バスを降りてスプリット旧市街まで海岸沿いに歩いた。港には大型クルーザーが所狭しと停泊していた。海を覗きこむと魚がたくさん泳いでいるのが見える。海はきれいであった。今の日本ではなかなかない。摩周湖でさえ視界が悪くなっていると聞く。つい撮影に夢中になってしまう。近くにいた中年の女性がちょっとした段差につまづき、転んだ。その時、両手にしっかりと持ったカメラは、壊れないようにエビのようにsそり上げていた。 そのため彼女の顔は、くちびると目の下に擦り傷を負った。私は大丈夫かと気遣った。あまり深くかかわると、いかにも下心があるように思われはしないかと独りよがりする。その変の対応は難しい。考えすぎかも・・・。私も撮影に夢中になって、旅先で転倒したことがある。本能的に自分の体よりカメラを大事に思ってしまう。
ディオクレティアヌス宮殿内にある大聖堂の鐘楼を昇るため入口まできたが、今は入れないと係員に呼び止められた。どうも結婚式のためのようだ。警備員は、鍵穴から中の様子が少しわかるとジェスチャーで教えてくれた。どの時代でもどの国でも、のぞきは、あたかも秘め事を見ているようで、その好奇心は、永遠に変わらないようだ。
鐘楼からの眺めは、自分がいかにも市民を支配していると錯覚しそうで、自然と背筋が伸びる。城壁の周りには魚、肉、野菜の市場そしてガラクタ市と日常生活の店が並んでいる。宮殿を中心にして栄えていることが一目で解る。
次にスプリットから西に25km行ったろ所にあるトロギールという島で昼食をした。ここでも花嫁衣装を着た娘さんの写真を撮らせてもらった。今日は日柄がいいのだろうか。コントラバスを持った人も。何かのセレモニーがあったようだ。小さな野外ステージでは、クロアチアの伝統音楽でもあるクラパ(男性4人によるアカペラ合唱)を歌っていた。力強いハーモニーは、石の壁に反響してより一層強く聞こえた。そのあとのCD売りが目的であるが、私等のツアー客は誰一人買わなかった。ヨーロッパのおばさんらしき人が一枚お買い上げ。私は、ほっとした気持ちでその場を立ち去った。