一橋MBAブログ 「くにたち」な日々

HMBA有志による非公式リレーブログ

チームの個性

2006-06-30 14:14:34 | 人事組織のハナシ(学級委員長)
ロナウドはあれだけメディアから叩かれましたが、最終的には結果を出してブラジルを決勝トーナメントに導きました。ヒディング監督もベンチで暴れているだけではなく、自らの信念を貫いてオーストラリアで予選を勝ち抜きました。フランスでジダンの復活が望まれたのも、彼の個性をフランスが必要としていたからこそ。何だかんだ言って、強いチームにはチームとしての個性と、その個性を支える個性的な個人がいます。

翻って日本はどうだったでしょうか。「お行儀の良いチーム」。そんな印象は受けましたが、良い意味での個性はあまり無かったような気がします。ジーコ監督もそれなりに個性的なんでしょうけれど、最後まで何にこだわりがあったのかは見えませんでした。中田も多分個性的なんでしょうけれど、チームの個性を変えるまでは行きませんでしたし、他のプレーヤーも結局は埋もれてしまった感じがします。

チームの個性。個性的なチームが必ずしも強いわけではないですが、強いチームはやっぱり個性があるような気がします。強い個性は時に弊害を生みますが、敵の弱みであったり、外部の環境であったり、何かにフィットした時はとんでもない強さを発揮します。ですから、結構個性って重要だと思います。

チームの個性は単に選手や監督といった個人の個性が昇華したものに留まりません。戦略や人種的特性などにも影響を受けます。身長が低いから、サイドからのロングボールではなく、縦パスからのドリブル突破だ、とか。体力があるから、前線からプレスをかけてボールを奪って責めるぞ、とか。こんなのも個性になります。

いずれにせよ、いい意味で個性があることはサッカーの場合重要ではないかと言うことです。また、これはサッカーにとどまらず、企業も含めた組織全般に言えることかもしれません。個性が無い組織。個性が無い企業。一時期、日本の総合電機や総合商社のように、総合を冠したばかりに個性を見失った企業が不振を極めました。今はその逆の流れになります。

中田のチーム。それが本当に良かったかどうかは分かりませんが、例えばもっと徹底して彼の個性が生きるチームにしてしまうなんてことも出来たように思います。何かしらの個性を際立たせること。企業もサッカーも、これが求められているように思います。

インテルグラルとモジュラー

2006-06-29 23:55:40 | Border Dwellerのつぶやき
日本が負けてしまったので、純粋に楽しめるはずだったのに、お題のせいで楽しみ半減です。というのはウソで、1週間前から宣言されていたのに、結局今日まで何も考えずすごしてしまいました。

さて、お題はサッカーを通じた企業・組織への教訓です。
サッカーから何が言えるのでしょうか?

そもそも、私がサッカーに興味を持ったのは、友人が大のサッカー好きで無理やり競技場に連れて行かれたことがきっかけです。その頃のサッカーは、Jリーグではなく日本リーグ。フィールドの芝はあったかどうかも定かでなく、風が吹くとほこりが舞い上がったものです。(年齢がばれますね。)その頃のサッカーと比べると、現在の日本代表はもとより、Jリーグも目を見張る進歩が認められます。おまけに昔はボールにガーっと集まるだけだった子供のサッカーでさえ、サイドチェンジとかちゃんとできるんですから!
それもこれも日本代表をトップとするピラミッド構造を作り、ユース代表の強化策としてトレセンを組織し、最近はエリートプログラムやJFA福島サッカーアカデミーとかまでできて、ますます長期的な育成が進んでいるようです。
そう、育成策はとても充実しているんです!でも、勝てない。なぜ?

