一橋MBAブログ 「くにたち」な日々

HMBA有志による非公式リレーブログ

リストラの向こうに

2006-11-03 23:38:08 | 人事組織のハナシ(学級委員長)
「雇用調整」「首切り」の代名詞になって幾久しい「リストラ」。本来の「リストラクチャリング」、すなわち「事業構造の再構築」という意味はかなり薄れてしまったのではないでしょうか。でも、実際は大胆かつ迅速にリストラを敢行して、企業を立て直す必要も時にはあります。そんな時、本来の意味を離れて、単なる「人件費削減」としての「リストラ」を行うとどうなるか。

『企業戦略白書Ⅲ』(伊丹敬之・一橋MBA戦略ワークショップ/東洋経済新報社)の中で触れられている内容の1つが冒頭のお話です。「良いリストラ、悪いリストラ」。最近、この白書に関連して過去のシリーズを読み返していまして、面白かったんでここで取り上げてみます。詳しい内容は本書をお読み下さい。

本文中の事例では「良いリストラ」として松下電器が、「悪いリストラ」として日立と東芝が取り上げられています。どちらの事例でも、いわゆる「人員削減」は行われています。ですが、その後急速にV字回復を遂げた松下と、その後も低迷を続ける日立や東芝との間には、やっぱり何か明確な差があったのではないか。そんな視点で分析がなされています。

さて、何が明暗を分けたのでしょうか。複雑に絡まった要因を極々簡単に表現すれば多分こういうことでしょう。「リストラの向こうに何が見えたか(何を見せたか)」。業績が悪化してリストラとなると、企業内では様々な変化が起こります。戦略も変わる、組織体制も変わる、人事制度も変わる。人員が減って、賃金も下がる。こうした内向きのネガティブなパワーをどこかで外向きのポジティブなパワーに変えないと、リストラに伴う負のスパイラルに巻き込まれて抜け出せなくなります。そこで、「リストラの向こう側」が大切になってくるわけです。

といっても、いつまでたっても向こう側にいけないと、やっぱり負のスパイラルが襲ってきます。ですから、極めて慎重かつ大胆なリストラが必要なんですが…。事例の内容はやっぱり本を読んでみてください。我々も先輩方の偉業に貢献しないといけませんしね。歯切れが悪いですが、今日はこの辺で。