東埼玉病院 総合診療科ブログ

勉強会やカンファレンスでの話題、臨床以外での活動などについて書いていきます!

メディカルトリビューンにプライマリケア連合学会での発表内容が掲載されました

2015-07-31 00:56:22 | 学会活動

 7/23発行のメディカルトリビューンという医学新聞に、先日今永が第6回プライマリケア連合学会で発表した内容が掲載されました。

「介護施設入所者の緊急入院のリスク 因子は慢性心不全,褥瘡,体重減少」という表題で、発表した内容を記事にしていただきました。10万の読者がいる医学新聞なだけに光栄なことです。第6回プライマリケア連合学会の日野原賞演題の中から、今永の演題と日野原賞をとった演題の2つが掲載されています。

まだまだ課題も多い発表内容ではありますが、今回このようにとりあげていただき、臨床に軸をおきながらも、今後も各自の研究をがんばっていこうという気持ちになりました。

 

 

 


今年度2回目の在宅医療連携推進協議会

2015-07-27 20:54:29 | 在宅医療連携推進事業

 7/24に今年度2回目の在宅医療連携推進協議会がありました。今回は、地域で活躍されている民生委員さんたちに参加していただきました。

①民生委員・児童委員との意見交換について報告

  蓮田市と白岡市の民生委員さんに、事前に事務局でインタビューを行い、今、地域がどのような問題点を抱えていて、どのようなことに困っているのかをお聞きし、まとめさせていただきました。まず、その内容について報告させていただきました。個人的に感じたのは、やはり地域では老々介護や独居の方が増えてきていること、また介護サービスや医療へ結びつけることが困難なケースなども多いのだなと再認識しました。そのような中で、長い年月にわたり、根気強くかかわりをもつ民生委員さんたちの大変さを感じました。

②グループワーク『地域で問題になるような事例を通して介入方法を考える』

 地域で問題となるような1つの事例を提示させていただき、それに対してどのような介入を行っていけばよいかを多職種でディスカッションしていただきました。難しい事例に対して、参加者の皆さんが様々な視点で介入方法を考えて、発表してくださいました。民生委員さんたちもグループワークに加わっていただき、非常に貴重な意見もお聞きすることができました。

 

 この事業も3年目に入り、今までの経緯でだいぶ多職種連携が推進されつつあると感じていますが、地域社会との連携はまだまだ課題でした。まず、現在のこの地域の現状はどうなのか、民生委員さんや自治会の方々などが地域でどのような活動をされていて、どのようなことで困っているのかなどを共有し、そのなかで、医療・介護職がどのように地域社会と連携していけばよいのかを考えるきっかけになればよいなと思い、今回のテーマにしました。アンケートなどを拝見すると各専門職の方々にとってそのようなことを考える1つのきっかけにはなったのかなと手前味噌ですが、感じました。参加してくださった民生委員の方々には、心から感謝いたします。また、今後ともこのような関わりを広げていければなと感じました。


症状のない収縮期雑音について(朝の勉強会)

2015-07-19 23:53:15 | 勉強会

 先日の勉強会の内容をアップします。健診などをやっていると、ご本人は特に症状もないのですが、一連の診察のなかで、心雑音(収縮期雑音)を聴取することがあります。さて、どうしようという感じになります。高齢者などでは機能性の雑音の方も多いですし、全例に心エコーなどを行うのもコストエフェクティブではないでしょう。という疑問から橋川先生が勉強会をやってくれました。  

 

<症状のない収縮期雑音について>

★AS(大動脈弁狭窄)は徴候が出現したらMortalityが急激に上昇する。(徴候出現後の数か月で3%、3年で50%up) しかし、珍しい病気ではなく、無徴候性では身体所見だけで診断付きにくいところが難点。⇒ASをいかにひっかけるかが重要と言われている。  

重度ASの特徴

 Ⅱ音の消失・減弱:感度44~90%、特異度63~98%、陽性尤度比3.1、陰性尤度比0.4

 収縮後期のピーク:感度83~90%、特異度72~88%、陽性尤度比4.4、陰性尤度比0.2

 頚部への放散雑音:感度90~98%、特異度11~36%、陽性尤度比NS、陰性尤度比0.1

QJMed 2000;93:685-688 The pacient with a systoric murmur:Severe sortic stenosis may be missed during cardiovascular examination    

★収縮期雑音は小児80%、成人52%、高齢者29-60%で認める。そのうち、 44-100%で機能性心雑音である。(JAMA.1997;227(7):564-71)

★50歳未満でLevineⅡ以下の収縮期雑音であれば、98%は機能性雑音である。LevineⅢ以上で弁膜症有病率OR8.3(CI 3.5-19.7)

                                                           (Am J Emerg Med.2004 Mar,22(2);71-5)

★収縮期雑音(+)中年者(40-59歳)を35年間フォロー。(n=2014) 76.5%心雑音なし

 ~ AVR術、心臓死のリスクが健常者と比較し上がるか~

Levine Ⅰ/Ⅱ(21.9% )→AVR4.7倍、心臓死増加-

Levine Ⅲ/Ⅳ(1.6%)→AVR89.3倍、心臓死1.5倍

Levine Ⅴ/Ⅵ (0%)                                         J Intern Med 2012 Jun;271(6):581-8.

