月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

239.学び続ける子どもの祭-神戸オリニマダン-(2019.12月3号)

2019-12-10 11:10:00 | コリア、外国
●神戸オリニマダン
 神戸어린이 마당•オリニマダンは今年で22回目を数えます。この祭は、神戸オリニソダンという、神戸市内に住む小学生が通うコリアの文化・語学などを教える教室の発表会です。管理人は前職(神戸市立小学校教職員)の頃から、スタッフとして参加させて頂いています。
 この祭は主に午前の部の舞台発表、昼食、午後の部のお楽しみコーナーに分かれています。それぞれの概要を書いていきます。

●会場準備
 会場は蓮池小学校、だいち小学校、真陽小学校、長田南小学校の持ち回りとなっています。前日からコリア教育文化センターの方、有志の先生方が手際よく準備をしていきます。また、保護者の方々が腕を振るって、昼食の準備も前日から行ってくださいます。準備管理人は子ども用のハングル名札の制作などを担当することが多かったのですが、今年は仕事で準備できませんでした。前日にはそれまでの多文化共生学習やコリア文化学習などのとりくみを紹介した掲示物が貼られます。





 当日は、それぞれの舞台や昼食、出し物の準備、受付の準備を行い、子どもたちやお客さんを迎えます。この日には神戸市内の大学生や、韓国の大邱市からボランティアとしてお手伝いしてくれました。




●午前の部・舞台発表
 中学生の司会により、この祭始まります。見知らぬ人が数百人単位でいる前での堂々たる司会でした。
부채줌・プチェチュム
 管理人は準備などで見ることができなかったのですが、毎年부채춤・プチェチュム・扇踊りが、高学年の女子によってなされます。下の写真は、オリニマダンのポスターを撮ったものです。



 また、全員でコリア語の歌も歌います。大きい声で歌っている子、少し恥ずかしそうな子もいますが、母語を使って歌う様子に心を打たれます。

대구 꿈꾸는씨어터•大邱 夢見るシアター
 大邱の夢見るシアターが、ゲスト出演してくださいました。プロの演奏技術にみんなが聞き惚れ、プロの踊りに目と心が奪われました。
 この公演は神戸コリア文化教育センターが大邱のゲストハウスなどを通じた交流活動の一環として近年始まりました。
 




단심줄・タンシムチュル
 タンシムチュル•단심들 では、赤青黄緑などの色とりどりの布を持った子どもたちが、右へ左へ楽しく棒を中心に歩き回ります。するとあら不思議。


布が規則正しく絡み合い、斜めチェック模様の一本の棒ができていきます。


ベトナム語劇とムア・ラン(獅子舞のようなもの)
 ベトナム語教室の子どもたちが、「大きなかぶ」のベトナム語版演劇を見せてくれました。「うんとこしょ、どっこいしょ・ニョ カイレン、ニョ カイレン」はみんなで声を出しました。


 ムア・ランという獅子舞のようなものです。布袋を思わせる僧形のものが、する姿は、日本で子どもが獅子に相の手を入れる様子に似ていますが、詳しい考察は次号以降で行います。


プンムルノリ・韓国の伝統的打楽器
 ポク(太鼓)や長鼓(チャンゴ)、チン、ケンガリの四つの音・四物・サムル・사물を打ち鳴らし練り歩きます。この時ばかりは、昼食の準備をしていた保護者の方々も我が子の活躍を見んと、体育館にやってきます。


●昼食と午後の部
昼食
 昼食はクッパでした。家庭科室で調理した鍋をエレベーターで運びます。誰ともなしに、先生方が誘導して、多くの人数が混乱することなく食べることができました。



体験コーナー
 昼食がおわると子どもたちは体験コーナーに向かいます。料理、写真縦作りと衣装試着、工作、テコンドー(+ハングルしおり作り)、伝統遊び(+ハングルしおり作り)、楽器体験(+ハングルしおり作り)の6の体験が用意されています。ハングルが「ギリ」読める管理人はしおり作り担当です。

↑写真右下はしおり作りをしている子どもたち、ハングルで自分の名前を書きます。右上はテコンドー体験、道着を着ている子はお手本となる子で、前の私服の子たちが体験中です。


↑ペンイと呼ばれるコリア式のこま回しをしています。

クイズ大会
 先生方が列を作り、⚪︎と×の境目となって⚪︎×クイズ大会です。目指せ!コリアクイズ王。自称民俗学者で韓国通の管理人も知らないことが目白押し。



●裏方の活躍と子どもたちの日常
裏方の活躍
 この祭の主役は間違いなく子どもたちです。しかし、主役が輝くためには裏方が必要です。裏方は、保護者であり、教育センターやボランティアのスタッフの方々であり、有志の学校の先生方です。
 管理人は韓国のボランティアの方と行動を共にすることがよくあった今回の祭ですが、そのお二人が驚いていたことがあります。それが、神戸の先生方のチームワークです。今まで祭り一色だった会場が、瞬く間に通常の学びの場に戻っていく様子を見て驚いていました。

多くの大人を動かすもの
 では、なぜここまでたくさんの大人がこの祭のために動くのでしょうか。それは一言で言うと、子どもたちの頑張りによるものと言えます。出演している子どもたちは、歌や演技の練習だけをしているわけではありません。
 小学生がこなす勉強やスポーツ、習い事などの日常に加えて、常にコリアの言語や文化と向き合う学習を続けています。語学の学習というのは、必ずしも楽しいだけのものではありません。また、メディアや一部の「持つもの」が戦略的に憎悪を煽動している様子を目の当たりにしている子もいます。
 このような逆風の中でも直向きに頑張っている姿を見ている大人たちが協力をしているのだと思います。
 
 

↑子どもや教え子の活躍を見守る先生方もこの中にいました。



 管理人としては非常に楽しい「祭」になりました。また、この祭と出会って以来、このブログでこそ紹介したいと思い続けてきました。今年、ようやく紹介できました。
 スタッフのみなさま、先生方、そしてそこで学ぶ子どもたちに勝手に感謝します!
 




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