東埼玉病院 総合診療科ブログ

勉強会やカンファレンスでの話題、臨床以外での活動などについて書いていきます!

体表部悪性腫瘍からの出血マネジメント

2016-04-20 21:59:23 | 勉強会

 久しぶりの更新になります。いろいろばたばたして、さぼってしまいました。

今日は昨日の外山先生担当の勉強会の内容を載せたいと思います。

ややマニアックな内容ではありますが、緩和ケア領域では時々遭遇する問題でもあります。乳がんの方などは腫瘍の皮膚への浸潤により、出血がなかなか止まらないことがあります。今回はそのようなときの対処方法について調べてくれました。

 

<体表部悪性腫瘍からの出血マネジメント>

「トワイクロス先生のがん患者の症状マネジメント」より

•血小板機能を阻害するNSAIDをやめる(AAP、COX-2阻害薬に変更する)
•アルギン酸塩(カルトスタット®など)
•硝酸銀棒
•トラネキサム酸
–内用 2g×4回/日(!)
–外用 500mg/5mlの溶液をガーゼに浸し圧迫
•その他外用
–エピネフリン1000倍液をガーゼに浸し圧迫
–スクラルファート(アルサルミン®)2gを5mlのKYゼリー®に溶解し外用
–1%ミョウバン液
 
その他の外用(医中誌などからの検索を中心に)
•エピネフリン軟膏(0.001%)
–0.1%エピネフリン1ml+親水軟膏100g 塗布(茅根ら「緩和ケアのちょっとしたコツ」)
•3%ホルマリン液
–ストマパウチ貼付、内部にホルマリン液を入れ30分間固定(足立ら、2007日臨外会誌)
•Mohsペースト
 Mohsが考案(Mohs’ chemosurgery:乳がんの固定・切除治療法、1936~)。本邦入手困難な材料を含むため普及せず。2005年重山らが本邦で容易に入手できる材料を用いた方法を報告し、使用報告数が増加
–調整例:塩化亜鉛50g+亜鉛華でんぷん25g+グリセリン5ml+蒸留水 (300円/100g程度、院内薬剤師の協力不可欠)
–直接塗布の他、ガーゼ塗布、ストマパウチを用いる方法も。2-3時間とされるが20分でも止血効果
–有害事象:局所疼痛、健常皮膚の接触皮膚炎 (以上 大井ら2009Palliat Care Res、加藤ら2013乳癌の臨床)
–固まるので作り置き不可→亜鉛華軟膏と混和にて保存可能(川俣ら2016医療薬学)
 
 体表部悪性腫瘍の悪臭などに効果があるメトロニダゾール軟膏などと比べて、今一つこれだというのがない感じではあります。普段はカルトスタット(アルギン酸塩)などを使用することが多いですが、コストの問題があります。エピネフリン軟膏は簡単につくってもらえそうではあり、薬局とも交渉しやすいかなと思いました。Mohsペーストは使用報告数多いようですが、なかなか現実的には使用難しそうですよね。

H27年度6回目の在宅医療連携推進協議会

2016-04-06 20:22:06 | 在宅医療連携推進事業

 3/25にH27年度6回目の在宅医療連携推進協議会が開催されました。実はこのモデル事業はH27年度で終了となるため、とりあえず最終回となりました。内容としては、在宅医療連携ガイドのアンケート調査の結果報告と、蓮田市よりH28年度以降の体制が発表されました。その後、軽食とお茶で交流会を行いました。交流会では何人かの方々に協議会に参加していただいた感想などをお話ししていただきました。皆様、多職種で様々な議題についてディスカッションしたことの重要性をお話しくださいました。

 蓮田市からも会のなかで話しがありましたが、今後は介護保険制度地域支援事業という枠組みのなかで、同様の(さらに発展させた?)取り組みを引き続き蓮田・宮代・白岡の二市一町で行っていくこととなります。当院もまた協力させていただく予定となっているので、少しでもこの地域の在宅医療介護体制作りや地域包括ケアの推進にお役に立てるようにがんばっていきたいと思います。