一橋MBAブログ 「くにたち」な日々

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知識とは?

2006-11-09 22:03:22 | 戦略ってなに?(P&N)
こんにちは。P&Nです。 

今、『野中郁次郎・竹内弘高1996「知識創造企業」東洋経済新報社』を読んでいます。基本的なメッセージは、「組織の中で働く中で、暗黙知が見つけ出され、共有され、そしてその知識が組織の人の身体に染み付いていくというサイクルが知識創造である。このサイクルを生むにはどうすればいいのか。」という話です。

面白いです。といっても実は、今はまだ第二章を読んでいる段階で、第三章から始まる知識創造の本論には入っていません。ではどの点が面白いかと言うと、第二章に書かれている「さまざまな経営学の理論は、知識をどう扱っていたか」という点です。

生産ラインでの最適な動作を追及したテイラーについては、「労働者の経験や判断を新しい知識の源泉として見ることに失敗した」と評価します。要は、何も考えず決められた動作で組み立てろ、ということでしょう。そしてホーソンは労働者の士気や集団への帰属意識が生産性を高めることを示しましたが、知識については明示的に取り上げませんでした。サイモンは、人間の認知限界を克服されるための情報処理システムとして組織を理解しましたが、暗黙知的な知識はノイズでしかない、と理解しました。そしてボストン・コンサルティング・グループによる「ポートフォリオマネジメント」やM.ポーターの「5つの力モデル」では、「そもそも知識やビジョンの創造の可能性は最初からその理論に入り込む余地はない」そうです。

経営学者以外にも、ハイエク、シュンペーターなどの経済学者が登場し、さらにはプラトン、アリストテレス、デカルト、カント、西田幾太郎、も登場させ、彼らが「知識」をどのように捉えていたかを論じます。この辺になると、難しくて理解できませんが。

経営における知識をどう理解し、どこに位置づけ、描写するか、学者の考え方によって切り口がさまざまだということですね。ちょうど、人間を描写するときに、どの角度から見るか、という感じかもしれません。人間を後ろ姿で論じると鼻は見えません。横顔で論じると鼻の側面しか見えません。レントゲン写真を取れば、鼻は軟骨なのでうっすらとしかレントゲン写真に写らないでしょう。では顔の真正面から写真をとると、鼻の高さが分りません。私の理解では、この程度です。

いろいろな意見、議論を多角的に見て理解を深めるということなのでしょう。