よしーの世界

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ポストコロナの生命哲学   福岡伸一 伊藤亜紗 藤原辰史

2024-01-07 08:01:40 | 

生物にとっての遺伝子の掟は「産めよ、増やせよ」ということだが、人間だけは遺伝子の掟から解放

された、その鍵はロゴスを持ったことだ。人間はロゴス(ギリシャ語で「論理」あるいは「言葉」)

の力によって、文明や社会、経済、あるいはさまざまな制度を作り出した。そうして人間を発達、発

展させ社会を推進させてきたと福岡氏はいう。しかしロゴスは常に構築することに価値を置くという

弱点がある。例えばタワーマンションがそうで、新築の時には素晴らしいが10年、20年経ち劣化して

いき大規模修繕工事が必要になる。100年後はどうなるか想像できない。

 

私たちは科学によってあらゆることが解明でき、解決に導く方程式を得られると考えていたが、コロ

ナの登場によってもろくも崩された。新型コロナウィルスのパンデミックは世界を揺るがすほどの、

非常に大きな歴史的現象と指摘しているのは藤原氏だ。私たちは仕事先や学校に行く事はおろか、自

宅から外へ出る事さえ躊躇することを初めて経験した。

 

鼎談の中で伊藤氏が発言したのは、人間の活動で森林破壊をすることで、そこに棲んでいた生物がそ

の生息地から追い出され、その生物の体に棲んでいたウィルスや細菌も森から出てきてしまうことは

映画「アウトブレイク」でも同様の事をテーマにしていた。

 

日本人は特に清潔好きで、病気に対して薬に頼る傾向にあるが、人間はピュシス(自然)そのもので

あるから、あまりにもその傾向に偏ると危険だ、福岡氏が言っているが同感だ。全く検証せずにすべ

ての政策が実行されることは危うい。本書を読み実感した。

 

   ポストコロナの生命哲学   福岡伸一 伊藤亜紗 藤原辰史        集英社新書

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