HARUSYO'S WORLD 二宮春将の世界

VARIOUS FIELDS OF NOVEL あらゆるジャンルの小説を書きます。

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第8回

2010-12-20 04:53:42 | 日記
「人はなぜ歳を取るのだろう」
 卑弥呼は自問自答したが答えはでなかった。
邪馬台国の最高権力者で欲しい物は何でも手に入る。だが、
「若さを保つ」
 この事だけは卑弥呼の力を持ってしてもどうする事もできなかった。
自分の国の十二、三歳の女の子の光り輝くような美しさを見るとき、自分の心の底にあせりを感じずにはおれなかったのだ。
 そんな時卑弥呼は自分自身を落ち着かせ自分に言い聞かすのだった。
「卑弥呼あなたはこの国の最高権力者、あなたがこの国でいやこの世で一番美しい」
 この儀式を行うと卑弥呼は心の平静を保てるのだ。
「若さを保って行くもの楽ではないが、国を繁栄させてゆくもの楽ではない」
 この事を卑弥呼はひしひしと感じるのである。
 だが、
「だれも助けてくれるものはいない」
 常に、
「孤独と戦っている」
 これが卑弥呼の真実だったのだ。 

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第7回

2010-12-19 06:30:13 | 日記
 卑弥呼はトミヒコの愛の力を借りて神通力を保っていた。
「トミヒコの力がないと、ただの女に成り下がってしまう」
 この事を卑弥呼本人が誰よりも知っていた。
「まずこの宮殿に数え切れないほどいる女性達の押さえが利かなくなる」
 そして、
「国がごたついてくる」
 その後、
「近隣諸国に攻められる」
 すべては、
「卑弥呼の神通力にかかっているのである」
 卑弥呼は自分自身に言い聞かせた。
「私がこうやってトミヒコと交わるのもすべて邪馬台国のためである。自分のためではない」
 そしてまた、こうも思うのだった。
「一体この国で何人の者が私の心を分かってくれているのいだろう」
 卑弥呼の悩みはつきない。

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第6回

2010-12-18 03:02:47 | 日記
「ああ、トミヒコ、トミヒコ・・・・・」
 卑弥呼は豊満な肉体をトミヒコにぶつけた。
「女盛りをもてあましていたのだ」
 卑弥呼は魏の使者を取り込んで国を守った安堵感からか燃えに燃えていた。
「ああ、もっと、もっと、もっと、もっと」
 更なる愛をトミヒコに要求した。
邪馬台国の最高権力者の睦言である。
「だれにも遠慮はいらない」
 トミヒコは卑弥呼の全身を愛撫した。
「頭の先から足の爪の先まで」
 こうやってトミヒコに愛されると卑弥呼の神通力が蘇るのである。
「自分の体から神通力が失せてしまう」
 これはもっとも卑弥呼が恐れている事であった。
卑弥呼の愛の儀式は終わらない。 

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第5回

2010-12-17 05:14:15 | 日記
「これで我が邪馬台国はその名を永遠に残し、しかもその場所を探し当てる事はできない」
 卑弥呼は鏡をみてニンマリと笑うのだった。
「魏の使者を丸め込んで、自分の国『邪馬台国』がどこにあるのか分からないよう記述してもらう事に成功したことの喜びである」
「酒を持て」
 卑弥呼は上機嫌でお付の者にこう言った。
やがてお酒が体に回り火がついてきたら、
「トミヒコを呼べ」
 とお付のものに言うのだった。
卑弥呼は自分の部屋でトミヒコを全裸で迎えたのである。
「ああ、トミヒコ・・・・・・」
 卑弥呼は酒が入り火がついた体をトミヒコにくっつけてトミヒコの全身を愛撫するのだった。
 卑弥呼の真実の物語が始まろうとしていた。

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第4回

2010-12-16 05:45:08 | 日記
 卑弥呼は魏の使者を迎えて自分の奥深まった部屋に案内して二人きりで話をした。
「この国は今国内の近隣諸国を相手にするだけで精一杯です。外国の軍勢を相手にしている余裕はありません。あなたがお国に帰って報告する時、この邪馬台国がどこにあるかの記述をあいまいにして欲しい」
 卑弥呼は魏の使者にこう頼んだのだった。
そして、この使者に対して邪馬台国の中でも選りすぐりの美女を選んであてがい骨抜きにしてしまったのである。
 この卑弥呼の判断により、邪馬台国は外国に攻められずにすんだが、その後この国はどこにあるのか存在が分からなくなり、その場所の所在は永遠のなぞとなったのである。
 卑弥呼は魏の使者が、自分の配下の美女に骨抜きにされるのを見て、ニンマリと笑った。
「これで邪馬台国はしばらくは安泰じゃ。それにしても私の国は頼りになる家臣がおらん」
 卑弥呼は頼りになる家臣がいない事に頭を痛めていた。