The Society of Hormesis ホルミシス学会

STRUCTURED MICRONUTRIENT, US PAT/TH FDA (Med), JP FDA(Food)

母親の学歴が子供の学歴に影響

2018-08-29 15:02:07 | 健康

文科省がとりまとめた分厚い調査報告書を読み解く

小学6年と中学3年の全員を対象に、毎年4月に実施されている文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)。それぞれの対象学年100万人以上が一斉に受ける国内最大の調査では、都道府県別の平均正答率が公表されるため、「今年は秋田県が1位」などの報道を見たことをある人は多いだろう。


 しかし、テストに付随して行われる保護者対象の「アンケート調査」はあまり知られていない。じつはこちらの調査こそ、日本の「教育格差の真実」が凝縮して示されているとして、教育専門家の間ではむしろ注目されている。

 その調査はお茶の水女子大らの研究者が文科省から委託され、小6と中3の児童生徒の保護者から、無作為に10万人規模を抽出。保護者の年収や学歴といった家庭の社会・経済的背景を指標化して4階層に分け、テストの平均正答率との相関関係を分析している。


 これまで13年度と17年度に実施され、その調査結果からは「親の収入や学歴が高いほど児童生徒の学力が高い」といった傾向が浮かび上がっている。今年6月に公表された17年度の調査結果でも、学歴や収入が最も高い世帯は、最も低いそれらの世帯と比べ、たとえば基礎的な数学A問題では24・2ポイントもの差が付いており、エビデンスで裏付けられた。

 その一方で、学歴や年収が高くない世帯でも「日常生活で本や新聞に親しむことや、規則正しい生活を促している家庭では好成績の傾向がある」といったことが明らかになっている。規律正しい生活と好奇心、勉強への一定の意欲があれば、学習で工夫を加えれば、家庭環境を克服できる可能性が示された。

 こうした調査報告書の概要は報道済みで、保護者の感覚でもそれほど違和感のない内容だろう。


 しかし、文科省がとりまとめた分厚い調査報告書を読み解くと、新聞では報じられていない内容がふんだんに記載されている。そこからは、児童生徒の学力と家庭環境との「知られざる関係」がより明確に浮かび上がってくるのである。

 さっそく見ていこう。

 たとえば「家庭環境と子供の学力」の章は、「200万円未満」から「1500万円以上」まで100万円刻みで世帯年収と学力の関係を分析している。年収の高さに比例して正答率の高さも増しているが、注目されるのは、ある程度の高さの年収世帯になると「年収と学力」が直線的な関係を示さなくなることだ。

 たとえば、「年収1200~1500万円」世帯の生徒の平均正答率は、「年収1500万円以上」世帯に比べて、国語A・B、数学A・Bのすべてで上回っている。必ずしも世帯年収が高いほど正答率が高くなるとは限らない一例といえよう。

 さらに興味深いのは、保護者の学歴と児童生徒の学力との関係だ。保護者の学歴が高いほど児童生徒の学力が高い傾向がみられるが、より詳しく見ると、児童生徒の学力は父親の学歴より母親の学歴との関係性がより強く出ていることだ。


 中3の数学Bでは、父親の最終学歴が「高等学校・高等専修学校」のケースだと正答率は44・1%、「大学」になると56・55%に上り、その差は12・4ポイント。一方、母親の最終学歴が「高等学校・高等専修学校」だと43・4%、「大学」になると60・0%になり、差は16・6ポイントに広がり、父親の学歴にともなう差より拡大していることがわかるのだ。

親の単身赴任と子の学力との興味深い関係性

 17年度調査では新たに保護者の単身赴任と児童生徒の学力との関係も対象となった。単身赴任世帯は各学校で一定割合含まれることから新項目になったとされるが、結果は「父親が単身赴任している子供の学力は、そうでない子供より高い」という分析が導き出された。
「母親の学歴が子供の学歴に影響」の画像検索結果
 データでみると、小6と中3の全科目で、「父親単身赴任」の児童生徒の正答率がそうではないケースを上回り、特に、中3の数学Aでは3・9ポイントの差がついた。

 一方、母親が単身赴任しているケースでは、逆の結果がでた。母親と同居しているケースに比べて児童生徒の正答率は10ポイント程度低くなり、とりわけ中3の国語Bでは52・1%にとどまり、72・5%の同居ケースに比べ20・4ポイントも差が付く結果となった。

 詳細な分析説明がないためデータの意味づけは不明だが、さきほどの母親の最終学歴と学力との関係と合わせて考えれば、子供の学力に対する母親の存在の影響力をうかがわせて興味深い。

父親は遅く帰ってきたほうが、子どもは伸びる!?