考えられる理由のひとつに、技術は習得したけど、それを十分に使いこなすところまでには至っていない、ということがあるのではないかと思います。それぞれの役割は分かっているし、それなりの技術はあるけれど、いざ全体として動くとなるとパフォーマンスが上がらない。イメージや一体感の欠如などといわれているのも、そのあたりのことを言っているのではないかと思います。

そこで思いついたのがインテグラルとモジュラー。
サッカーは、それぞれのプレーヤーが役割やアイディアを持って独立しているだけではなく、プレースタイルの異なる選手の組合せの妙や、一つひとつのプレーが融合して初めて強さが発揮できるのではないでしょうか。「あれ、あんなところにパスだしてどうするの?」と思ったら突然2列目からの飛び出しがあったり、ラストパスにきちんと合わせるフォワードの動物的ともいえる動きとかを見ていると、きちんとした部品がきちんと組み合わされているだけでなく、選手、技術、プレー、それぞれの間にちょっとした伝達の工夫(複雑そうに見えて、実は単純だったりする)があるような気がします。つまりサッカーでは、プレーとプレーのすりあわせに強さの秘訣があり、日本サッカーでは組合せはどうにかできたけど、すりあわせといった点ではまだ課題があるということではないかと思うわけです。

ちなみに基本がなければ発展もないわけで、その点日本には可能性があるといえそうな気もします。それにインテグラルは日本のお家芸だしね。
(Border Dweller)

人ってなかなか育たない

2006-06-29 00:47:22 | 戦略ってなに?(P&N)
こんにちは。P&Nです。

今週のお題「ワールドカップから学ぶ企業・組織への教訓」についてです。
マズイです。私はサッカーがわかりません。
困ったので、結論は、人材育成って本当に難しい、というどうしようもない結論にします。

野球が実績を出しているところを見ると、運動能力+技術、で日本人が負けているとは思いません。陸上競技でも最近強い選手が多くなってきました。

選手の源である人口を見ても、オランダを例にとると、オランダ1600万人、日本1.2億人で、日本の方が7.5倍です。ということは、同じ素質の人間は、オランダ1人につき日本には7.5人いて、日本の場合はその7.5人が切磋琢磨するわけだから、オランダより強くなってよさそうな気がします。体力で負ける、という指摘も考慮して、日本人の体力がオランダ人の体力の80%(そんなばかな!)だとしても、オランダ人1人につき、日本人は6人と、まだまだ多い。

歴史についても、最近の代表選手はユースの時代から大切に育てられてきています。サッカーは野球などよりもよほど合理的な育成システムをとっているように思います。

それでもまだ追いつかない! 「歴史的蓄積の壁」なのでしょうか?

ただ、以下脱線ですが、私は代表選手、Jリーガーなどサッカーの選手たちはカッコいいと思います。なぜなら、彼らが常に世界を意識し、「新しい歴史を作ろう」と常に考えているように見えるからです。Jリーグのリーグ戦や国内の何々カップで勝っても、彼らが心から満足しているようには私には見えません。彼らにはそれらは通過点でしかないのではないでしょうか。結果は出ていませんが、そのように常に前を見て、戦う姿勢は素晴らしいと思います。

組織としての一体感

2006-06-27 22:37:44 | ウクライナ通信(sheva)
こんにちは、shevaです。決勝トーナメント1回戦、わがウクライナはスイスに0-0(PK3-0)でめでたく勝利しました♪いやー、1人目のシェフチェンコが外したときはこれまでか・・・と思いましたが、スイスが3人連続で外してくれて、見事準々決勝進出です!長ーい試合でしたが、選手は120分間、よく戦ってくれました。

さて本題。「ワールドカップから学ぶ企業・組織への教訓」です。

なぜ国力の違いがこれほど出てしまうのか?なぜ、世界の競合は世代を超えて競合でいられるのか?これを考えるには、比較対象として「それほど強くない国」と「伝統的に強い国」をとりあげる必要があるでしょう。ここではやはり、例として「日本」と「ブラジル」をとりあげたいと思います。

グループリーグ第3戦で当たった両者。日本は先制するも、やはりその後は実力というか、底力の差がはっきりあらわれた結果になりました。原因は各種メディアでも言われているように、技術、持久力、フィジカル、メンタル、采配などいろいろあると思います。

これらは事実でしょう。しかしあえて僕は、「組織としての一体感」をあげたいと思います。日本対ブラジル戦の前から、気になっていた大きな違いがあります。

テレビでブラジルチームの特集をやっていたとき、試合会場に向かうバスの車内の風景が映っていました。そこでは、中央に座ったロナウジーニョがタイコを叩いて、全員がサンバの大合唱を行っていました。さながら小学生の遠足(往路のね)のような雰囲気。試合前にそんなに歌って、疲れちゃうんじゃないの?と思われる方もいるかもしれませんが、僕はこれを見て「やはりブラジルは強い」と思いました。「チームとしての一体感」を強烈に感じたのです。

