二宮春将短歌 風邪引いた 君の言葉に 玉子酒 作って飲ます 師走の夜に
二宮春将長短編小説 題 師走の夜に 玉子酒
美鈴は昔の恋人昭雄に甘えてみた。
「風邪を引いてねえ」
この言葉に昭雄がどんな反応を見せるか美鈴は注目していると、
昭雄は、
「そうか、玉子酒を作ってあげよう」
と言って美鈴に玉子酒を作ってくれたのだった。
「うれしい、私が玉子酒を好きなのを覚えてくれていたんですね」
美鈴は感激のあまりに涙混じりに言葉を返した。
「うん、忘れるもんか」
「うれしい」
美鈴はうれしそうに昭雄が作ってくれた玉子酒を飲み干した。
「うれしい」
美鈴がもう一度呟いた。
「うん」
昭雄が返事を返す。
美鈴と昭雄の物語が始まってゆく。