 

関連画像

 「保護者の帰宅時間と学力」という調査も親にとっては気がかりなところだろう。結論から言うと、父親については22時以降の帰宅(早朝帰宅を含む)という家庭の子供の学力が最も高いことが明らかになった。

 たとえば、小6の国語Aでみると、父親の帰宅時間帯別の正答率は「就業していない」(68・9%)、「16時より前」(72・0%)、「16~18時」(72・4%)、「18~20時」(74・6%)、「20~22時」(77・0%)、「22時以降」(77・9%)、「交替制勤務などで帰宅時間が決まっていない」(72・8%)。帰宅時間と正答率の相関関係を示しただけで、踏み込んだ分析は示されていないが、こうしたデータだけみれば、「父親の不在により、子供が自宅で勉強に集中できる環境がある」とも読めるが、いかがだろうか。

 ただし、こうしたデータを単純に鵜呑みにすることはできない。たとえば、国語Aの正答率について、年収や最終学歴など家庭の社会・経済的背景を指標化して4階層(Lowest、Lower middle、Upper middle、Highest)別にみると、遅い帰宅時間のほうが若干高いが、父親の帰宅時間と学力との間に明確な関係はみられなくなる。社会・経済的背景がよく似た世帯の子供には、それほど学力に違いがないことが浮かぶ。

関連画像


 家庭の蔵書数と学力との関係もおもしろい。漫画や雑誌、子供向けの本を除いた蔵書が多いほど、子供の学力が高い傾向が示された。特に、国語より算数・数学の正答率で差が開く傾向が伺える。中3の国語Aでは「0~10冊」世帯の生徒の正答率は70・4%だったのに対し、「501冊以上」は85・4%で15ポイントの開きがあった。

 一方、数学Aでは「0~10冊」が55・0%、「501冊以上」は75・7%となり、20・7ポイントもの差がついた。家庭にある子供向けの本と学力の関係でも、冊数が多いほど学力が高くなる関係がうかがえた。

 全国学力テストに付随する保護者対象のアンケート調査結果は、巷間言われる「金持ちの子供は学力が高い」という言説をデータである程度裏付けるものであり、高収入と高学歴の親の子供が同じように高収入と高学歴という同じコースをたどり、教育格差が経済格差を固定化させ再生産するという見方につながることはある程度説得力があるのかもしれない。

「母親の学歴が子供の学歴に影響」の画像検索結果


 しかし、ここで示されるのは家庭環境と学力の相関関係であり、必ずしも因果関係ではない。公教育の役割は、経済格差の拡大を招きかねない教育格差の是正・平準化にあるはずだ。全国の学校現場で奮闘する先生たちには、ぜひこの報告書を読み込んでほしい。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180829-00056752-gendaibiz-bus_all&p=1

 

新田司、母親学歴が子どもの学歴に与える影響 〜大学生へのアンケート調査の分析と検討〜

https://keiai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=2771&file_id...


子の学歴を決めるのは親の学歴ともう2つ

https://www.psychological-skils.com/entry/oya-gakureki

 

子の学力は親の経済力より、親の学歴が影響(日経DUAL)

https://dual.nikkei.co.jp/article/092/99/

 

吉田央、国勢調査ミクロデータを用いた大学進学率の地域別格差の検討

https://www.nstac.go.jp/services/pdf/151127_4-2.pdf


白米摂取で糖尿病、短命に

2018-08-15 00:30:18 | 食品

「白米」の画像検索結果

ここ数年、医師による食事解説本が一大ブームになっている。そのブームに先鞭をつけ、計64万部を売り上げている『医者が教える食事術 最強の教科書』(牧田善二著・ダイヤモンド社)では、その序章で近藤博士の『日本の長寿村・短命村』を紹介した。《近藤博士のフィールドワークと最新データには驚くべき共通点がある》とし、《内容は今も色あせることなく、現代に生きる私たちに非常に重要な示唆を与えている》と高く評価している。