僕はもともとバスケをやっていて、学生時代にある中学校のバスケ部の監督をやっていました。そこでチームを強くするためには何が必要かということを考えていましたが、その重要な要素に「チームの一体感」があることに気づきました。強いチームを見ていると、試合が始まる前から、非常に一体感があるのです。個々がやりたいことをやっているように見えながらも、統制がとれている。そういうチームは、試合になっても(ベンチの控えを含めて)全員がゲームに集中して、勝利という目的のために動きます。

チームスポーツでは、よく試合の前に、選手が円陣を組んで掛け声をかけていますが、あれは単なる儀式ではなく、チームが「ひとつになる」ために必要な「準備」であり、決しておろそかにしてはいけない、ということを監督をやっていて教わりました。ブラジルのサンバの大合唱も、チームが「ひとつになる」準備(しかも恐ろしく高いレベルで)だったのです。

ひるがえって日本はどうだったか。ブラジル戦の直前、廊下で待っている選手たちの表情が映っていましたが、中田英は仲のいいカカやロナウドと話をしていました。重要な試合の前にしてはあまり褒められた行動ではないと思いました。予選敗退が決まった後、一部メディアでは、一部の選手に派閥的なものを形成する動きがあったとか、不仲があったとか言われているようです。事実だとは思いたくありませんが・・・

で、やはり企業にもこうした「組織の一体感」は不可欠なのではないでしょうか?一体感のある組織は、個々が創造性を発揮しつつも、全体として統制がとれている。組織としての集中力、爆発力があり、目標を定めたら、全員がターゲットに向かって各自の役割を果たす。このような組織なら、個の能力では劣っている集合でも、全体としては高いパフォーマンスをあげることができると思います。問題はその「一体感」をどうやって作るかにあるのでしょうが・・・

長くなりました。

今週のお題:ワールドカップから学ぶ企業・組織への教訓

2006-06-26 00:02:06 | ボルネオ語録(スラマッ・パギ)
こんばんは。

大会屈指の好カード、ポルトガル対オランダを見逃して悔しいスラマッ・パギです。

今週のお題は、先週の予告通り

「ワールドカップから学ぶ企業・組織への教訓」です。

サッカーって実に単純明快なゲームです。

ボール一個、11人
基本的に足技のみ
大きな役割はFW、MF、DF、GK
各人の仕事は、パス、シュート、ヘディング、トラップなど
そして、監督の考えた戦術・戦略を、これらの要素を組み合わせ、組織的に連携してゴールをねらう訳です。

なのに、なんでこれほど国力の差がでてしまうのでしょうか?
なぜ、世界の強豪は世代を超えて強豪でいられるのでしょうか?


監督の問題?
各国いずれも屈指の名監督を起用しています。
それほど戦略・戦術の深さに差があるようには思えません。

選手の問題?
-個人の技術・体力不足?
-戦略・戦術の理解不足?
-ど根性不足?
-インセンティブ不足?

いろいろ問題・原因はあるでしょうが、基本的には企業・組織をマネジメントすることと、本質は同じだと思います。

せっかくですので、サッカーで問題を単純化して、企業・組織への教訓をあぶり出してみようじゃないですか。

それでは一週間よろしくお願いします。



株主総会に出る

2006-06-23 23:47:42 | 人事組織のハナシ(学級委員長)
某企業の株主総会に行ってきました。学校の授業の一環なんですが、私の場合はたまたまそこの企業の個人株主でもあったわけで、一石二鳥で参加したというわけです。

株主総会。実は生まれて初めての経験になります。こんな機会でもなければ、当分参加することは無かったでしょう。そういう意味では貴重な経験でした。

さて、内容の方なんですが。想像していた通りというか、そもそもそんなもんなんでしょうね。淡々と議事が進んで、質疑があって、その後パーティをやって。ですから、株主総会自体は初めてでしたがそれほどサプライズはありませんでした。1つ議案が否決されたのが会社側としてはたいそうサプライズだったらしいですけど…。

