南海泡沫の後で

貨幣収集を時代背景とともに記述してゆきます。

ブラジル・2000レイス銀貨

2011年12月23日 15時30分18秒 | 投資
美しい未使用のブラジルの銀貨である。

ブラジルのコインは興味深いものが多い。絵柄も美しいものが多くワールド~を見ていても欲しくなる物が多い。
このコインは1935年の一年のみ発行された2000レイス銀貨。
大きくはなく100円玉より少し大きいくらいか。厚みはある。れっきとした銀貨で絵柄も凝っている。
26mm、7.9g、0.500。

横顔の人物像はカシアス公。19世紀の軍人・政治家。名はルイス・アルヴェス・デ・リマ・デ・シルヴァ。
1864年に勃発した三国同盟戦争(パラグアイ戦争)で功績があり国民的英雄のようだ。

三国同盟戦争など…南米の歴史に詳しい方以外はほとんどわが国では知られていない戦争だろう。
当時、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンなどの南米諸国間では利害関係が複雑に絡まっており、イギリスの帝国主義的思惑もあって不安定な情勢であった。

この戦争はパラグアイ対ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの三国軍で戦われた。
きっかけはウルグアイの内戦への干渉である。

詳しくはウィキをご覧いただきたいが、悲惨な結果となったようだ。
短期間で終わると言う目論見を裏切り、戦争は5年に及び、50万いたパラグアイの人口は戦争と疫病で半減以下に。ブラジル人も死傷者5万人を出し重い債務がのしかかった。
パラグアイの国土はいくつかの州が分割され譲渡された。国土の面積は4分の3に減り、多額の債務が科せられた。
人口の回復にその後半世紀を要したと言われる。

カシアス公はこの戦争でブラジル軍を率い功なり名遂げ、その後のブラジルの政治に軍の影響が残る土台を作った。
しかし前線に送られ戦ったのは黒人兵が主体と言われる。彼等のうち多くの者が戦死したが、後にブラジルでも奴隷制度廃止への機運の高まりを作りだすことになる。
ブラジルで奴隷制度が廃止されるのは1888年である。そして翌年帝政も終焉するのだった。

カシアス公についての情報はネットではほとんどない。ブラジルでは有名人であろうがわが国ではほとんど知られていないだろう。
パラグアイとの戦争のことも。


このコインは1935年に作られ、すぐに姿を消す。
翌年にはカシアス公をモチーフに右向きの横顔の絵で2000レイス硬貨が出されるがアルミ青銅貨になってしまう。
おそらくインフレが進んできたのであろう。銀貨では2000レイスではコスト高になってきていたか。レイスは1942年にクルゼイロ(1クルゼイロ=1000レイス)にとって代わる。

カシアス公の横顔は精悍で威厳がある絵だ。横顔の左の空隙には小さく縦横にメッシュ状の模様。凝っている。
殺されたり奴隷にされたパラグアイ人には仇敵だろうが…


ブラジルは第二次世界大戦後、重債務に苦しみハイパーインフレも凄まじかった。特に80年代、2500%におよぶハイパーインフレで
国内ではクルゼイロは信用がなくなり、ドルが使われていた。その後数度にわたりデノミと通貨変更を行いブラジル・レアルになりようやく収束した。



NSJのネットのコラムで仕組債について記事があった。
やはり○○建て○○債などといった証券会社が広告している債券類は、証券会社にとって売りたい商品のようだ。
儲かるのであろう。
しかし買う方は気をつけないとならない。記事でも内情が説明されている。そちらをご覧いただければと思うが、
やはり証券会社の営業が進めてくる金融商品の類は、買わないでも別に損はしないのである。買ったら損することの方が多かろう。

彼等は手数料の多寡が成績になるのだから顧客第一ではない。第一にする顧客は富裕層。それ以外はいかに手数料をとって
成績につなげるかの対象にしか過ぎないだろう。私の担当も小口だと思われているので電話応対の態度が悪い。
ま、何も買わずに外国株の資料などは野村にねだる。

2年ほど前だったか、野村もブラジルレアル建てハイイールド債なるものを勧めてきたことがあったが、
買わなくて良かったかどうか知らない。レアルもエマージング通貨らしく上下動があっている。特に2000年代初頭からはかなり落ちている。タイミングには注意が必要だ。

イタリア・100リラステンレス貨・500リラバイメタル貨

2011年12月18日 12時26分40秒 | 投資
更新が無沙汰になって申し訳ないが、社内や取引先との忘年会などのイベントが続き
しかも赤ん坊の添い寝などでとても無理だった。ようやく久々にとりかかっている…
全然更新しきれないのに多くのアクセスいただいている。誠に申し訳ない次第である。
読者諸氏が面白く読んでいただければと思う…