 また、発売10日で10万部という驚異の売り上げを記録した『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)の著者、UCLA助教授で医師の津川友介医師も「同じ日本人であっても、住んでいる場所によって寿命が異なることに注目した研究が、当時行われていたことは興味深い」と話す。

 博士の情熱は、あなたのこれからの人生に大きな影響を与えるはずだ。本記事では、紙幅の関係上、著書の内容をすべてお伝えできないのは残念だが、そのエッセンスをお届けしたいと思う。

 近藤博士が見出した「長寿村・短命村」に共通するルールとは一体どのようなものなのか。

◆白米の大食で早死に

 消化もよく、食物繊維も含まれるため「白米は食べるべき」だとされていた当時、近藤博士は衝撃的な発見をした。

 東北地方の米どころ、とくに秋田県の村では、成人が1日に6~7合という大量の白いご飯を食べる習慣があり、おかずとして、大根やなすのみそ漬けなど塩気があるものを添えていた。これらの村では稲作は盛んだが、畑を作らないので野菜はほとんどない。そのように米を大量に食べ、野菜をとらないという食事を若いときからしている村では、40才頃から脳溢血で倒れる村民が多く、亡くなったり、後遺症を抱える人の割合が高い短命村であった。

 同様に、三重県の南島町(現在の南伊勢町)の漁民集落や須賀利(同・尾鷲市須賀利町)、桂城(同・紀北町)、石川県輪島など白米を大食する地区で短命の傾向が見出されている。

 

 一方、多くの長寿者がいる村では米をあまり食べていないという傾向に、博士は気づいた。代表的なのは、島根県の隠岐島や鹿児島県の沖永良部島。70才以上の長寿率が通常4%程度のところ、7~8%もあったのだ。沖永良部島での調査で興味深いのは、島内で唯一田んぼを持ち、米を偏食する後蘭(ごらん)集落だけが短命であったことだ。

 厚生労働省と農林水産省は共同で、健康的な食事の指標として「食事バランスガイド」を制定している(2005年)。それによれば、1日に茶碗3~5杯のご飯を食べることが推奨されている。

 しかし、前出の津川医師はこう話す。

「白米の摂取量はできるだけ減らした方がいいことを示すエビデンス(科学的根拠)がいくつも出ています。世界的権威のある英国の医学雑誌に、白米の摂取量が1杯(158g)増えるごとに糖尿病リスクが11%上昇したという結果があるほか、日本人を対象にした研究でも、白米をとればとるほど糖尿病になる可能性が高くなることが明らかになっています」

 ただし、これが玄米であれば違ったはずだ、と津川医師が続ける。

クリックで原寸大表示します

「白米や小麦粉のような精製された白い炭水化物は血糖値を上昇させ、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による病気のリスクを高めることがさまざまな研究によりわかっています。ただし、玄米や全粒粉などの精製されていない茶色い炭水化物は逆に心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などのリスクを低下させると報告されています。1日50gの白米を玄米に置き換えると、糖尿病のリスクが36%下がると推定されています」

「糖尿病と白米」の画像検索結果

 

 最先端の研究結果を踏まえても、白米の摂取量は減らした方がいい。今から50年以上前に、常識を疑い、警鐘を鳴らしていた博士の研究には驚嘆するばかりだ。

※女性セブン2018年8月23・30日号

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180809-00000013-pseven-soci&p=3

 

JPHC研究:日本でもやっぱり白米は糖尿病発症リスクを上げる

http://bbs11.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=ppkorori&mode=view&no=205

 


