若葉かげよい顔のお地蔵さま
若葉かぶさる折からの蛙なく(墓所)
若葉から若葉へゆふべの蜘蛛はいそがしく
若葉したたるながれで旅のふんどしを
若葉したゝる水音みつけた
若葉しづもりまんまるい月が
若葉あかるい窓をひらいてほどよい食慾
若葉銀杏がすくすくと伸びて雲もなし
若葉動かず葬らひの鉦が響くなり
若葉かゞやき子燕は頻り羽ばたけり
若葉かゞやく今日は猿橋を渡る
若葉がくれの瀬音はまさしく天龍川