つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

ヤジは議場の華か?(2)

2014-06-24 16:44:35 | 日記

というわけで、鈴木章浩議員が名乗り出ましたな。

皮肉を込めて前回の記事で「意カス野郎」とヤジ当事者を揶揄していたら、本当に甘いマスクの「イカス野郎」だったので自分の洞察力にちょっとビックリだ。ちがうか。

 

昨夜は鈴木議員の事務所に生卵が投げつけられ、現在、鈴木議員のfacebookには(ほとんどが匿名で)批判コメントが殺到しているそうだ。

 

「節操ねぇ!」と言われようと何だろうと、ここで私、手の平返して鈴木議員の味方になりました。

顔も名前も明らかにせずに、生卵投げつけたり、批判メール送りつけている者ども。

お前らも群衆の陰に隠れて卑劣なことをしている、という点ではセクハラヤジを飛ばした人間と同じだ。

 

塩村議員にセクハラヤジを飛ばしたのは鈴木議員だけではない。他にもまだ隠れてるクソ野郎がいるし、自民党は「(鈴木議員のヤジ以外は)聞こえなかったし、確認もできないですぅ~」とかすっとぼけた寝言をほざいているが、少なくとも鈴木議員は正直に名乗り出て、日本中、いや世界中に赤っ恥さらして、塩村議員にも頭を下げたぞ。

名乗り出るまでの5日間、彼は後悔の念に苛まれていただろうし、失職の恐怖に怯えていただろうし、支援者や家族に顔向けもできず、眠れない夜を送っていたはずだ(本当のバカでなければ)。

それでも彼はそれを乗り越えて頭を下げたぞ。

彼の飛ばしたヤジは下劣以外のなにものでもないが、彼の謝罪を(日本中がそれを評価しなくても)私は評価するぞ! パチパチパチ(拍手の音)。

 

生卵投げつけてるバカや、匿名で批判メールを送り続けている卑怯者へ。

(「お前ら」とかいうと、また「言葉が汚い」とか面倒くさいコメントが来るので)「あなた達」には惻隠の情というものがないのか?

追いつめられた結果であろうと、誰かから圧力がかかった結果であろうと、マスコミに名前が出て逃げ切れなくなって観念したからであろうと、

一人の大人が、自分の非を認めて頭を下げた以上、基本的に話はそこで終わりだ。

もちろん、行為自体が犯罪を構成するとか、院内会規に抵触して懲戒処分の対象になるとか、そういう問題は別だ。あくまでも心情としての問題ね。

この先、鈴木議員の責任を追及し続けていいのは、ヤジを受けた塩村議員と東京都議会と鈴木議員を選出してしまった大田区の有権者だけだ。

それ以外の「我々」は、この問題においては結局のところ「第三者」「外野」であって、鈴木議員に対する批判は単なる心情論以外のなにものでもない。

鈴木議員が頭を下げ、塩村議員が(内心は未だ怒りが煮えたぎっていようと)形式的にであれ鈴木議員の謝罪を受け入れた以上、「誰だか分からないけどヤジを飛ばした品性下劣野郎」を心情論だけで批判し、糾弾し、罵詈雑言を浴びせていた「当事者ではない我々」が、しつこく鈴木議員を糾弾すべきではないし、そんな権利もないのである。と思う。

仮に、

「いや、鈴木議員のヤジは日本の国益を損なった。日本国民として自分は正当な利害関係を有している。」

とか

「私は女性(あるいはフェミニスト)であり、鈴木議員のヤジは全女性・全フェミニストに対する重大な侮辱であり挑戦であるから私も当事者として彼を糾弾する権利を持っている。」

とか言うなら、自分の名前と所属を明らかにして正々堂々と生卵を投げつけたり、批判メールを送りつければよろしい。それによって警察に逮捕されようと、名誉毀損で訴えられようと、あくまで自己責任で。

 

ところで、話は変わるが(いや、たいして変わらないが)、今朝のフジテレビの番組(めざましテレビ)で、

「ステージ上で芸を披露しているお笑い芸人に対して観客がヤジを飛ばしたら、お笑い芸人はそのヤジを認識し、ヤジを飛ばした観客を特定できるか?」

という実験をしているコーナーがあった(歯磨きとトイレの途中でたまたま見た。)。

結果的に、ヤジを飛ばされたお笑い芸人はヤジ自体をまったく認識しておらず、従って、ヤジを飛ばした観客も特定できなかった。

この結果を踏まえて出演者の一人は、

「芸に集中しているとヤジなんか聞こえないし、結果としてヤジを飛ばした本人も特定できないものなんです!」

としたり顔でのたまっておった。

おいおい。

塩村議員はちゃんとヤジの内容を認識しているし、ヤジを飛ばした人間が坐っていたおおよその位置まで特定できてるんだぞ。

それを前提にしたフジテレビの実験は、

「塩村議員は議会での発言・質問に集中していなかったからヤジが聞こえたんだ。集中してればヤジなんか聞こえないし、ヤジを飛ばした本人も特定なんかできない。」

と言っているようにしか見えんぞよ。

番組に対する私の理解が的外れであればいいのだが、もし、上記のような意図でフジテレビが今朝のコーナーを作ったんだとしたら、塩村議員に対する侮辱以外のなにものでもないぞ。

そもそも、

「相互の意見交換・討論の場である議会における発言・質問とヤジ」

「自分の芸を観客に見せることだけに全神経を集中させているステージ上のお笑い芸人とそれに対するヤジ」

はまったく状況が違うだろ?

・・・フジテレビの番組制作レベルって、どんだけ低いんだか。

 

結論:私、鈴木議員の味方である。フジテレビの番組制作意図は理解しがたい。

 

・・・あ、コメントに対するコメントはこの次。時間があったら今夜書く。たぶんムリ。