そんな株式総会ですが、生で参加してみて自分なりに感じたこともあります。それは成果主義の下での、働く個人としてのスタンスについて。といっても株主総会なんで、普通の従業員ではなく、社長の話なんですが…。かなり大げさな表現にしますと、「俺がここまで業績を伸ばしたんだ!どうだ!すごいだろう!?」と株主にアピールして、「だからこれぐらいの報酬はもらって当然だよね。そうでしょ!?」。まぁ、こうなります。実際はもっと論理立てて淡々とアピールしていくわけなんですが、要点は同じだと思われます。

今回は企業のトップだったわけですけど、基本的に一般従業員レベルでも成果主義の下ではこうしたやり取りが普通に行われるはずです。はずです。はずなんです。でも、実際はそうはならないですよね。逆に「あんたはこれぐらいの成果しか上げなかったから、給料はこれぐらいね」。こんな感じで終わります。

この違いは何か。思うに、「プロであるか否か」という点が一番大きいような気がします。プロだからこそ自分の仕事の成果には絶対的な自信と責任を持っていますし、プロだからこそ成果を出したときは正当な見返りを要求するわけです。でも、悲しいかな。最近はプロでもなんでもないのに成果主義になっちゃうんですよね。自信もなきゃ、責任も取らない(取れない)。だから見返りも要求できない。

「プロである」とはどういうことか。そんなことを改めて感じた株主総会だったと言うことです。

「いつまでに何をしなければならないか」

2006-06-22 00:51:37 | 戦略ってなに?(P&N)
こんにちは。P&Nです。

ある授業で、某社の業務改革が取り上げられました。その中で、その改革の過程でリーダーが失敗した点として「1年後に結果を出すことを目標にしたために、それまでに結果の出やすい改革に目が行ってしまい、より長期的な打ち手がおろそかになってしまった」という指摘がありました。

これを聞いてギクッとしました。

「そんなこと、考えたことがない!」

今日進めた仕事は、日々の消火活動だったのか。いつ成果を出すための活動だったのか。

仕事をしていた頃を思い返してみると、「毎日死ぬほど忙しい」という言い訳は論外として、「毎日一生懸命」、「毎日の積み重ねが重要」という意識が、かえって曲者だったように思います。その意識は仕事をするときには確かに重要ですが、「毎日一生懸命仕事すれば長期的な成果につながる」ことばかりではありません。

身近な例では英語などは、日々の仕事で使う以外にも勉強が必要でしょう。

また今の業務を効率化する新しいシステムを作りたいときも、少しずつ業務を分析し、あるべき姿を考え、システム屋さんに相談して作っていく必要があります。6ヵ月後に状況を改善したいと思ったら、「5ヶ月半後に24時間まとめてやろう」とはいきません。週1回1時間ずつでも、1歩1歩前進していくほうがいいでしょう。

さらに、もし部下を育てたいのであれば、「日々の業務で何を教え、半年後までにどんな実戦スキルを身につけさせ、1年後までにどんな意識や責任感を育てていくか」といったことも考えるべきでしょう。

「いつまでに何をしなければならないか」は身近な仕事の期限、という意味以外に、より長期的にも考えなければならないのですね。

「当たり前」ですよね。失礼しました。

ワールドカップの経済効果

2006-06-21 00:55:33 | ウクライナ通信(sheva)
こんにちは、shevaです。サッカーワールドカップ、わがウクライナはようやく初勝利をあげることができました。いやー、初戦を0-4と大敗してしまいましたが、エースのシェフチェンコが頭を丸めた(たぶん1戦目より大幅にみじかくしている?)甲斐もあって、グループ2位に浮上しました!次のチュニジア戦に勝って、決勝トーナメント進出といきたいものです♪

・・・と、ウクライナを応援している分には気分がいいのですが、僕も日本人ですから、応援してますよ、日本代表。日本代表。。。うーん、状況はかなり厳しいですが、最後まで力を出し切って世界を驚かせてほしいものです。

