よしーの世界

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毒婦伝   朝倉喬司

2022-12-20 06:24:18 | 
高橋お伝、花井お梅、安倍定は何れも名前を聞いたことが有り、エピソードも多少は読んだことが有るが、

どういう環境で生まれ育ち、どういう生涯を送ったのか知らなかった。著者は彼女たちの事件を扱った当

時の新聞、警察の供述調書、さらに歌舞伎や芝居の演目、面白おかしく書かれた読み物まで丹念に読み込

み、あらましを本書に詳細に綴っている。


勿論彼女たちのことを擁護することは出来ないが、余りにも四角四面化した現代に毒婦とか妖婦とも称さ

れた生き方を目の当たりにして、色々な人間が居る事を知っておいてもいいと思う。自分の色を出せば当

然、世間との軋轢が生じる。今では自らのキャラが設定され逸脱しないよう生活をし、決して仲間外れに

ならないよう気を付けながら生きている人が多いと聞く。


しかし人生は一度きりだ。自分らしく生きていかなければ後悔をするかもしれない。世間との関係性は大

事だが、距離感を図りながら自分の個性を出せれば、もっと自由に生きることが可能だ。十人十色、百人

百様、たくさん本を読むことで,そのヒントが掴めるかもしれない。


本書の主人公たちは(それぞれに不幸も抱えながら)精一杯生ききったように見える。著者の思いが強す

ぎるように思える箇所も多々あるが、読んで面白く、考えさせられる本です。


   毒婦伝   朝倉喬司                平凡社
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