広田寛治のブログ

音楽と社会と歴史と

「日本の童謡、その3つのルーツ」

2012年07月10日 12時17分26秒 | 日本史のなかの音楽
ビートルズの童謡は多様だ、と書いたが、日本の童謡も多様であり、謎に満ちている。
古代、「童謡」といえば、子どもの歌というよりも、予言の歌みたいにとらえられていた。でも僕は、案外、子どもたちが歌っていたんじゃないかな、と思っている。子どもは親を通じて社会を身体と心で感じている。だから大人たちの心配や悩みを歌で表現する。それが予言歌になる。
合田道人『童謡の謎』シリーズをながめていると、日本の童謡には大きく分けて、3つのルーツがあることがわかる。
西洋の童謡を借りたもの。日本の童話をもとに大正以降に西洋音楽のルールにのっとって作曲されたもの。そして、古くから歌い継がれてきたもの。
最初のふたつの流れから生まれた童謡は、そのルーツも誕生物語も、ある程度は解明されている。だけど、3つめの古くから伝承されてきた童謡はその多くが謎に包まれている。「かごめかごめ」「五木の子守唄」「てるてるぼうず」「ずいずいずっころばし」などがそれだ。
「かごめかごめ」は籠女=遊女のこと。遊女は白拍子などの古代の女性シンガー(こういう言葉使うと怒られそうだけど)の流れをくんでいる。この歌を使った遊びのルーツもおもしろい。もとは霊媒師や呪術師がまん中に座り、周りを回る人たちの心の中のものが、呪術師の体内に取り入れたのだという。
また、「てるてるぼうず」は、中国の掃晴娘(やはり呪術師みたい)で、箒を使って雲を掃き払い晴天にみちびいてくれる存在だった。その風習が平安時代頃までには日本にも入っていたという。この曲は1923年中山晋平作となっているが、出だしのメロディは古くから伝承されてきたものだという。
古くから伝承されてきた童謡のルーツを実証的に裏付けることは、現段階ではほとんど不可能に近いが、こうした童謡の存在することは、「日本の音楽」を語るときには避けては通れないはずだ。


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