よしーの世界

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死の医学   駒ヶ嶺朋子

2022-12-24 07:43:25 | 
この本は抜群に面白い!今年読んだ新書の中でも1番に推せます。何しろ臨死体験、体外離脱、金縛り、

憑依という非科学的とも思える現象を、現役の脳神経内科医にして詩人の著者が科学的に解明していく

という内容で、冒頭のエピソードから一気に引き込まれてしまう。今まで心霊現象とも呼ばれ、科学的

捉え方をされていなかったが、その存在を認知し、脳の働きが大きいということが医学的に解明されつ

つあるようだ。


日本においての琉球・奄美の「ユタ」や恐山の「イタコ」はストレス下における「解離」という現象で

それは例えば表現者が記述や演技という健全なる文化活動において、憑依する体験なのだという。著者

の知り合いの能楽者は演技をするときには「無」の境地に至るとインタビューに答える。確かに見事な

演者は憑依しているように見える。菅田将暉など、テレビで観る姿がどれも全く違って見える。


人の知覚の前提には「地球」があるとは、正しく宇宙飛行士の野口聡一氏が宇宙空間で船外活動をして

いるときに体験した話(宇宙に行くことは地球を知ること 野口聡一 矢野顕子・光文社新書)と合致

する。私たちが日常で重力を感じる事は殆どない。この事と「めまい症」との関係性は非常に興味深い。


著者は「死」と真摯に向き合い、「死後の世界」にも謙虚に対峙する。医学者が所謂「心霊体験」とい

う現象へ言及している本を読んだ記憶がないが、科学的に解明されだして、膨大なデータを元に話すこ

とが可能になり、本書を記したのだと思う(掲載されているエピソードは泣けます)。私たちの生死観

に大きな影響を与える本だ。


   死の医学   駒ヶ嶺朋子              集英社インターナショナル新書





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