かげは楠の若葉で寝ころぶ
桑の若葉のその中の家と墓と
椎の若葉のもりあがる空は雲なし
椎の若葉もおもひでのボールをとばす
すずしく風は萩の若葉をそよがせてそして
梛(なぎ)の若葉のむかうからのぞいて朝日
楢の葉の若葉の雨となつてゐる
柿の若葉が、食べるものがなくなつた
柿の若葉が見えるところで寝ころぶ
柿の若葉に雲のない昼月を添へて
柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる
影は若葉で柿の若葉で(十二日の月)
寝床から柿の若葉のかゞやく空を(病臥雑詠)
窓へのぞいて柿の若葉よ