前回の記事では,大阪高裁13民判決には,大きく分けて「7つのおかしい点」があると述べました。
それでは,いったい「7つのおかしい点」とは何なのでしょうか?
そのアウトラインから,まず説明していきます。
まず,ひとつめ。
「合意がないのに合意の効果が発生すると認めたこと」です。
大阪高裁13民判決は,「約定利率の合意の点で,合意の欠缺という瑕疵があったとしても…」と判断し,約定利率の合意がないと認定しました。つまり,約定利率についての合意がないと判断したのです。
にもかかわらず,大阪高裁は,Hさんらには損害がないからという理由で,Hさんらにも,その間の約定利率に基づく利息の支払いを命じたのです。つまり,利息(=約定利率の合意があったことによる法律効果)が発生すると判断したのです。
すなわち,大阪高裁13民判決は,合意がないのに合意の効果が発生するというこを認めたのです。
合意がない契約は不成立です。これはあたりまえのことです。
こんな大阪高裁13民判決のような判断がまかりとおってしまった場合,今後は,合意に至らなかった契約であってもその契約内容に拘束されてしまうということになりかねないことになります。ひいては,契約に臨む全ての人々が,合意にまで至っていない契約内容に拘束されるということになってしまい,実際の取引の場・取引社会に混乱をもたらすことになってしまいます。