赤い肉や加工肉の摂取が多くなるほど、大腸がんに

2018-08-15 00:06:26 | がん

「赤身肉」の画像検索結果

 衛生学を専門とする近藤正二博士(東北大学名誉教授, 1893~1977)は食生活や生活習慣が寿命に与える影響に大きな関心を持ち、1935年から1971年の36年にわたり、北海道から沖縄の八重山諸島に至るまでの全国津々浦々990か所を、自らリュックを担いで訪ね歩き、各地で長寿に関する研究を重ねた。そして、「どうすれば長寿になれるか」に徹底的にスポットを当てた研究を口述で編んだのが『日本の長寿村・短命村』(1972、サンロード出版)なのだ。

 近藤博士が見出した「長寿のルール」の一部を紹介する──。

 かつて、日本各地で活躍していた海女のうち、三重県の国崎村(現在の鳥羽市)と石川県の輪島の海女では同じ職業ながら、生活習慣がまったく違っていた。

 近藤博士が訪れた頃、国崎村では「男は働いてはいけない」という不文律があり、子守りや留守番をするばかりで、男性は外に出ない生活を送っていた。一方で、女性たちは早朝から畑に出て野菜を育てたあと、9時過ぎに海女装束を着て海へ。さらに午後3時頃には海から上がり、再び畑仕事をしたあと、夕飯の支度までするという重労働の毎日を送っていた。

 その食生活といえば、畑で採れるさつまいもと麦が主食。また大豆やごま、各種野菜を食べて暮らしていた。米は作れないためとらない一方、魚や貝、海藻は食べた。そんな国崎村の海女たちは重労働にもかかわらず、非常に長寿だった。男性は標準的な寿命だったため、未亡人の老海女たちでいっぱいだったそうだ。

 それとは対照的に短命だったのが輪島の海女だ。多くの女性たちが50才を前に、作業に出るのをやめてしまう。

 当地の海女たちは「女でありながら男以上の厳しい労働をしているのだから、せめて陸に上がってきたときくらいは真っ白い米を食べ、島では食べられない肉を腹いっぱい食べたい」と、白米や肉を多食したという。

 同書には「肉」がなんの肉だったのか記載されていないが、近藤博士が輪島の海女たちに「そういう食生活をしているから長生きができないのですよ」と諭すと、みんながびっくりしたという。当時、食事と健康が関連するとは考えもしない人がどれほど多かったかが窺い知れる。

 近藤博士の調査は実は国内にとどまらず、海外にも足を延ばしている。移民二世、三世が短命だというのでハワイ在住の日系人の調査を手掛けたのだ。

 その結果、移住一世たちは野菜や海藻、豆腐などを食べていたため長寿を保っていたものの、二世、三世の代になると、それらの食事には目もくれず、肉ばかり食べるようになっていた。そのため40才を過ぎた頃に心臓を侵されて早死にする人が増えたと結論づけている。

 最新の知見では、肉食は健康にどんな影響を与えるのか。

 発売10日で10万部という驚異の売り上げを記録した『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)の著者、UCLA助教授で医師の津川友介医師はこう言う。

「2015年10月、WHO(世界保健機関)の専門機関である国際がん研究機関が『加工肉は発がん性があり、赤い肉は恐らく発がん性がある』と発表しました。“赤い肉”とは牛肉や豚肉などの四本足の動物の肉のことです。鶏肉は“白い肉”に分類され、健康上の悪影響はないと考えられています。

 多くの研究で“赤い肉”や加工肉の摂取が多くなるほど、大腸がんになる可能性が高くなることが明らかになっているほか、脳卒中や死亡率の上昇にもつながる可能性が報告されています」

 日本人が食べる肉の量では影響が少ないのでは、との声にも津川医師はこう答える。

「たしかに日本人の肉の摂取量は世界でも比較的少なめですが、食の西洋化で日本人にも大腸がんになる人が増えていることを考えると、多食は避けた方が賢明でしょう」

「トリ肉」の画像検索結果

 肉を食べるなら鶏肉を選んだ方がよさそうだ。

※女性セブン2018年8月23・30日号

https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/伝説的な長寿研究書が導いた「肉ばかり食べると短命」説/ar-BBLTOii?ocid=spartanntp#page=2

 

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事(津川友介、2018) ISBN-10: 4492046240 (東洋経済新報社)

https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=39087

 

【健康のための食事で話題の本】世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事レビュー

https://bozulog.com/book0415