ふう。
いずれもカバーレイアウトは竹原宏さん、写真は大谷勲さん、モデルは三好礼子さんだ。
(↑ヒロの町の星条旗)
(↑ハレイワの町外れの教会)
(↑タートル・ベイの夕日)
やっと6日目だ。
私がバトンを渡した方は既に7日間の紹介を終え、オマケの8日目に突入した人までいるというのに。
フッ。
ウサギと亀ですな、まるで。
ま、いいや。
人は人。自分は自分。
さて。
7BCの6日目は片岡義男先生の「彼のオートバイ、彼女の島」「ときには星の下で眠る」「ボビーに首ったけ」(いずれも角川文庫)
いずれもカバーレイアウトは竹原宏さん、写真は大谷勲さん、モデルは三好礼子さんだ。
「彼のオートバイ、彼女の島」と「ボビーに首ったけ」はたしか映画にもなってたっけな。あんまりヒットはしなかったように思うが。
私が片岡義男を初めて読んだのは中学1年か2年の頃だった。
大ファンだった薬師丸ひろ子さんが雑誌のインタビューで、「好きな作家は片岡義男とか半村良です」と答えていたのを読んで、速攻で千円札握りしめて近所の本屋に片岡義男と半村良を買いに走ったっけ。
愛知県の田舎の垢抜けない中学生だった私は、同い年の薬師丸ひろ子さんが好きな作家を尋ねられて、竹宮恵子(「地球(テラ)へ」かな)でも大島弓子(「綿の国星」とか)でも吉田まゆみ(「れもん白書」だな)でも手塚治虫でもなく、私が聞いたこともない小説家の名前を、それも2人もサラリと答えるのを見て、「やっぱ映画の主役に抜擢される東京の女の子は違うわ。こりゃ、俺も片岡義男読まんと!」と(名古屋弁で)妙に感心したのを覚えている。
半村良にはあまりハマらなかったが、片岡義男には超どハマりした。
最初に買ったのは「ボビーに首ったけ」
お祖父様がハワイ移民、お父上が日系二世だからなのか、片岡義男の作品はどれも全編に「アメリカ」が漂っている。それも狂った大統領に率いられた狂った今のアメリカではなく、古き良き時代のアメリカである。いや、「アメリカ」ではなく「古き良きハワイ」と言った方がいいかもしれない。
今回、紹介はしなかったけれど、デビュー作「白い波の荒野へ」をはじめとして片岡義男にはハワイを舞台にした作品が多い。私にとっての「ハワイ」の原風景は中学時代に貪(むさぼ)るように読んだ片岡作品によって記憶の奥深いところに刷り込まれてしまったらしく、いまだにハワイに遊びに行ってもワイキキとかホノルルとかのホテルにいてもどうも落ち着かないというか、「ハワイに来た」という感じがしない。
レンタカーを借りてハレイワやカフクまで足を伸ばしたり、ハワイ島のヒロやワイメアなんかに行くと、「あぁハワイだぁ〜」と一気に気分が盛り上がってしまう。
(↑ヒロの町の星条旗)
(↑ハレイワの町外れの教会)
(↑タートル・ベイの夕日)
最初の頃は、ワイキキで嫁や子どもたちがはしゃいでいるのに、なんで私は今ひとつ盛り上がらないんだろう?と我ながら不思議だったが、2〜3年前に片岡義男を読み返してやっとその謎が解けた。
思春期の刷り込みとはかくも恐ろしいものか。
ちなみに片岡義男はアメリカ本土を舞台にした作品も数多く発表しているが、その舞台はやはり「都会」ではなくハワイのような「カントリー」、要するに西部だ。中でもビリー・ザ・キッドの生涯を描いた「友よ、また逢おう」はお薦め。
片岡義男といえばサーフィンとオートバイ。これはもう、鉄板。
私のオートバイ好きも元を辿れば片岡義男である。
今回、ルール無視で紹介した3冊はどれもオートバイをテーマにした青春小説。
紫外線ですっかり色褪せた、懐かしい「赤背表紙」(80年代、これが角川文庫における片岡義男の代名詞だった)を本棚から取り出して読み返すと、矢も盾もたまらずバイクで何処かに行きたくなる。
「彼のオートバイ、彼女の島」の中に、主人公コオが深夜、都心のビル街で愛車のカワサキW3にまたがって信号待ちをしているとき、身体に伝わってくる愛車のアイドリングの振動を感じて思わず泣いてしまう、というシーンがある。
50歳を過ぎるとさすがに泣きはしないが、真夜中の都心や人も車もほとんど走って来ない山間の道を走っていると、広い世界にポツンと放り出されたような、それでいて騒々しい世間から首尾よく逃げ出せたような愛車と自分の存在を全身で感じる時がある。車では絶対に感じたことがないあの感覚はなんだろう。
今回、7BCで紹介するにあたって冒頭の3冊を読み返していたら、無性にバイクで遠くに行きたくなった。
そういえば今週末は2年前に急逝した妹、摂ちゃんの三回忌。
天気予報は週末まで快晴。
これはもう、行くっきゃないな。
一億総自粛警察と化している今日この頃だが、まぁ、なんとでも言ってください。
今週末は、妹の位牌を愛車ボルティのサイドバッグに突っ込んで、下道・寄り道しながら名古屋まで長距離ソロツーリングだ。
摂ちゃんはドライブが大好きだったけど、ついに私のバイクには乗せてやれなかったからね。
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