仏教では、「悟り」を開くことを最終目的とすることが多いが、これは若い僧侶に厳しい修行を強いるための「悟るぞ詐欺」なのではないか。悟りを開くことができるのなら、「私は悟りを開いて、こういう感じになりました」と語る坊さんがテレビやネットの動画にでてきそうなものだが、そういう人は見かけない。ネットの動画には「私は悟りを開いた」という坊さんがいるが、こんな怪しい話はない。キリスト教で天国に行くためにはこの世でこういうことをしなければならないと説くのと同じで、ありもしない幻想を見せて、他人を自分の思い通りにしたいだけではないか。
みんな精神には一家言（いっかげん）あるようだ。精神はあやふやなもので、みんなそれなりの体験を持っているので与（くみ）しやすいという誤解があるのだろう。だから、私が精神の病気だというと、自分なりの素人判断でいろいろアドバイスしてくる。そもそも医者が薬を使って、何年もかかっても治せない病気を、素人が思いつきで治療法を言ったくらいで治るわけがない。日本人はホントに病院が好きで、がんとか糖尿病とかに限らず、軽いかぜでさえも医者にかかって治そうとするのに、こと精神だけは自分の判断で治そうとする。自分の精神はどうしようと勝手だが、余計なお世話で人にまで干渉してくる。精神の病気も体の病気と同じく、厳密な科学的知見に基づいて治療をしなければよくなるはずがない。みんな精神には妙な自信を持っていて、自分だけ精神の病になるはずがないという根拠のない思い込みを持っている。私も病気になる前はそうだった。そもそもそういう考えが間違っている。人間はそもそも精神は弱くて、だれでもうつとか統合失調症とか精神の病気にかかる可能性はあるのだ。
特別障害給付金の継続申請のための精神科医による診断書をキーボードでタイプしたものです。傷病名：統合失調症。ＩＣＤ－１０コード：Ｆ２。診療回数：年間１３回、月平均１回。最近１年間の治療の経過：４週間に１回、定期的に通院することはできている。作業所などには行くことはできず、他者との交流にも乏しい。訪問看護を利用している。自閉的な生活。発育養育歴：特記すべきことなし。教育歴：小学校、普通学級。中学校、普通学級。高校、普通学級。その他。東京大学法学部。職歴：富士通（大学卒業から、平成２５年１０月）。治療歴（最近５年間の治療歴を記入してください）。藤山医院：Ｈ２９年１１月～現在。外来。病名：統合失調症。主な療法：薬物療法、精神療法。転帰：不変。障害の状態：令和６年７月３日現在：前回の診断書の記載時との比較。１変化なし。幻覚妄想状態等：１幻覚、２妄想。統合失調症残遺状態：１自閉、２感情平板化。幻覚、妄想は服薬により現在は見られない。意欲の減退が目立ち、自宅からあまり出ずに生活している。作業所に通所していたことも以前はあったが、現在は全く行けていない。訪問看護で服薬管理をしてもらっている。診察時に？？（注：読み取れない）を訴えられ、生気がない。会話が深まらない。他者との交流がほとんどない生活。オランザピンを投与している。現在の生活環境：在宅。同居者の有無：無。全般的状況：他者との交流はほとんどない。母との関係も悪い。身体所見：特記事項なし。臨床検査：なし。福祉サービスの利用状況：生活保護受給。日常生活でも援助が必要・陰性症状が全景に立ち、意欲の減退が顕著。安定した就労継続が困難。予後：不良です。
