HARUSYO'S WORLD 二宮春将の世界

VARIOUS FIELDS OF NOVEL あらゆるジャンルの小説を書きます。

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第3回

2010-12-15 02:49:59 | 日記
 悩み多い卑弥呼にまた一つ大きな悩みが増えた。
「魏から使者が来ると言うのである」
 卑弥呼は重臣達と相談した。
「どうやってもてなそうか」
 この問いに、
「いつも通りに」
 という声が圧倒的だった。
この頃、卑弥呼は回りの国と領土の境界線を巡っていさかいが耐えなかった。
「戦争に次ぐ戦争」
 をしていたのだ。
「魏のお墨付きをもらうか」
 卑弥呼の問いに誰も何も言わない。
「妙な事を言って責任問題になったらどうしようもなくなるからである」
 卑弥呼は心の底で、
「頼りになる家臣がいないなあ」
 嘆きに嘆くのだった。

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第2回

2010-12-14 03:13:22 | 日記
 卑弥呼はトミヒコを呼んで自分の寝室に招き入れた。
トミヒコを全裸にして全身を愛撫するのだった。
「ああトミヒコ、お前と一緒にいる時には辛い事も忘れる」
 いつもこう言うのである。
日に日に衰えてくる自分の神通力を嘆きながら暮らしている卑弥呼にとって、トミヒコはなくてはならぬ存在だった。
「ああトミヒコ、今度は私の全身を愛撫しておくれ」
 卑弥呼はトミヒコの愛撫をせがんだ。
愛の儀式は限りなく続く。
 だが、この卑弥呼の愛の儀式を邪馬台国の重臣達は覚めた目で見ていた。
「この国がこんなに堕落した事は無かった。この国も終わりに近い、外国に攻められなければいいが」
 異口同音に吐き捨てるようにこう言うのだった。 

二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第一回

2010-12-13 14:21:20 | 日記
 卑弥呼は悩む日々が続いていた。
「私は日に日にまつりごとをする力が失せてどうすればいいんだ。身の回りに私の代わりの出来る女性はいない」
 一人になるとこう思い悩むのである。
「年齢はすでに二十五歳を過ぎていた」
 当時とすれば若くない。
「力の無いところをみんなに見せたくない」
 夜寝れない程の苦しみだった。
「幼い女の子を私の後継者にしよう」
 腹の中でこう決めていたが、適任者がいない。
卑弥呼は毎日酒を煽るようになっていた。酒を煽ると男性が恋しくなり、
「トミヒコを呼べ」 
 と怒鳴り散らすのだった。
「またか・・・・・・・」
 お付の者はうんざりしていた。
                   続く 乞ご期待