中小企業の倒産が増えているらしい。特に、金融円滑化法で、支払い猶予を受けていた企業の倒産が、7月以降急増している。
帝国データバンクによると、
中小企業金融円滑化法を利用して返済猶予を受けながら、後に倒産した企業は2011年1~8月の累計で101件判明した・・・2009年12月の法律施行から1年以上が経ち、資金繰りの下支え効果も薄れる中、2010年1年間の23件から大幅に増加。
倒産原因では、販売不振が2011年全体の8割を占める。返済猶予期間中に、業績を回復できずに行き詰る企業が目立つ・・・(帝国データバンクの調査(9/8発表)より引用)
中小企業金融円滑化法とは、簡単に言えば、中小企業が金融機関に借金返済の負担軽減を申し込んだ場合、金融機関はできる限り返済期限の延長や金利の減免等といった条件変更に応じるよう定めた法律であり、返済猶予法とも呼ばれている。
元々、この法律は、2009年12月に施行され、2011年3月までの時限立法だったが、景気の悪化を受け、2012年3月末まで延期されている。
それが、震災に続く急激な円高等により、これまで、表面的にはなんとか急場をしのいできた中小企業にとって、これ以上もちこたえられなくなってきた企業が増えている。
このままいくと、今後、秋から来春にかけて倒産が急増する可能性が強くなってきた。同時に、この動きに合わせ、金融機関はより一層、中小企業に対する融資先の選別を始めることが予想される。
つまり、この秋から来年をどう乗り越えていくかが最大の試練となっている。
もちろん、倒産まで行かなくても、かなり厳しい状況が続くのは間違いない。そういった中で大企業に比べ経営資源に劣る中小企業はどうやって生き延びて行けば良いのだろうか?
できれば、1社でも多く、この苦境を乗り切ってもらいたい。
・・・じゃ、どうすれば良いのか?
これまで、私は、倒産から這いあがってきたり、厳しい試練を乗りこえてきた多くの中小企業経営者の方々にお会いしてきた。そこで、その中で、色々教えて頂いたことについて少し書きたい。
それが、これからの苦難の乗り越えるための少しでもヒントになればと思う。
経営に想定外はない
すごく厳しい言葉である。一切の妥協や逃げを許さない言葉。・・・良い悪いという価値判断以前に、多くの経営者の方々から聞かされた言葉。・・・私にとって、この言葉は最も印象的である。自社の経営状態がよくないのは、市場環境が悪いとか、円高で利益確保が難しいとか、責任を外に求める経営者も多々見られるが、優れた経営者は、決してそこに言い訳を見つけようとしない。
いかなることがあっても、優れた経営者は一切の言い訳をしない。
たぶん、この意識を持てるかどうかが最初の関門のような気がする。
利益は目的ではなく結果
この言葉は一度倒産まで至った何人かの社長さん達から聞かされた言葉。・・・残念ながら私には最初理解できなかった。利益をあげることを目的に頑張ってこそ、従業員の雇用も守れるし、企業としての存在価値もあるのではないか。・・・私はずっと、そう思っていた。
でも、倒産からはいあがってきた社長はけっしてそういわない。
利益は目的ではない。あくまで利益は結果でしかない。
・・・まだ私には頭では理解できないが、たぶん真実だと思う。
正しいことをやり続ける
これもよく聞かされた。・・・奇をてらったようなことは言わないし、しない。あくまで正攻法。正しいと思うことをやり続けること。・・・これが商売の王道。
ちょっとやってみてダメなら、なんだかんだと理由をつけて自己を正当化しようとする。こういう経営者で残念ながら成功した人を見たことがない。
これは、最後に成功する経営者の共通意識なのかもしれない。
・・・私には、まだまだ理解できない経営者の真実。でも、それを肚で理解して実践できる経営者こそが、これからの時代を生き続けることは間違いない・・・そう強く思う。