ずっと外国のコインばかり続いている。日本のコインがそろそろ恋しい。

といいつつ、また外国のコイン。イタリアのステンレスとバイメタルのリラ貨。
パチスロのメダルのようだがなんとなく「美・品」があり悪くはないコインだ。手で弄ぶのにもちょうどよい。

イタリアはステンレスコインを戦後本格的に作り出し、多用された。100リラのほうは1955年より生産され1980年代までずっと作らていた。1990年にはもう少しサイズを小さくして再発行されたが1992年に終了。
500リラバイメタル貨の方は1982~2001まで。このコインの面白いのは縁がギザとツルツルの交互になっているところ。また、盲人用の点字も付いている。現代的である。

またもや国債利率が危険水域に入ったイタリア。しかしクライシス到来はまだ来年ではないか。
欧州まとめて格下げになればかなりの不安が市場を襲う。というか、それを材料にヘッジファンドが空売りを猛攻する。

格下げに値するとはもう誰も皆分かっている。しかし格下げになれば不安心理の広がりと称して
下げる。格付けでの相場の動きなどうんざりしている。
わざとらしいと思うが相場の力学が働くから仕方がない。膿を出し切らないと下げ切らない。
別にこの世の終わりでもないのに下げる。で、下げていく過程で売ってしまい損失を出すのは誰か。個人投資家である。
そのような時に買うのは富裕層である。だから富裕層がいつまでも少数で独占しているのではないか。


欧州のこの世の終わりかと思われるくらいになったらスエズを買い増ししよう。BOA、GEあたりも。
30年代のような延々と続く大恐慌のようなことになれば逆にあきらめもつこう。ひたすら働くだけだ。

コインからそれたが、このステンレスコイン。彫りが浅い。わざと耐摩耗性を追求してのことか?それともステンレススチールは硬くて
極印の耐久性の都合からか?わからない。
バイメタルの方も同じようなものだ。

おそらくコインの摩耗をわざと薄っぺらくすることで耐久を上げようとしているのではないか。
わからないが、現代コインの多くが美しさよりも耐久性、経済性を追求している。わが国のコインもそうだ。
一般の日常に使われるコインは素っ気なくても耐久性を優先、
記念コインはやる気を出して作り、コインの美しさは記念コインで発揮、
買ってもらおうと…?憶測だけれども。でもフランスのコインなど美しいモノもあるから…どうとも。
アメリカのコインなど安っぽさが進行しているのは顕著だ。

リラはもうない。今はユーロだ。リラもフランもマルクも歴史は古い。もちろんドラクマもギルダーもエスクードも。
ドラクマなど紀元前5世紀から存在していた。コイン好きにとって実に残念なことだ。素晴らしいコインばかりなのに…今のユーロコインは後世のコレクション対象となるかは極めて疑問だ。

ちなみにリラの語源はラテン語の天秤を表すリーブルである。それが変化しリラとなる。古いフランスのリーブルも同じである。
で、どこでこの貨幣単位が始まったかというと、諸氏はもうとっくにご存じであろうが、古代ローマである。
古代ローマにおいてリブラという貨幣単位があった。これは1リーブラの重さの銀という価値であり、リーブラは重量の単位でもあった。

で、古代ローマは滅亡するが、以後形を変えつつもフランス、イタリア、イギリス(これは「1スターリングポンドの銀」から来たポンドも同じである。ポンドと変化したが£という記号はリーブラのLである)などの国々に残っていくのだ。面白いものだ、古代ローマの影がまだつい最近まで…

この浅薄なステンレスコインも古代ローマからの系譜のはしくれにいる品物なのである。
しかし浅薄であるがわりと美しいと思い好きではあるコインだ。

ちなみにロシアのルーブルは語源が全然違うので注意。ロシアのルーブルはもと中世の頃、銀の量り売りから始まる貨幣が根底にあり、このころ1グリブナの銀を割って切銀を貨幣にしていた。この割るという動詞「ルビーチ」からルーブルは発祥している。
ロシアのルーブルも語源はラテン語の天秤だよ、などと知らずに自慢げに話していると半可通で失笑を買うところになるので注意が必要だ。

イギリス・10ペンス白銅貨

2011年12月11日 03時56分56秒 | 投資
イギリスポンドの空売り。

先月少し売ったところきわめて簡単に上手く行ったのでまた戻りを売ってみたいと考えている。
少しならストレスもない。先月から金の空売りをしたが結局うまくいかなかった。
金より為替の方がジャブジャブになってくるのだから安くなっていくのは当然か。

バンクオブイングランドはいずれにせよ緩和せざるを得ない。(だから戻りも浅い)
米国経済は意外と持ち直して指数も好調だが欧州は不穏すぎる。ユーロ安で輸出が好調になってくるか…??

