原も、周囲の開発で枯れてしまって、井戸を掘って何とか湿原を維持している。ある場所では、田んぼのど真ん中に湿原があり、土壌の栄養化が問題になっていて、関係者のご苦労が伺われる。また、繁殖力の強い自生の柘植の木で湿原がおびやかされた所など、日本各地の湿原がどんどん減少している。それも長い歴史の中で、たかだか百年ぐたいの急速な開発により、ひとの行動範囲が広くなったことが起因しているのかも知れない。
フォトエッセイ「尾瀬からのメッセージ」は、湿原が織り成す自然の美しさや厳しさを季節・風・水・光・そして命を題材にして取り組んだ。