東埼玉病院 総合診療科ブログ

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あかつき病について

2018-09-30 20:23:42 | 勉強会

 先日外山先生がやってくれた勉強会の内容についてのせたいと思います。在宅や施設では皮膚科的なプロブレムも多いのですが、時々在宅で遭遇するあかつき病について調べてくれました。

★定義(坂本、1983)「通常の日常生活を送ってさえいれば脱落、清浄化されるはずの物質が、主として心的機制によって局所的正常化が妨げられて、鱗屑痂皮として蓄積した状態」
★類縁疾患:pomade crust, terra firma-forme dermatosis(TFFD、アルコールで拭くととれる=診断的治療、小児に多い 文献1:腫瘍、母斑等との鑑別で重要らしい)
★常在するマラセチアM.obtusa,M.slooffiae との関連(文献2)→治療:ケトコナゾール外用、オリーブ油による浸軟・角質除去
★うっ滞性皮膚炎との合併報告(文献3)→治療:毎日のイソジン足浴・洗浄、5%サリチル酸ワセリン(疣状局面)、アクトシン(潰瘍局面)
★蜂窩織炎との合併報告(文献4)→治療:抗生剤投与、洗浄、10%サリチル酸ワセリンODT(閉鎖密封療法)
★異型白癬(Trichophyton mentagrophytes)との関連(文献5)→治療:イトラコナゾール内服
 
•文献
1.Aslan et al, Features of Terra Firma-Forme Dermatosis. Annals of Family Med. 2018
2.田島ら、Malasseziaの菌相を解析したアカツキ病の3例、日本真菌誌、2005
3.前田ら、うっ滞性潰瘍を伴った高齢者のアカツキ病の1例、臨床皮膚科、2001
4.江野澤ら、蜂窩織炎を伴ったアカツキ病の1例、臨床皮膚科、2011
5.田中ら、異型白癬の一例、第50回日本医真菌学会総会抄録集、2006
 
 
 症例報告などが主であり、あまり体系だった治療方法などは確立されていないようではあります。
ただ、あかつき病を疑った場合には、抗真菌薬の外用やサリチル酸ワセリンは、皮膚病変みつつ使ってみるのがよいのかなと勉強会内では話になりました。
 
 

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