イギリスは仏独とやや欧州危機でもめているようだ。イギリスは金融優先したいが仏独は課税させたい。

予測される危機は本当の危機ではないとよく言われるが、予想された以上に病態がひどい場合、あるいは各国が対応を遅滞させた場合、危機は加速させられる。欧州各国の足並みが乱れEUがまとまらないと…ドカーンと爆発?

今はあまり報道されないがギリシャはどうなのか。何か改善されたのか。疑問である。
一部にはギリシャのユーロ脱退時の準備をしているとか。波乱は来るだろう。それを見越してか日本株も沈滞。材料株で
一部賑わっているが…

こういう刹那的な賑わいには材料株で乗ってひと稼ぎしたいが。4406、1929。8512も買っておいて少し益がついている。
4224、2344、5233もまだ売らず持っている。来年までとりあえず日経も戻してほしい。クライシスはいずれにせよ来るだろう。
欧州はほとんど何も変わっていない。一度ガッツーンと底入れがあるのではないか。
ウニクレディトの破たん、もしくはギリシャで何か起こるとか。欧州の複数国でデフォルトの可能性とか。

1月で株の買いポジションは縮小しようかと思っている。もちろん刹那的ではない賑わいであれば越したことはない。
トレンドが上昇であれば継続する限りついていきたいのはやまやまだ。上昇相場の時は株の買いが楽しい。下落相場の時はFXやCFDの売りで対応を考えたい。
しかし上昇相場の方が楽であり好きだ。


今回のコインはイギリスの10ペンス白銅貨。Φ28.5、11.31g。

1ポンド=100ペンスに切り替えられた後のニューペンスである。(実際にはこのニューペンス記載のある10ペンスコインは1968年から出されていた。早めに作って流通させていたか。)
しかし…旧来の1ポンド240ペンスから新スタートを切って新しい補助貨幣制度になったのに、この10ペンス貨はまるでやる気が見られない。
チャチいのである王室の紋章の王冠をかぶったライオン像も…安っぽい。

イギリスの補助貨幣のペンス切り替えは1971年2月13日。デシマル・デイと言われた。イギリスの補助貨幣はペニーが主だが、古くはクラウン、フローリン、ギニー、グロートなどがあった。長らく十進法でなく現代的ではなかった。そのため1971年に切り替わったのである。

しかしこのコイン…明らかに大英帝国、スターリングポンド凋落を表している。古いイギリスのコインには好き嫌いは別として
なにか権威主義的な上から目線の威力があった。補助貨幣でも大英帝国の威光を表していた。

他の10進法後のコインはそうひどくもないが、しかし欲しくもないコインばかりである。古いコインの方がはるかにレベルが高い。

当然と言えば当然か。1960年代以降イギリスは、俗に言うイギリス病にさいなまれ、ジリ貧。ポンドは凋落し
国際競争力は低下に次ぐ低下、国民一人当たり所得も先進国の中で最低に。産業の国有化で競争力が凋落したのに
福祉国家であったから…
で、サッチャー登場でようやく息を吹き返すわけだがこのコインが出たのはまさにイギリス病で満身創痍の時期だった。

イギリスのコインももっと後になってくると意外と良くなってくる。経済が好転しコインにも如実にそれが表れてくる。
デザインに凝ったものも。
ただ、表のエリザベス2世の横顔像は婆さんになってくる。この10ペンスコイン初代の時は若々しく肩を出して首もほっそり、色気もある。写真のコインは1973年。
エリザベスは1926年生まれ。このコインが出た時(1968年)すでに42歳。ちょっと若作りではないか。知らずに見るとまるで20代のようだが…

イタリア・10センテシミ銅貨

2011年12月03日 02時47分48秒 | 投資
金曜の夜、NHKの「世界街歩き」でローマをやっていた。この番組は赤ん坊が生まれる前はよく見ていたが最近はたまにである。

いつもこの番組で紹介される欧州の街は美しい。
欧州の街並み(番組で紹介されるのだから厳選されていると思うが)を見るとひどく自分の住まうこの右肩下がりの
廃屋だらけの斜陽の町が悲しく思えてくる。溢れる原色の看板・広告、パチンコ店のどぎついネオン、どこに行ってもパチンコ、コンビニ、マック。
わが町も景観は崩れている。景観という概念はわが国は極めて低位である。その点アジアなのだ。

欧州人は根本的に景観、おのれが住む場所に対する美意識が違っている。街並みの映像を見てもけばけばしいネオンだの広告などがない。
そういうものを置こうという発想がないのか規制がしっかりあるのか。

