平蔵日記

クサガメ平蔵の日記。他に徒然なるまま気の向くまま・・・

「剣客商売」 池波正太郎

2006年07月22日 20時05分34秒 | 読書
最近本屋さんにも行ってなく、読む本もないので、何気なく手に取った一冊。
一番最初に読んだのは、自分の汚い字で本に書き込んだ記録によると「1995年4月20日」。
それから何度読んだか覚えてませんが、結局またはまりました。
「鬼平犯課帳」「藤枝梅安」とあわせて、池波正太郎さんの3大シリーズ物の一つということになるかと思いますが、基本的にテンポのいい勧善懲悪ものという感じで、読んでて心地よいです。
年代が明記されてはいませんが、シリーズ第1作目にあたる本巻の第1話「女武芸者」の中に、田沼意次が「今年の春に将軍から七千石の加増をうけ」とあるので、1777年以降の話かと思われます。徳川家康が幕府を開いてから170年以上が経ち、大政奉還により幕府が終わる100年近く前の期間かな。
一般的に田沼意次という人は、賄賂政治の代名詞みたいに悪く言われてたりしますが、本作品では山本周五郎の「栄花物語」と同様に、志の高い政治家として描かれています。
主人公は秋山小兵衛という剣術の達人。いわゆるスーパーマンです。
彼の息子、大治郎という、これまた剣術の達人や田沼意次の隠し子で女武芸者の佐々木三冬、江戸のご用聞き四谷の弥七らとともに、悪い奴らを懲らしめていく、という短編シリーズ物です。
たまに(っていっても滅多にないわけですが)暇も金ももてあました(しかも田沼の権勢を背景にした)隠居老人が、野次馬的に事件に関わろうとする秋山小兵衛の態度が、自分には鼻についたりしますが、大治郎の素朴さや佐々木三冬の可憐さ、小兵衛の40も年の離れた女房(初登場時はまだ女房ではありませんが)おはるの天真爛漫さが、物語に花を添え、文句なしに面白い物語です。

本編に収録されているのは、
・女武芸者
・剣の誓約
・芸者変転
・井関道場・四天王
・雨の鈴鹿川
・まゆ墨の金ちゃん
・御老中毒殺
の7編。

長編シリーズ物の開始という訳ですが、自分としては大好きな秋山大治郎の成長ぶりを楽しみながら、読み返していきたいと思います。

剣客商売

新潮社

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