(「四国こんぴら歌舞伎大芝居 ③」からの続きです)
【六段目】
勘平が帰宅して着替える水浅葱の紋服。
普通は薄い水色だとおもうのだが、海老蔵さんは薄い黄緑。
金丸座独特の光のせいだろうか。
着替えの際落とした縞の財布をおかやに見つけられる。
勘平は「何でもござりませぬ」とそれをさっと取って胸元にしまうが、互いにばつが悪い。
そこでの海老蔵さんのごまかし笑いがなんとも不自然。
客席からちょっと笑いが起きてしまった。
一文字屋お才から縞の財布を受け取り、自分の懐の財布と見比べる場面。
勘平の見せ場の一つだが、小さく縮こまってしまっているというのか、
形の美しさが今ひとつだった。
おかるが出て行き、二人侍が訪ねてくる。
慌てて大小を腰に差す時、刀を鏡にして勘平が鬢や髷を撫で付ける。
この場面は、わざわざ刀を少し抜いて鏡の代わりにするやり方と、
手があまりにガタガタ震えるため刀が鞘走り、
ふと刀に目をやって初めて髪の乱れている自分に気づく・・というやり方とがあるらしい。
私は、後者のほうが動転する勘平らしく自然だと思うのだが、
海老蔵さんのやり方は前者だ。
(今年の正月の浅草公会堂の勘太郎さん・七之助さんも前者。)
念入りに両方の鬢と髷の曲がりを直す勘平@海老蔵さんは、
急に安手のホストのように見えて余り好きではなかった。
二人侍を迎えに出る勘平に逃げるのではないかと追いすがるおかや。
そこまで疑われるのかと情けなさでいっぱいの勘平。
「私の腰にしっかりと取りついておいでなされませ」
浅草の勘太郎さん・七之助さんはここを絶叫してしており(特に七之助さん)、
観ていて凄く違和感を感じた。
海老蔵さんは果たしてどうやるのか。
結果は、絶叫はしないもののかなり張ってセリフを言っていた。
きっとそういうものなのだろう(5月に歌舞伎チャンネルで放送予定の菊五郎さんの勘平で又観て見ます)。
勘平の鬘は芝居が進むにつれ、少しずつ髷が崩れていくようにできている。
私が観たときはまだ初日から4日目だったこともあり、
手順が流れるように行かないところもあったように感じた。
以上、気になったところを端的に並べました。
あれこれ偉そうに生意気なことを書きましたけど、
海老蔵さんの勘平、すばらしいです。美しくてはかなくて・・・。
1月の制作発表記者会見で、
「いい人すぎて墓穴を掘っちゃう」ような人と海老蔵さんが勘平を評して
言っていましたが、そういう人物像が痛いほどに伝わってくる芝居です。
これからご覧になる方はどうぞ楽しみにしていらしてください。
【六段目】
勘平が帰宅して着替える水浅葱の紋服。
普通は薄い水色だとおもうのだが、海老蔵さんは薄い黄緑。
金丸座独特の光のせいだろうか。
着替えの際落とした縞の財布をおかやに見つけられる。
勘平は「何でもござりませぬ」とそれをさっと取って胸元にしまうが、互いにばつが悪い。
そこでの海老蔵さんのごまかし笑いがなんとも不自然。
客席からちょっと笑いが起きてしまった。
一文字屋お才から縞の財布を受け取り、自分の懐の財布と見比べる場面。
勘平の見せ場の一つだが、小さく縮こまってしまっているというのか、
形の美しさが今ひとつだった。
おかるが出て行き、二人侍が訪ねてくる。
慌てて大小を腰に差す時、刀を鏡にして勘平が鬢や髷を撫で付ける。
この場面は、わざわざ刀を少し抜いて鏡の代わりにするやり方と、
手があまりにガタガタ震えるため刀が鞘走り、
ふと刀に目をやって初めて髪の乱れている自分に気づく・・というやり方とがあるらしい。
私は、後者のほうが動転する勘平らしく自然だと思うのだが、
海老蔵さんのやり方は前者だ。
(今年の正月の浅草公会堂の勘太郎さん・七之助さんも前者。)
念入りに両方の鬢と髷の曲がりを直す勘平@海老蔵さんは、
急に安手のホストのように見えて余り好きではなかった。
二人侍を迎えに出る勘平に逃げるのではないかと追いすがるおかや。
そこまで疑われるのかと情けなさでいっぱいの勘平。
「私の腰にしっかりと取りついておいでなされませ」
浅草の勘太郎さん・七之助さんはここを絶叫してしており(特に七之助さん)、
観ていて凄く違和感を感じた。
海老蔵さんは果たしてどうやるのか。
結果は、絶叫はしないもののかなり張ってセリフを言っていた。
きっとそういうものなのだろう(5月に歌舞伎チャンネルで放送予定の菊五郎さんの勘平で又観て見ます)。
勘平の鬘は芝居が進むにつれ、少しずつ髷が崩れていくようにできている。
私が観たときはまだ初日から4日目だったこともあり、
手順が流れるように行かないところもあったように感じた。
以上、気になったところを端的に並べました。
あれこれ偉そうに生意気なことを書きましたけど、
海老蔵さんの勘平、すばらしいです。美しくてはかなくて・・・。
1月の制作発表記者会見で、
「いい人すぎて墓穴を掘っちゃう」ような人と海老蔵さんが勘平を評して
言っていましたが、そういう人物像が痛いほどに伝わってくる芝居です。
これからご覧になる方はどうぞ楽しみにしていらしてください。