選ばれているとはいえ、紹介されるような美しい街に住めるということはそれだけで人生が豊かである。


しかし…

イタリアに若かりし頃訪れた時はちょっと好きになれない面も多かった。私が若造で精神的にも軟弱で憂鬱だったせいもあるが
教会の前に待ち構えるジプシー、襤褸を纏った乞食、釣銭をだまそうとする女店員…トレビの泉などまったくつまらなかった。

イタリアはローマ、フィレンツェ、ピサ、ミラノなど。食事は良かったが暑く、つまらなかった。美術館のお宝、ミケランジェロの絵画。
どれも別に…

フィレンツェのドゥオモの入口にはジプシーの物乞い、スリの類が(子供や老女)屯し、観光客にすり寄ってくるのであった。
彼等は段ボールの切れ端を手に持ち、それで片手を隠してバッグに手を入れようとするのである。ほとんど誰も相手にしなかったが、
アメリカ人の中年女性が財布をすられて怒っていた。
地元警察も取り締まらないのだ。おそらく中世からそうなのだろう。いつもたむろして観光客に隙あらばスリをしたりしようとするのだから警官が常駐すればいいと日本人なら考えてしまうが。

出鱈目な面が地中海性気候の大らかさのもと、存在している。日本人には分からない面が多かろう。ラテンの国々は。




ドル供給で湧いているが、どう考えても根本的治療にはならない。ただ、銀行が金の工面がしやすくなっただけの話である。

今後の推移というか、単純にCDSスプレッドを見る限り、来年以降、問題は避けられず、今年解決できなかった以上来年に持ち越された形になっており、クライシスは進行しているのだ。

資金投入のタイミングを充分配慮して運用する必要があろう。
外国株もやはりあわてて買わないようにしたい。スエズも思い切り下げて、なおかつ欧州が火だるまになっているときに買うべきだ。
だから、来年何もしないという選択も考えておく方がいいかもしれない気がしている。

こないだから買った株類もできたら売っていきたい。5233、1929。4224も処分してもいい。2344は置いておく。

そして、4406。
もうネット上で騒々しいので語ることもないが、少し先週買った。本来ならば手を出すべきではないが、例の話題のHPを見て
氏の日本市場と経済に対する鬱屈した憤懣が感じられ、もちろん私も儲けたい一心が先であるが、一種のドラマを感じて
少し買った次第である。

氏はもう一生かかっても使い切れないくらいの金は持っているはずと思うが…
もちろんHPの文言など修飾があり提灯買い誘導のためのエサというか大義名分であろうが、底意にはここまでダメになった日本市場と食い物にする外資、それに同調して短期空売りに明け暮れる個人投資家への不満があり、その心情は日本人投資家ならば大勢の人間が抱いているはずで、その現状への怒りの一撃を食らわさんとする氏の姿勢は痛快なものがあるのだ。

ま、いつ終焉してもおかしくないが…儲けられなくて終わり例え損してもなんとなく溜飲が下がる気がする。


気になるのは低位仕手系銘柄がこの今のタイミングで一斉に掛けてきたことだ。来年以降は欧州の悪化で仕手もさらに仕掛けにくくなると読んだか。そうなると仕手戦を演じる大口も金主もリスクオフへ向けて動き出していると考えられもしよう。

4614は…仕手戦始まった瞬間に売ってしまった。勿体ない事をした。まあ、これも運。忘れるべきだろう。(かなり口惜しいが…)



今夜のコインはイタリアの10センテシミ銅貨。年号は1920年である。
このコイン、絵柄が面白い。花にとまる蜂の絵である。反対側の面はヴィットリオ・エマヌエレ3世の横顔。
しかも銅貨。青銅貨ではない。

花の止まる蜂の絵の下に10c表記。花はポピーだろうか?イギリスやドイツのコインはわりと保守的なのに対し絵画的芸術性を追求している。芸術を重んじるイタリアらしい。単なる小銭にも美意識が強いことを感じられる。いや、第一次世界大戦の戦勝国としての余裕か。

このコインは小銭なので小さい。Φ23mm。5.4g。
1919年から1937年まで発行された。戦勝国なのでインフレもドイツほど直面しなかったか??

出鱈目・非常識なほうが芸術的である。芸術の国イタリアや古代に矜持を持つがやる気のないギリシャと真面目なドイツは融和するのは難しい。お互い自分の方が正しいと思っているはずだ。

ドイツにも優れた芸術はある。コインでいえば前に書いたノトゲルドだ。ただしイタリアは自分達の方が芸術は上だと思っているはずだ。借金まみれで返せなくなってきているが…。

イタリアの国がまるで自堕落で出鱈目だが才能のある芸術家風情のようだ…