★心エコーの実施タイミング

<不必要>

・無症状の駆出性収縮期雑音のみ

・LevineⅡ度以下の雑音

・柔らかく、短い駆出性雑音、Ⅱ音聴取可能

<必要>

・拡張期雑音

・LevineⅢ度以上

・他身体所見の伴う収縮期心雑音

→兆候出現前に弁膜症の診断できるかもしれない。               

Up To Date :Auscultation of cardiac murmurs   QJMed 2000;93:685-688 The pacient with a systoric murmur

★まとめ

症状のない収縮期雑音を聴取した場合、

・LevineⅢ度以上、他身体所見あれば心エコー

・Ⅱ音が聴取できるか、短い駆出性雑音か、頚部の放散雑音、拡張期雑音もあるかなども参考に

 

 勉強会でも話題になりましたが、LevineⅡ度とⅢ度の差を見分けるのが実際には自信ないところではあります。しかし、心雑音に関して知識が整理されました。普段から上記の内容を意識して収縮期心雑音を聴取していってみようと感じました。


結膜炎への抗菌薬点眼使用について(朝の勉強会)

2015-07-15 20:44:09 | 勉強会

昨日の朝の勉強会は早坂先生が担当してくれました。眼脂や赤目などがある患者に、安易に抗菌薬の点眼が処方されてしまうことがあり、「それはどうなんだ?」という指摘を後期研修医などにすることがあります。今回はそのテーマについて調べてくれました。


1点として、細菌性結膜炎をより疑う状況はどのような時なのか? もう1点は、細菌性結膜炎だと考えた場合抗菌薬点眼をすぐ処方したほうがよいのか?という疑問です。


 


<結膜炎への抗菌薬点眼使用について>


★成人における急性結膜炎の原因:細菌性(40%)、ウイルス性(36%)、その他アレルギー性など(24%) Ophthalmology.1989 Aug;96(8):1215-20

 

★細菌性結膜炎を積極的に疑う所見は、①起床時のまぶたの違和感/眼脂でまぶたが接着している ②痒みがないこと ③結膜炎の既往がないこと の3点である.淋菌やクラミジアを除けばほとんどは1-2週間で自然軽快する.  JAMA.2013 Oct;23:310(16):1721-9

 

★Predicting bacterial cause in infectious conjunctivitis:cohort stydy on informativeness of combinations of signs and symptoms  BMJ.2004 July;329


【研究目的】細菌性結膜炎を強く示唆する要素/症状の組み合わせを抽出する


 【setting/対象/期間】オランダにある25か所のhealth centerにて


1999-2002年の研究期間に結膜炎が疑われた(赤目、眼脂、瞼がくっつく等の症状を有する)成人184人を対象とした



★A rondomisesd controlled trial of management strategies for acute infective conjunctivitis in general practice. 
BMJ.2006 July;333


P:細菌性結膜炎が疑われた1⁻57歳の患者


E:直ちに抗菌薬点眼を使用した群/3日様子をみてから必要に応じて使用した群


C:抗菌薬点眼を使用しない群(ただし実際は患者の希望+医師の判断で後日使用した群も含む)


O:重症度/症状改善度および改善までの期間など


 ⇒重症度有意差なし、症状改善度は直後使用群と待機的使用群で有意差なし、症状改善までの期間は直後使用群が他2群と比べて有意に短い(1日程度)


ちなみに3群とも約14日で症状改善がみられている。


★まとめ


・結膜炎様症状を呈する患者では、①早朝の眼脂(特に両目、瞼が接着するほど多量) ②痒み ③結膜炎の既往を確認


⇒早朝眼脂多量、痒みなし、結膜炎既往なし で細菌性の確立up


・抗菌薬を直ちに処方するのではなく、最低3日は待ち再評価してから処方してもよさそう


・細菌性結膜炎でも多くは2週間以内に軽快するため、必ずしも抗菌薬点眼が必要なわけではないか


 


ついつい安易に出してしまいがちな抗菌薬点眼ですが、ある程度適応を考えて使用することはやはり重要だなと再実感しました。理解を得るために患者や他のコメディカルにどのように説明していくかも重要ですよね。


 



外山先生講演「終のすまいを考える」at浦和

2015-07-10 21:42:52 | 講演・著書など


7/7に外山先生が、浦和のコミュニティセンターというところで、講演会を行いました。本日はその報告です。
以前も少しブログに書いたかと思いますが、外山先生は一級建築師の資格も持っており、そのような観点から在宅療養環境における住まいや療養室(患者さんがベッドや布団を置いて主に療養する場所)に関する検討などを行っています。以前にも一度ある会で講演を行ったことがあり、それに引き続き今回も講演の依頼がありました。以下講演のポスターからの引用です。

「病気の回復が見込めないとき、多くの人は、自宅で最期をむかえることを望んでいます。
しかし、終末期の在宅療養環境について、まだ十分な知見が蓄えられているとは言えません。
 建築を学び、設計事務所での勤務経験を持つ医師である外山哲也先生は、訪問診療を通じて、がんや非がんの終末期患者さんの自宅における療養の場について、具体的なデータに基づく検討を重ねられてきました。
 この勉強会では、外山先生のお話をうかがいながら、在宅での療養環境について考えます。また、そのことを通じて、ケアにおける空間の意味や役割を考えます。」

 文部科学省「大学間連携共同教育推進事業」選定取組
 「彩の国連携力育成プロジェクト」 勉強会


 上記内容で、多職種やそれぞれの職種の学生などを対象として行い、130名程度の参加者があったようです。様々な職種(建築関係者含む)の方々とディスカッションも盛り上がったようで、外山先生自身も様々な気づきがあったとのことでした。