つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

7日間ブックカバーチャレンジ【最終日】

2020-05-11 23:18:39 | 日記

やっとここまで辿り着きましたでござる。

7BCの7日目。つまり最終回。
 
いろいろ悩んだ結果、最後に紹介する本は池澤夏樹さんの「南の島のティオ」(文春文庫)

可愛らしいカバーは杉浦範茂さん。
 
南の島に住むティオの不思議な日常を描いた児童文学の傑作だ。
児童文学とはいえ大人が読んでも十分面白い。是非、ご一読を。
 
連作短編10話が収録されているが、その第1話「絵はがき屋さん」は、受け取った人が必ずその絵はがきに印刷された場所にやって来るという不思議な「絵はがき」を売る男ピップの話。
本当にこんな絵はがきがあれば、今、新型コロナ騒ぎでお客が1人も来なくなってしまった観光地の皆さんはいくらお金を出してもいいからピップに注文したいところだろう。
 
でも大丈夫。
「人を呼ぶ絵はがき」は、今、ネットで、TVで、雑誌で、形を変えて日本中、世界中に送られてる。数えきれないほどの人たちが絵はがきを受け取っている。
だから、新型コロナがおさまったとき、世界中の人が、世界中に動き出すだろう。
 
行きたい場所に行ける、会いたい人に会えるということが、いかに幸せなことか、いかに人間らしく生きるために大切なことか、僕らは気づいてしまった。
どんなにリモート会議システムが進んでも、どんなにVRが進化しても、結局、自分の足でその地に立って、その地の花の匂いを自分の鼻で嗅いで、その地の食べ物を自分の舌で味わって、そしてその地の人と手を繋ぐ、という幸福にはかなわないのだ、ということに僕らは気づいてしまった。
 
新型コロナによってパラダイム・シフトが起こる、という意見には賛成だけれど、そのシフトはよりヴァーチャルに、よりリモートに、という方向ではなく、よりリアルに、より実体験に、という方向に進むだろう。
実体験というものが、これまでにないほどに価値を持つだろう。
 
新型コロナはたくさんの大切な人たちを奪っていったけれど、同時にたくさんの大切なことを僕らに教えてくれた。
新型コロナの負の側面だけを見て、怯えて身体と心を閉ざすのではなく、それを乗り越えて新しい価値観を自分の中に作り上げていく。
新型コロナと共生・共存するとは、つまりはそういうことなのだと思う。
 
ちなみに、ティオの住む「南の島」のモデルはミクロネシア連邦の首都パリキールがあるポンペイ島。
なので新型コロナが下火になったら、Mが写真を送ってくれたシェラ・ネバダと、昨年のラグビーW杯でファンになったサモアと、そしてポンペイ島に行こうと思う。
 
それは、そんなに遠い未来の話ではない。

(Ⅿが送ってくれたグラナダ近郊から見たシェラ・ネバダ)
 
 
 


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1 コメント

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Unknown (05tatsu)
2020-05-13 05:28:04
ポチりました
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