えっと、ワールドカップネタは来週の討論のお題でつか・・・でも、最近はほんとにワールドカップしか見てないので、あまり他のことが考えられません(笑)。今日はワールドカップの経済効果について書きたいと思います。

今回のワールドカップの経済効果、電通消費者研究センターの調べによると、日本国内での経済波及効果は約4759億円になるとか。薄型テレビ、DVDレコーダーなどのデジタル家電で約930億円、大会関連グッズ、ユニフォームなどで426億円、ほかに飲食費や観戦ツアーなどもろもろ。

でも、おそらく見逃されているのが、W杯の「負の効果」。W杯が行われることにより逆に消費や生産が減っているところも当然あるはずです。今回のW杯は試合の時間帯が日本時間の22時以降ですから、夜の居酒屋は閑古鳥が鳴いていると聞きます。店内にテレビのないファミレスやファストフードなんかも打撃は大きいでしょう。ゲーセンやパチンコ屋なんかもかなり客足減るでしょう。

それに・・・今回のような時差のある大会だと、「寝不足による生産性の低下」ってのも意外と大きいかもしれません。多くのビジネスパーソンが深夜までテレビを見てしまうので、遅刻や欠勤の率が上昇したり、集中力が低下したり。まぁブラジルとかよりはマシなんでしょうけど。一度計測してみたら面白いかもしれません。

そうそう、さきの電通の試算ですが、これには条件があって、「日本代表が予選グループリーグを突破し、ベスト16まで進出すること」が前提です。当然、日本の成績によって上下するところが出てきます。景気浮揚のためにも(笑)、がんばれニッポン!

ワールドカップから学ぶ

2006-06-19 03:58:33 | ボルネオ語録(スラマッ・パギ)
今週から普通ネタです。

いやー、ワールドカップ面白いね。
TV放映の時間帯がいいもんだから、寝不足モード全開です。

昨日のクロアチア vs. 日本
残念無念のスコアレス・ドロー。
決勝T出場に首の皮一枚繋がってる状態ですが・・・難しいよね。

今回は各国の試合を結構マメに見ていることもあり、強いチームとそうじゃないチームの差がだいぶ見えてきました。

しっかしまぁ・・・日本てのは、「点を決めるイメージ」ってのがあまり沸きませんなぁ。なんででしょう?

-FWの決定力がない?
-パス・シュートの精度が低い?
-ド根性・ハングリー精神が足りない?
・・・各種マスコミ報道含め、挙げればキリがない。

ズバリ問題は、以下の3点。
戦略オプションが複数ないこと
それをチーム全員で体得していないこと
そして、大前提として個人技および自我の強さがないこと

その結果として、日本の攻めは極めて単調だと思います。
監督やチームが描いている攻めのパターンはあるのでしょうが、それがあまりにも「見え見え」。
どんなに「日本らしい攻め」であっても、それが相手に理解されていたら、当然防がれるに決まっている。キーパーソン、キーパスなどの「キー」を押さえてしまえば、たちどころに機能しなくなるのだから。

ブラジル、アルゼンチン、ポルトガル、イタリアなど「強い」といわれるチームの試合を見てると、それぞれの国らしさを保持ながらも、戦略・戦術のオプションが多様に用意されている。

キープレーヤーが徹底的にマークされたら、別人がキーマンとなって戦術をすぐに変更し、全員が直ちに対応する。
単なる体力消耗ではなく、試合の流れを見て選手交代を行い、戦略の在り方を大きく変えてくる。

なぜ日本にこれができないのか。

それは日本の選手育成システムに根本問題があるのだと思う。
よく解説者が
「もうなんでもいい、形なんかこだわらず、なにがなんでも点を入れてくれ」
なんていってますが、それって無理じゃない?
今の育成システムって、そういうタイプを排除しちゃうようにできてない?
「ドログバ」みたいな、何が何でもゴール向かうタイプって、いないじゃん。

私は別にサッカーに詳しい訳ではないが、なんとなくイメージができてしまう。
日本人は、体格的に欧米人に敵わないこともあり、チームスポーツをやると、やたらに「チーム・プレー」や「形」に拘る傾向がある。

個人プレーで強引にいくタイプは、点を決めている時はいいが、不調なときは「チームの和を乱す」として疎んじる傾向が強い。
特に日頃そういったスター性を持つ奴を快く思わない「中の上」や「上の下」の多くの選手たちは、特にそうだ。
監督も組織を重視する以上、特定プレーヤーに肩入れするのは良くないと思い、チームの和を重んじる。
こうしたことが繰り返されていく内に、安定的で調和のとれた「上の下」の集団が完成してゆく。
そして、そういう中で、キーになりそうな人を見つけて、勝利の型を形成していく。

・・・これじゃ、だめなんだよ。

ポルトガル vs. イラン戦でのC.ロナウドの「オレ様」っぷりを見たかい?
どうみたって、個人プレーに走っており、なかなか点も決められないけれど、ベテラン勢が一生懸命それをサポートしている。

フィーゴがペナルティエリアで倒されてPKもらった時も、(1点リードし、残り10分の場面だったけれど)、フィーゴはC.ロナウドに蹴らせて見事決めた。

これからのナショナル・チームを背負っていく若手に自信をつけさせようと、チーム全体で「ミスを覚悟で」育成しようとしているのだよ。こうやって、チームに調和しつつも、いざというときは強引にゴールマウスをこじ開ける能力の選手をそろえていく。

こうした育成がまともにできるようになってはじめて、複数の戦略・戦術を巧みに使い分けるチームが編成できるようになるのだと思う。日本は選手の育成システムを根本から変えない限り、滅多に決勝Tに勝ち進むことはあるまい。

ちなみに、これは企業に当てはめてもとまったく同じだと思う。
組織にこだわり、調和にこだわる結果、(ムラはあるが)突出したプレーヤーを徐々に排除してしまう・・・痛切に感じた今日この頃でした。

やっぱりね、若い内にミスを許容する育成システムが重要なんだと思います。

なお、来週の月曜日は私がお題の担当者ですんで、今から出題しときます。
「ワールドカップから学ぶ、企業への教訓とは?」
そのつもりで、ワールドカップを楽しんで(?)くださいませ。

スラマッ・パギ

[お題まとめ]株式上場の意味とは・・・

2006-06-18 23:59:11 | zenkeiは見た
あの青い服の奴等だけは、ほんとに・・・。

それはさておき、約10年前、大学に講演に来たベンチャーキャピタリストに「全員起業してIPO目指せ!」と尻を叩かれたzenkeiです。

世間がワールドカップで盛り上がっている最中、日経紙面上だけで旬だった「株式上場の意味とは?」のお題にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

一部の方から「上場なんて意味ないから考えるの面倒くさいや」という思いはヒシヒシと感じましたが、一応ご意見をまとめると、
・広く浅く資金調達できる
・上場しているという信用(融資、人材、営業など)
・外に公開することの効果(ガバナンス、透明性など)
・成長実感のマイルストーン、焦点を一体化させる目標
・経営者が儲かる、モテる
といったところに集約できるでしょうか。

まったくごもっともなのでそれで終わってしまっても良いんですが、あえてひねくれた見方をして、こんな反論を。
・資金調達→銀行融資か、社債とかでも良いのでは?
・信用→上場してなくても信用されてる企業はたくさんある。セントレ○クスとかマザ○ズなどの上場審査能力は信用できる?
・公開効果→上場しなくても自分たちでやれよ。
・成長実感→売上高目標とかでもいいのでは?
・経営者が儲かる→お手盛り給料でいいじゃん。お金あったらモテるかも。

このひねくれた見方の上に立った、私の考える2006年時点の上場の意味は、  「上場前の株主が大金を手にしながら、引退しても権力だけは握っておきたいときに利用する仕組み」だと思っています。戦後は違ったかもしれませんが、現時点では上場前の株主(経営者、創業者一族、VCなど)がEXITするためだけにしか上場の意味は無くなったという気がしています。

上場したからすごいんだとか、上場を目指してるからエライとか、とかく上場やIPOという言葉が美しいものとして評価されがちな風潮に疑問を投げ掛けたいお年頃、IPOが目標と言っているベンチャー企業にはだまされないように気を付けましょう!>俺
(zenkei)